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第5章・結婚狂騒曲と、悪役令嬢と
第226話・幸せな結婚式……まあ、厄介ごとは増えたようですが
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はてさて。
引き出物審査を行った日の夕方から、妙にノワールさんとクレアさんの仲が良いように感じるのですが。
まあ、不仲であったり険悪であるよりは良いかと思いますよ。
仕事に関してもしっかりとお勤めを果たしてくれていますし、マクガイア家の執務官の方とも楽しそうに話をしているようですので。
そちらは彼女にお任せするので、私はシャトレーゼ伯爵夫人と楽しい歓談ですよ。
「まあ、これは見たことのないデザインですわね。それにこのネックレスも……貴方、これをごらんなさい。このような大粒のダイヤモンドが私の胸元を飾るのですよ」
「い、いや、ちょっと待ってくれ。そもそも今回の結婚式で、どうして身内であるお前まで着飾る必要があるのだ?」
「今回の結婚式、隣国の貴族家の方々も列席なさるのでしょう? そのような席で、まさか嫁ぎ先であるシャトレーゼ伯爵家の家族が見すぼらしい姿だったりしたら、先方の面子にも関わってきますわ」
「ええ、その通りでございますよ伯爵夫人。今回は、このように足元を飾る装飾品もご用意してあります。あとはそうですね……これなどいかがでしょうか」
はい、別にシャトレーゼ伯爵に恨みなんてありませんよ。
あの隣国の貴族もいる場所で、いきなり私の旧家の名前を出すなんて反則ですからね。
まあ、おかげて話し合いはスムーズに終わりましたけれど、あの一件以来、連日のように私の元に貴族家の使いの者がやってくるのですから。
それも、お茶会とか立食パーティーという名目で私を引っ張り出そうとしているのは見え見えですし、なにによりも長男や次男の嫁にとか、そういった話を振ってきやがりましたからね。
「お、おいフェイール嬢、もうそろそろその辺で勘弁してもらえないか?」
「ご安心ください。しっかりと伯爵用のスーツもご用意してありますので。それと、こちらは今回の結婚式で納品可能な食料品およびカトラリーです。ああ、そうそう、引き出物用として純銀のメナジェールもご用意してあります。こちらは、親族用にご用意したものですけれど」
カトラリー……すなわち食卓用のナイフやスプーンなど。
やはり新郎新婦の門出を祝うということでしたら、こちらも新品をご用意しなくては。
ちなみにメナジェールとは、きれいな装飾の施されたカトラリーが箱に収められているもので、ご贈答などで扱われるそうです。
【型録通販のシャーリィ】の婚礼の基礎知識というページに書いてありましたので、間違いはありません。
「やれやれ。昨年は娘のデビュタントで、そして今年は息子の結婚式と。フェイール商店には毎年、世話になっているな」
「来年はお孫さんの出産祝いですね、畏まりました」
「そこまでは、流石にまだ早いな……と、ふむむふむ。これはいいカトラリーだな。我が家の家紋にある『車輪』を意匠として取り込んであるのか」
「はい。これを探すのは大変だったのです」
いえ、それほどでもありません。
実は、型録に載っていたカトラリーの飾りと伯爵家の家紋が偶然一致していたものがあったので、それをサンプルとして購入してみたのですが。
予想よりも喜んでいただけたようです。
そして私が提出した結婚式に必要な商品一覧の見積書をじっと眺めつつ、最後の確認作業を行ってくれていますが。
時折、チラッチラッと夫人の方を見ては、ため息をついています。
「……去年の三倍の出費か……いや、それで済んでいるというのは奇跡だろう。これを王都の商会に発注していたら、この倍は取れられていたかもしれないし、なによりも商品が揃わなかっただろう。まあ、アーレスト商会に発注するという手もあったが、王都には商会店舗がないから時間的な制約もあったか」
