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第5章・結婚狂騒曲と、悪役令嬢と
第231話・あの、お金は払えますのでご容赦ください
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貿易都市メルカバリーで、結婚式の依頼を終えて。
私たちはクレアさんの親友からの連絡により、命が狙われていることを知りました。
そのため、万が一の時でも大丈夫なようにとエセリアル馬車で移動をしていましたら、まさかの馬車が襲撃にあうという事態が発生。
しかも、私とクレアさんは突然の睡魔に襲われてしまい、意識が遠くなっていしまいました。
――ユッサユッサ
う……ん。
誰かが私の身体を揺らしています。
ノワールさんですか? まさかクリムゾンさんではありませんよね。
「クリスティナ店長、とっとと起きてください……店長……」
ユッサユッサ。
う……ん。
体のあちこちが痛いです。
どうやら馬車の中で転がってしまったようで、あちこちぶつけたのでしょうか……。
「店長……クリスティナ店長……ふう。とっとと起きなさい、この馬鹿店長!」
「ひゃい!!」
突然の怒鳴り声で、私は目を覚ましました。
ふと目の前を見ると、そこでは頭に包帯を巻いているクレアさんの姿があります。
「クレアさん、怪我をしたのですか!! 早く手当てを」
「それはもう終わったから大丈夫よ。それよりも、ちょっと馬車の外が騒がしいんだけれど」
「馬車の外……ってうええ、そもそも今はどこで、なにがどうなっているのですか?」
はい、落ち着きなさい私。
このような事態になっても慌てず騒がず。
「今のところ、馬車の扉を開こうとしている人が数人。あとは中に向かって呼びかけている人が二人ぐらいっていうかんじかしら?」
「は、はぁ……つまり、エセリアルモードが切れてしまっているということですか」
「そのなんとかモードっていうのは、私には分からないわ。とにかくどうしたらいいか考えましょう」
クレアさんのおっしゃる通り。
ということで、ここはこっそりと窓にかかっているカーテンを少しだけ開き、外の確認を……。
うん、身なりのいい紳士淑女が遠巻きにこちらを見ていますし、すぐ近くの馬車の扉あたりには数名の水夫らしき人物の姿も見えます。
ああっ、今、巨大な斧を持った水夫が駆けつけてきました。
これはやばいです、危険がデンジャーです。
それによく見ますと、足元がフワフワと上下していますし、紳士淑女のむこうには大海原が見え隠れしているような気がしますが。
「……あの、ここはどこですか?」
窓の中から、外に向かって問いかけます。
「うわっ!! ようやく反応が帰って来たか。そもそも、あんたらはどこのどいつで何者なんだ? いきなり甲板が光ったかと思ったら、馬車が降ってくるだなんて予想もしていないわ」
「馬車が降って……ですって?」
慌てて馬車の扉を開き、外に飛び出します。
そして周囲を見渡しますと、巨大なマストと横帆。
そして切っ先の向こうに広がる海。
「え……海?」
「そりゃそうだ。それで、あんたらはどこの誰で……ってあれ、確か港町サライで見かけた商店お嬢ちゃんか?」
あ、私のことを知っているようで、少しだけほっとしました。
「そうです、フェイール商店の店長のクリスティナ・フェイールです。それで、ここはどこですか?」
「どこって……海の上で、これは俺たちの使っている商用大型帆船ブルーウォーター号だな。ちょっと待ってろ、間もなく船長がやってくるから」
「は、はい、それじゃあ急ぎ馬車をどかせますので」
大急ぎで馬車の中に戻り、クレアさんを見て一言。
「どうやら襲撃者ではないようです。それでですね、私たちはどうやら商用帆船の甲板にいるようです。一旦出てきてください、馬車を収納しますので」
「はぁ? ま、まあ分かったわ」
急ぎ荷物を肩から下げ、クレアさんも馬車から出てきます。
そこではエセリアル馬車には一旦指輪の中に収納してもらい、その場で水兵さんに囲まれつつ船長の到着を待っています。