「グランドリ兄さまですか。まあ、確かに兄の手腕でしたら、この程度のもは揃えられるでしょうけれど……時間が足りないですね」
うん。
今は北方のアーレスト領で、ほそぼそと商会を維持しているそうですから。
今度北方に向かうようなことがありましたら、一度顔を出してくるのもよいかもしれませんね。
「よし、これで頼みたい。食材の納品ついては前日の朝、それ以外は明日にでも納品してくれて構わない。それと、引き出物についてだが」
「そちらはクレアさんと執務官のお二人におまかせしていますが。やっばり、あちらの国の貴族さまは装飾品を、それも黒真珠を欲しているということで作業は難航しています」
「まあ、マクガイア家にはそれも踏まえての勉強代と思わせておけ。あれから情報屋を通じてマクガイア家のことを調べて貰ったのだが、裏で酷いことをしていたものだ……」
あ、やっぱりそうなのですか。
実は、クレアさんの様子をずっと見ていて、彼女が生粋の悪役令嬢ではないように思えていました。マクガイア家令嬢の罠に掛けられて汚名を着せられたとか、そんな可能性もあるかなぁと考えていたこともありまして。
まあ、あの上から目線であったり豪華絢爛贅沢大好きな性格は地なのでしょうけれど。
「それでも、今回の結婚式は行われるのですね」
「まあ、な。子供同士が愛し合って決めたことだからな。それに親がどうこう言う筋合いはない……」
「それで、本音は?」
「カマンベール王国の商会関係との繋がりが持てること、あとはそうだな……あの国の財務局とも懇意にできそうだからな。マクガイア家には、そのあたりのつなぎを取って貰えるようになるから」
うんうん。
やっぱり貴族って、こういうものですよね。
子供たちの婚姻すら政局や利権の材料として扱う。
このしたたかさがあるからこそ、伯爵という地位についているのかも。
「……なあ、フェイール嬢。その生ぬるいニヤニヤした顔を押さえてくれないか?」
「いえいえ。伯爵さまも貴族なのだなぁと思いまして」
「それは当然だ。私は、このシャトレーゼ伯爵領を豊かにしなくてはならないという使命があるかな。それはそうと、あの……妻の装飾品の代金なのだが」
「はい。ご友人価格ということて割引させていただきますので、ご安心ください」
この私の一言で、伯爵もホッと一安心のようで。
さて、隣室で打ち合わせをしているクレアさんの様子は、どんな感じでしょうか。
………
……
…
──隣室・引き出物選別会議
現在。
私、フェイール商店のクレアと執務官のマスティ、そしてシャトレーゼ伯爵家執務官の三人は、大量の書類を前に悪戦苦闘中ですわ。
今回の結婚式の引き出物について、ハーバリオス王国側の貴族分とメルカバリーの市民向けのものについてはおおよその選定は終わっています。
市民向けのものは、クリスティナ店長がよくこの街で販売していた商品を詰め合わせものを、そして貴族相手にはあらかじめ用意しておいた複数の商品を別室で選んでもらうスタイルに決定しました。
すでに私から必要な商品とその数についてリストを作成し手渡してありますけれど、ここで問題なのが、やはりカマンベール王国の強欲貴族たちの存在。
「ふふふふふ、あの糞貴族どもがぁぁぁぁぁ!! 異世界の結婚式の仕組みを理解した瞬間に、引き出物はより豪華なものとか黒真珠を寄越せとか、言いたい放題いいやがってぇぇぇぇぇ」
はい。マスティさんが切れています。
彼女の目の前には大量の指示書。
数日前に行われた引き出物の審査会で並んでいた商品から、自分たちが欲しいものをチョイスしてそれを寄越すようにっていうお貴族様からのお手紙が積まれています。
そんなものの意見など聞く必要がないのですけれど、マクガイア子爵曰く『できうる限り、予算の範囲内で、希望をかなえて欲しい』という言葉を謝罪と共に頂きましたので。
それで頭が痛い状況でして……って、あれれ?
「あの、マスティさん、こっちの書類にエリー嬢からの要望書も届いていますけれど」
「はぁ……なんで新婦が引き出物を欲しがっているのでしょうか……」
そうブツブツと文句を言いつつ、マスティさんはエリー嬢の要望書を手に取って。
──ビリビリビリッ
全力で破り捨てましたよ。
あ、あの、それって羊皮紙ですよね、それを破るだけの力って、貴方はどれだけ膂力に優れているのでしょうか。
「あの糞娘がぁぁぁぁ。何よこれ、全て一品ずつ納品しなさい、お父様には内緒でお願いしますって……」
「まあまあ。しっかりとマクガイア子爵に報告すればいいだけですから。それで、引き出物はどうするのでしょうか? こちらでもある程度の我儘を聞き入れつつ、商品のリストを作成しましたけれど」
すでにこうなることは想定済み。
マスティさんは私が用意したリストを受け取って、ふむふむといくつかの修正を行った後。
「はい、もうこれで決定です。まともな貴族に会わせて納品させてもらいましょう。強欲な貴族のリストはのちほど、旦那様にご報告さしあげるということにしておきますよ、ええ、エリー嬢のことについてもね……」
「あはは……それでよろしいかと」
うん。
これで引き出物についての長く険しい選別は無事に完了しましたが。
ふと、書類の束にまぎれ混んでいた一通の書面に目が届きます。
ほかの要望書とは異なり、カマンベール王国のとある侯爵家の封蝋まで施されています。
あて先は……私ですか。
はて、これは何でしょうか。
マスティさんが引き出物リストの清書を行っているうちに、こっそりと確認してみましょうか。
『カマンベール王国・旧フェイール王家の血筋と王家の遺産について。クリスティナ・フェイールが王家筋の末裔である可能性があり、クレア・アイゼンボーグにはそれを調査し、報告していただきたい。報酬として……』
んんん?
こっそりと収納バッグの中に手紙を放り込みます。
これは、見てはいけなかったものだったかもしれませんが……どうしましょうか。
引き出物審査を行った日の夕方から、妙にノワールさんとクレアさんの仲が良いように感じるのですが。
まあ、不仲であったり険悪であるよりは良いかと思いますよ。
仕事に関してもしっかりとお勤めを果たしてくれていますし、マクガイア家の執務官の方とも楽しそうに話をしているようですので。
そちらは彼女にお任せするので、私はシャトレーゼ伯爵夫人と楽しい歓談ですよ。
「まあ、これは見たことのないデザインですわね。それにこのネックレスも……貴方、これをごらんなさい。このような大粒のダイヤモンドが私の胸元を飾るのですよ」
「い、いや、ちょっと待ってくれ。そもそも今回の結婚式で、どうして身内であるお前まで着飾る必要があるのだ?」
「今回の結婚式、隣国の貴族家の方々も列席なさるのでしょう? そのような席で、まさか嫁ぎ先であるシャトレーゼ伯爵家の家族が見すぼらしい姿だったりしたら、先方の面子にも関わってきますわ」
「ええ、その通りでございますよ伯爵夫人。今回は、このように足元を飾る装飾品もご用意してあります。あとはそうですね……これなどいかがでしょうか」
はい、別にシャトレーゼ伯爵に恨みなんてありませんよ。
あの隣国の貴族もいる場所で、いきなり私の旧家の名前を出すなんて反則ですからね。
まあ、おかげて話し合いはスムーズに終わりましたけれど、あの一件以来、連日のように私の元に貴族家の使いの者がやってくるのですから。
それも、お茶会とか立食パーティーという名目で私を引っ張り出そうとしているのは見え見えですし、なにによりも長男や次男の嫁にとか、そういった話を振ってきやがりましたからね。
「お、おいフェイール嬢、もうそろそろその辺で勘弁してもらえないか?」