「……ふむ。それで、馬車の中からフェイール商店の店長が出てきたっていうのか……って、本当だな」
「初めまして。クリスティナ・フェイールと申します。こちらは店員のクレア・アイゼンボークです」
「クレアと申します」
丁寧に挨拶を返しつつ、船長の様子を伺いますが。
あ、この人、以前ですけれどジャージを船員分まとめて購入した方ですね。
「ようこそ、密航者のお二人さん。それで、申し出はあるかな? そもそも、どうやって馬車で飛び乗って来て……馬車はどうした?」
「はい、アイテムボックスに収納しました。それでですね、まずはこちらの事情をご説明しますそのうえで、もしもよろしければ正規の搭乗費用よりも高くて構いませんので、私たちを客として受け入れていただけますでしょうか」
丁寧に頭を下げる。
クレアさんも私に習って頭を下げますと、船長も何か察してくれたようです。
「二人部屋を一つ手配してやれ。まずは説明が聞きたいので、こっちに来てもらえるかな?」
「はい」
ということで、船尾楼と呼ばれる帆船の後方に移動。
そこにある船長室に案内され、私たちはようやく腰を下ろすことが出来ました。
「では、何があったのか全ては何して貰えるか?」
「そうですね、では……」
ということで、私たちがつい先ほどまでメルカバリーに居たこと、馬車で移動中に突然の襲撃にあい、馬車が持ち上げられたかと思ったら意識を失ってしまったこと。
そして気が付くと、この帆船の前部甲板に馬車ごと転がっていたことを説明しました。
最初はいぶかしげに話を聞いていた船長ですけれど、馬車が持ち上げられたあたりからどうやり状況を理解して頂けたようです。
「なるほどなぁ……おそらくだが、お嬢ちゃんたちは襲撃者によって殺されるところだったのだろうと推測できた。馬車が浮かんだっていうのは、おそらくは『強制転移術式』とかいうやつによって遠くに放り投げだされたのだろう。海の上に転移させられたのなら、そのまま馬車ごと沈んで終わりだからな」
──ゾクッ
思わず寒気がしました。
私たちは何者かによって馬車ごと海の上に転移させられたと。
そこで運よく、航行中の帆船の甲板の上に落下し、一命をとりとめたというところですか。
「侯爵家の雇っていたっていう闇ギルドの連中が、転移なんていう古代の魔術を使えるなんて予想もしていないわよ……」
「あ~、そこのお嬢ちゃん、恐らくだが、転移術式を使ったのは魔族だな。それも高位の魔術師だ」
「「魔族?」」
まさか、ここでそのような名前を聞くとは思っていませんでした。
でも、横に座っているクレアさんは腕を組んで頤に右手をあてたまま、うんうんと頷いています。
「そうね、魔族なら転移術式が使えてもおかしくはないわね。確か300年前の第一次魔族大侵攻の時も、転移術式を使って各国中枢に兵士を送り込んでいたっていう記述が残っているからね……でも、まさかカマンベール王国の侯爵家が魔族と手を組むだなんて、普通は考えられないわ」
そのクレアさんの言葉で、私はおおよそ理解できました。
かつてハーバリオス王国でも、公爵家当主が魔族によって操られ、勇者の系譜を断ち切ろうと暗躍していたことがあったそうです。
具体的には去年、暗躍していたのは私のおじい様!
断ち切られそうになったのは、やっばり私でしょうか。
そして今もなお、私は狙われていたと。
「でも、それしか考えられませんね。私の血筋についてはクレアさんならご理解いただけますよね」
「アーレスト侯爵家……ええ、カナン・アーレストの末裔であるあなたを亡き者にしようとした……ということかしら」
その言葉に、コクリと頷きます。
しかし、それが分かったところで、海の上では何もできません。
そもそもノワールさんもクリムゾンさんもいらしゃいませんし、クレアさんの御付きの二人も同行していませんでしたからね。
つまり、私たちは護衛がいないという状態で、海の上の帆船に放り込まれたということでしょう。
「さてと。そろそろ本題に入るか。船賃は目的地である港町バンクーバーまで、片道金貨20枚。空いている船室は二等船室で二人で一室、食事は朝と夜。これでいいのなら、支払ってもらえるかな?」
「はい、それでお願いしますわ!!