「ご安心ください。しっかりと伯爵用のスーツもご用意してありますので。それと、こちらは今回の結婚式で納品可能な食料品およびカトラリーです。ああ、そうそう、引き出物用として純銀のメナジェールもご用意してあります。こちらは、親族用にご用意したものですけれど」
カトラリー……すなわち食卓用のナイフやスプーンなど。
やはり新郎新婦の門出を祝うということでしたら、こちらも新品をご用意しなくては。
ちなみにメナジェールとは、きれいな装飾の施されたカトラリーが箱に収められているもので、ご贈答などで扱われるそうです。
【型録通販のシャーリィ】の婚礼の基礎知識というページに書いてありましたので、間違いはありません。
「やれやれ。昨年は娘のデビュタントで、そして今年は息子の結婚式と。フェイール商店には毎年、世話になっているな」
「来年はお孫さんの出産祝いですね、畏まりました」
「そこまでは、流石にまだ早いな……と、ふむむふむ。これはいいカトラリーだな。我が家の家紋にある『車輪』を意匠として取り込んであるのか」
「はい。これを探すのは大変だったのです」
いえ、それほどでもありません。
実は、型録に載っていたカトラリーの飾りと伯爵家の家紋が偶然一致していたものがあったので、それをサンプルとして購入してみたのですが。
予想よりも喜んでいただけたようです。
そして私が提出した結婚式に必要な商品一覧の見積書をじっと眺めつつ、最後の確認作業を行ってくれていますが。
時折、チラッチラッと夫人の方を見ては、ため息をついています。
「……去年の三倍の出費か……いや、それで済んでいるというのは奇跡だろう。これを王都の商会に発注していたら、この倍は取れられていたかもしれないし、なによりも商品が揃わなかっただろう。まあ、アーレスト商会に発注するという手もあったが、王都には商会店舗がないから時間的な制約もあったか」
「グランドリ兄さまですか。まあ、確かに兄の手腕でしたら、この程度のもは揃えられるでしょうけれど……時間が足りないですね」
うん。
今は北方のアーレスト領で、ほそぼそと商会を維持しているそうですから。
今度北方に向かうようなことがありましたら、一度顔を出してくるのもよいかもしれませんね。
「よし、これで頼みたい。食材の納品ついては前日の朝、それ以外は明日にでも納品してくれて構わない。それと、引き出物についてだが」
「そちらはクレアさんと執務官のお二人におまかせしていますが。やっばり、あちらの国の貴族さまは装飾品を、それも黒真珠を欲しているということで作業は難航しています」
「まあ、マクガイア家にはそれも踏まえての勉強代と思わせておけ。あれから情報屋を通じてマクガイア家のことを調べて貰ったのだが、裏で酷いことをしていたものだ……」
あ、やっぱりそうなのですか。
実は、クレアさんの様子をずっと見ていて、彼女が生粋の悪役令嬢ではないように思えていました。マクガイア家令嬢の罠に掛けられて汚名を着せられたとか、そんな可能性もあるかなぁと考えていたこともありまして。
まあ、あの上から目線であったり豪華絢爛贅沢大好きな性格は地なのでしょうけれど。
「それでも、今回の結婚式は行われるのですね」
「まあ、な。子供同士が愛し合って決めたことだからな。それに親がどうこう言う筋合いはない……」
「それで、本音は?」
「カマンベール王国の商会関係との繋がりが持てること、あとはそうだな……あの国の財務局とも懇意にできそうだからな。マクガイア家には、そのあたりのつなぎを取って貰えるようになるから」
うんうん。
やっぱり貴族って、こういうものですよね。
子供たちの婚姻すら政局や利権の材料として扱う。
このしたたかさがあるからこそ、伯爵という地位についているのかも。
「……なあ、フェイール嬢。その生ぬるいニヤニヤした顔を押さえてくれないか?」
「いえいえ。伯爵さまも貴族なのだなぁと思いまして」
「それは当然だ。私は、このシャトレーゼ伯爵領を豊かにしなくてはならないという使命があるかな。それはそうと、あの……妻の装飾品の代金なのだが」
「はい。ご友人価格ということて割引させていただきますので、ご安心ください」
この私の一言で、伯爵もホッと一安心のようで。
さて、隣室で打ち合わせをしているクレアさんの様子は、どんな感じでしょうか。
………
……
…
──隣室・引き出物選別会議
現在。
私、フェイール商店のクレアと執務官のマスティ、そしてシャトレーゼ伯爵家執務官の三人は、大量の書類を前に悪戦苦闘中ですわ。
今回の結婚式の引き出物について、ハーバリオス王国側の貴族分とメルカバリーの市民向けのものについてはおおよその選定は終わっています。
市民向けのものは、クリスティナ店長がよくこの街で販売していた商品を詰め合わせものを、そして貴族相手にはあらかじめ用意しておいた複数の商品を別室で選んでもらうスタイルに決定しました。
すでに私から必要な商品とその数についてリストを作成し手渡してありますけれど、ここで問題なのが、やはりカマンベール王国の強欲貴族たちの存在。
「ふふふふふ、あの糞貴族どもがぁぁぁぁぁ!! 異世界の結婚式の仕組みを理解した瞬間に、引き出物はより豪華なものとか黒真珠を寄越せとか、言いたい放題いいやがってぇぇぇぇぇ」
はい。マスティさんが切れています。
彼女の目の前には大量の指示書。
数日前に行われた引き出物の審査会で並んでいた商品から、自分たちが欲しいものをチョイスしてそれを寄越すようにっていうお貴族様からのお手紙が積まれています。
そんなものの意見など聞く必要がないのですけれど、マクガイア子爵曰く『できうる限り、予算の範囲内で、希望をかなえて欲しい』という言葉を謝罪と共に頂きましたので。
それで頭が痛い状況でして……って、あれれ?
「あの、マスティさん、こっちの書類にエリー嬢からの要望書も届いていますけれど」
「はぁ……なんで新婦が引き出物を欲しがっているのでしょうか……」
そうブツブツと文句を言いつつ、マスティさんはエリー嬢の要望書を手に取って。
──ビリビリビリッ
全力で破り捨てましたよ。
あ、あの、それって羊皮紙ですよね、それを破るだけの力って、貴方はどれだけ膂力に優れているのでしょうか。
「あの糞娘がぁぁぁぁ。何よこれ、全て一品ずつ納品しなさい、お父様には内緒でお願いしますって……」
「まあまあ。しっかりとマクガイア子爵に報告すればいいだけですから。それで、引き出物はどうするのでしょうか? こちらでもある程度の我儘を聞き入れつつ、商品のリストを作成しましたけれど」
すでにこうなることは想定済み。
マスティさんは私が用意したリストを受け取って、ふむふむといくつかの修正を行った後。
「はい、もうこれで決定です。まともな貴族に会わせて納品させてもらいましょう。強欲な貴族のリストはのちほど、旦那様にご報告さしあげるということにしておきますよ、ええ、エリー嬢のことについてもね……」
「あはは……それでよろしいかと」
うん。
これで引き出物についての長く険しい選別は無事に完了しましたが。
ふと、書類の束にまぎれ混んでいた一通の書面に目が届きます。
ほかの要望書とは異なり、カマンベール王国のとある侯爵家の封蝋まで施されています。
あて先は……私ですか。
はて、これは何でしょうか。
マスティさんが引き出物リストの清書を行っているうちに、こっそりと確認してみましょうか。
『カマンベール王国・旧フェイール王家の血筋と王家の遺産について。クリスティナ・フェイールが王家筋の末裔である可能性があり、クレア・アイゼンボーグにはそれを調査し、報告していただきたい。報酬として……』
んんん?
こっそりと収納バッグの中に手紙を放り込みます。
これは、見てはいけなかったものだったかもしれませんが……どうしましょうか。
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