──ドシャッ
アイテムボックスから金貨袋を取り出し、そこから二人分の支払いを済ませます。
「あ、あの、店長? 私の分まで出してもらって……その……」
「構いませんわ。これも店長の務め……というか、どうやらクレアさんを巻き込んでしまったようですので、これぐらいはさせて頂きます。でも、港町バンクーバーというのは、何処の国でしょうか? ハーバリオスの沿岸の町でもありませんし、カマンベール王国の港町でしょうか?」
そうクレアさんに問いかけますが、彼女も頭を傾げているだけ。
「はっはっはっ。何を頓珍漢なことを話しているんだ? バンクーバーはミュラーゼン連合王国の中心、フォンミューラー王国の巨大港湾都市だよ。あと二週間ほどで到着するから、まあ、のんびりと船旅を楽しむんだな。それじゃあ、確かに料金は頂いた。露店を開きたければ、前方甲板の馬車があったあたりで開いて構わないからな」
あ~、なるほど。
ミュラーゼン連合王国ということはつまり、南方諸島連合で。
そのいくつもの島国国家の中心にある大きな島、フォンミューラー王国に向かっているということですか。
「……えええええ!!」
予想外です。
転移術式といっても、近くの海辺りに放り出されたのかと思いましたけれど、まさかまさかの遥か沖合。
それも残り二週間ということは、ちょうど今の位置が、ハーバリオスとミュラーゼンの中間地点じゃないですか。
はぁ。
これは明日にでも旅行券を手配して……って駄目です、ここでいきなり消えるなんてことはできませんよ、かえって怪しまれてしまいます。
これは速やかに二週間の間、船内で静かにしているしかありませんね。
海の上ですと、流石に納品もしてもらえそうにありませんから……って、そうなると、旅行券も無理ですか。
はあ、何事も諦めが肝心のようで。
私たちはクレアさんの親友からの連絡により、命が狙われていることを知りました。
そのため、万が一の時でも大丈夫なようにとエセリアル馬車で移動をしていましたら、まさかの馬車が襲撃にあうという事態が発生。
しかも、私とクレアさんは突然の睡魔に襲われてしまい、意識が遠くなっていしまいました。
――ユッサユッサ
う……ん。
誰かが私の身体を揺らしています。
ノワールさんですか? まさかクリムゾンさんではありませんよね。
「クリスティナ店長、とっとと起きてください……店長……」
ユッサユッサ。
う……ん。
体のあちこちが痛いです。
どうやら馬車の中で転がってしまったようで、あちこちぶつけたのでしょうか……。
「店長……クリスティナ店長……ふう。とっとと起きなさい、この馬鹿店長!」
「ひゃい!!」
突然の怒鳴り声で、私は目を覚ましました。
ふと目の前を見ると、そこでは頭に包帯を巻いているクレアさんの姿があります。
「クレアさん、怪我をしたのですか!! 早く手当てを」
「それはもう終わったから大丈夫よ。それよりも、ちょっと馬車の外が騒がしいんだけれど」
「馬車の外……ってうええ、そもそも今はどこで、なにがどうなっているのですか?」
はい、落ち着きなさい私。
このような事態になっても慌てず騒がず。
「今のところ、馬車の扉を開こうとしている人が数人。あとは中に向かって呼びかけている人が二人ぐらいっていうかんじかしら?」
「は、はぁ……つまり、エセリアルモードが切れてしまっているということですか」
「そのなんとかモードっていうのは、私には分からないわ。とにかくどうしたらいいか考えましょう」
クレアさんのおっしゃる通り。
ということで、ここはこっそりと窓にかかっているカーテンを少しだけ開き、外の確認を……。
うん、身なりのいい紳士淑女が遠巻きにこちらを見ていますし、すぐ近くの馬車の扉あたりには数名の水夫らしき人物の姿も見えます。
ああっ、今、巨大な斧を持った水夫が駆けつけてきました。
これはやばいです、危険がデンジャーです。
それによく見ますと、足元がフワフワと上下していますし、紳士淑女のむこうには大海原が見え隠れしているような気がしますが。
「……あの、ここはどこですか?」
窓の中から、外に向かって問いかけます。
「うわっ!! ようやく反応が帰って来たか。そもそも、あんたらはどこのどいつで何者なんだ? いきなり甲板が光ったかと思ったら、馬車が降ってくるだなんて予想もしていないわ」
「馬車が降って……ですって?」
慌てて馬車の扉を開き、外に飛び出します。
そして周囲を見渡しますと、巨大なマストと横帆。
そして切っ先の向こうに広がる海。
「え……海?」
「そりゃそうだ。それで、あんたらはどこの誰で……ってあれ、確か港町サライで見かけた商店お嬢ちゃんか?」
あ、私のことを知っているようで、少しだけほっとしました。
「そうです、フェイール商店の店長のクリスティナ・フェイールです。それで、ここはどこですか?」
「どこって……海の上で、これは俺たちの使っている商用大型帆船ブルーウォーター号だな。ちょっと待ってろ、間もなく船長がやってくるから」
「は、はい、それじゃあ急ぎ馬車をどかせますので」
大急ぎで馬車の中に戻り、クレアさんを見て一言。
「どうやら襲撃者ではないようです。それでですね、私たちはどうやら商用帆船の甲板にいるようです。一旦出てきてください、馬車を収納しますので」
「はぁ? ま、まあ分かったわ」
急ぎ荷物を肩から下げ、クレアさんも馬車から出てきます。
そこではエセリアル馬車には一旦指輪の中に収納してもらい、その場で水兵さんに囲まれつつ船長の到着を待っています。
「……ふむ。それで、馬車の中からフェイール商店の店長が出てきたっていうのか……って、本当だな」
「初めまして。クリスティナ・フェイールと申します。こちらは店員のクレア・アイゼンボークです」
「クレアと申します」
丁寧に挨拶を返しつつ、船長の様子を伺いますが。
あ、この人、以前ですけれどジャージを船員分まとめて購入した方ですね。
「ようこそ、密航者のお二人さん。それで、申し出はあるかな? そもそも、どうやって馬車で飛び乗って来て……馬車はどうした?」
「はい、アイテムボックスに収納しました。それでですね、まずはこちらの事情をご説明しますそのうえで、もしもよろしければ正規の搭乗費用よりも高くて構いませんので、私たちを客として受け入れていただけますでしょうか」
丁寧に頭を下げる。
クレアさんも私に習って頭を下げますと、船長も何か察してくれたようです。
「二人部屋を一つ手配してやれ。まずは説明が聞きたいので、こっちに来てもらえるかな?」
「はい」
ということで、船尾楼と呼ばれる帆船の後方に移動。
そこにある船長室に案内され、私たちはようやく腰を下ろすことが出来ました。
「では、何があったのか全ては何して貰えるか?」
「そうですね、では……」
ということで、私たちがつい先ほどまでメルカバリーに居たこと、馬車で移動中に突然の襲撃にあい、馬車が持ち上げられたかと思ったら意識を失ってしまったこと。
そして気が付くと、この帆船の前部甲板に馬車ごと転がっていたことを説明しました。
最初はいぶかしげに話を聞いていた船長ですけれど、馬車が持ち上げられたあたりからどうやり状況を理解して頂けたようです。
「なるほどなぁ……おそらくだが、お嬢ちゃんたちは襲撃者によって殺されるところだったのだろうと推測できた。馬車が浮かんだっていうのは、おそらくは『強制転移術式』とかいうやつによって遠くに放り投げだされたのだろう。海の上に転移させられたのなら、そのまま馬車ごと沈んで終わりだからな」
──ゾクッ
思わず寒気がしました。
私たちは何者かによって馬車ごと海の上に転移させられたと。
そこで運よく、航行中の帆船の甲板の上に落下し、一命をとりとめたというところですか。
「侯爵家の雇っていたっていう闇ギルドの連中が、転移なんていう古代の魔術を使えるなんて予想もしていないわよ……」
「あ~、そこのお嬢ちゃん、恐らくだが、転移術式を使ったのは魔族だな。それも高位の魔術師だ」
「「魔族?」」
まさか、ここでそのような名前を聞くとは思っていませんでした。
でも、横に座っているクレアさんは腕を組んで頤に右手をあてたまま、うんうんと頷いています。
「そうね、魔族なら転移術式が使えてもおかしくはないわね。確か300年前の第一次魔族大侵攻の時も、転移術式を使って各国中枢に兵士を送り込んでいたっていう記述が残っているからね……でも、まさかカマンベール王国の侯爵家が魔族と手を組むだなんて、普通は考えられないわ」
そのクレアさんの言葉で、私はおおよそ理解できました。
かつてハーバリオス王国でも、公爵家当主が魔族によって操られ、勇者の系譜を断ち切ろうと暗躍していたことがあったそうです。
具体的には去年、暗躍していたのは私のおじい様!
断ち切られそうになったのは、やっばり私でしょうか。
そして今もなお、私は狙われていたと。
「でも、それしか考えられませんね。私の血筋についてはクレアさんならご理解いただけますよね」
「アーレスト侯爵家……ええ、カナン・アーレストの末裔であるあなたを亡き者にしようとした……ということかしら」
その言葉に、コクリと頷きます。
しかし、それが分かったところで、海の上では何もできません。
そもそもノワールさんもクリムゾンさんもいらしゃいませんし、クレアさんの御付きの二人も同行していませんでしたからね。
つまり、私たちは護衛がいないという状態で、海の上の帆船に放り込まれたということでしょう。
「さてと。そろそろ本題に入るか。船賃は目的地である港町バンクーバーまで、片道金貨20枚。空いている船室は二等船室で二人で一室、食事は朝と夜。これでいいのなら、支払ってもらえるかな?」
「はい、それでお願いしますわ!!
──ドシャッ
アイテムボックスから金貨袋を取り出し、そこから二人分の支払いを済ませます。
「あ、あの、店長? 私の分まで出してもらって……その……」
「構いませんわ。これも店長の務め……というか、どうやらクレアさんを巻き込んでしまったようですので、これぐらいはさせて頂きます。でも、港町バンクーバーというのは、何処の国でしょうか? ハーバリオスの沿岸の町でもありませんし、カマンベール王国の港町でしょうか?」
そうクレアさんに問いかけますが、彼女も頭を傾げているだけ。
「はっはっはっ。何を頓珍漢なことを話しているんだ? バンクーバーはミュラーゼン連合王国の中心、フォンミューラー王国の巨大港湾都市だよ。あと二週間ほどで到着するから、まあ、のんびりと船旅を楽しむんだな。それじゃあ、確かに料金は頂いた。露店を開きたければ、前方甲板の馬車があったあたりで開いて構わないからな」
あ~、なるほど。
ミュラーゼン連合王国ということはつまり、南方諸島連合で。
そのいくつもの島国国家の中心にある大きな島、フォンミューラー王国に向かっているということですか。
「……えええええ!!」
予想外です。
転移術式といっても、近くの海辺りに放り出されたのかと思いましたけれど、まさかまさかの遥か沖合。
それも残り二週間ということは、ちょうど今の位置が、ハーバリオスとミュラーゼンの中間地点じゃないですか。
はぁ。
これは明日にでも旅行券を手配して……って駄目です、ここでいきなり消えるなんてことはできませんよ、かえって怪しまれてしまいます。
これは速やかに二週間の間、船内で静かにしているしかありませんね。
海の上ですと、流石に納品もしてもらえそうにありませんから……って、そうなると、旅行券も無理ですか。
はあ、何事も諦めが肝心のようで。
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