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第3章・神と精霊と、契約者と
第109話・お供物と、おせちの連携。そのまえにクリスマスケーキ?
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海神リバイアスさまの求めるもの。
教会からのお願いで、私はそれを探さなくてはなりません。
新年祭に出店する露店での販売用福袋をはじめ、幾つもの商品の発注や準備も行わなくてはなりませんが。
それよりも先に、クリスマス商戦というものがあるのですよ!!
先日、柚月さんと型録を見ていた限りでは、さまざまな商品が特設ページに載っているのてんす。それも、普段は見たことがない豪華な品物の数々が。
「ノワールさん、リバイアスさまとはお知り合いで?」
「私は黒竜を統べる女王であり、神竜に至りエセリアルナイトとなりました。同じように、リバイアスは青竜の王であり神竜へと至り、亜神堂同格の地位まで登り詰めて祀られている存在です。まあ、知り合いかどうかといいますと……拳で語り合った仲とでも」
「……見目麗しい女性が殴り合いとは……」
「紀伊國屋っち、普段とは様子がちがうし」
「何を仰いますか。私は普段と何ら変わりはありませんよ。それよりも、柚月さんは明日の出発の準備は、出来ているのですか?」
椅子に座って柚月さんと話をしている紀伊國屋さん。
まあ、確かにノワールさんが来る前よりも滑舌が滑らかというか、時折、キザな貴族のボンボンのような身振り手振りが見え隠れしています。
なにかあったのでしょうかね。
「とっくに出来ているし、空を飛んで帰るから問題ない!!」
「まあ、あとは武田くんと緒方さん、二人の様子を見てきてくれますか?」
「あーしはクリスっちと話ししているんだから、紀伊國屋っちが見てくるといいし」
「あ、私たちはそろそろ部屋に戻りますよ。明日の準備もありますし、色々と調べたいこともありますから。柚月さん、後ほどお知恵を拝借させて貰えます?」
【型録通販のシャーリィ】の商品に関する説明とアドバイスを求めたいので、ここで魔導書を開いたり商品のことを聞くのは無理ですから。
「ふむ、私でよろしければ、お力になりますよ?」
「いえいえ、ここは女同士、柚月さんにお願いしますので。では、失礼します」
「それでは」
私とノアールさんも立ち上がり、紀伊國屋さんと柚月さんに頭を下げて部屋に戻ります。
まあ、普段の何気ない話なら、博識な紀伊國屋さんにも相談できるのですけれど。流石に【シャーリィ】の話となりますと秘匿情報が盛り沢山なので、ちょっとキツイですね。
………
……
…
部屋に戻って10分ほど。
すると、扉をノックする音が聞こえてきて、柚月さんが部屋にやって来ました。
「はろはろ。あーしがやって来たし。それで、クリスっちは何の相談かな?」
「はい。今の所の、私の作業内容なんですけど……」
そう前置きをしてから、私はアイテムボックスから羊皮紙と羽ペンを取り出します。そして、一つ一つのやるべきことを書き出してみました。
・クリスマスパーティ用の商品選別
・福袋の詰め込み作業、そのための商品の仕分け及び袋の調達
・新年祭の露店用商品の調達及び、飾り付けの準備
・海神リバイアスさまへのお供えの選別
・契約の精霊に、私の契約の解除要請
とまあ、ここまで色々なものが並びますと、本当に何から手をつけたのものかと頭が痛くなって来ます。
それでも、時系列順に書き出してありますから、上から順番にやるだけ難点すけれど、その商品の選別のアイデアを出して欲しいというか、一緒に見てもらいたかったのですよ。
「あ~、まさに師走って感じだし……クリスっち、なんでもかんでも引き受けるの良くないし」
「これでも、断るべきものは断ったのですし。そもそも、海神様については、わたしが何かをする義理も何もありませんよ。それは教会の仕事ですし、私が納品に向かう必要もありません。商品を決めてお題を受け取り、発注して手渡し、それでおしまいです」
「あのリバイアスが、それで満足するとは思えませんけれど……」
ノワールさん、不吉なフラグの構築は禁止です!!
「まあ、商品の選抜は手伝えるし。それと、福袋用の入れ物って、雑貨屋で買うの?」
「いえ、実は【型録通販のシャーリィ】の追加項目で、【ラッピング用素材】というのがありまして。包装紙やリボン、ノシ? それとラッピングバッグというのがあるのですよ。商品を発注したときに、それぞれにつけてくれるそうですけど別料金で、ラッピング用素材は纏め買いできるのです」
これは期間限定ではなく、どうやら以前のアップデートのときに追加されていたようでして。これを使って、大きめのラッピングバッグを大量に購入し、福袋用の商品を詰めて閉じるだけで完成です。
「へぇ、どれどれ……ノシって、熨斗の事だし」
「これは、何に使うのですか?」
「これはね、まあ慶弔用の挨拶のようなもの? おめでたい時やお悔やみの時に送るものにつけるものだから、今は関係ないし」
「ふむふむ。メモしておきますね」
柚月さんから学んだ事、それは一文字も無駄にしてはいけません。
「さてと、一番最初はクリスマス商戦……って、クリスっち、この世界にクリスマスなんてあるし?」
「かつての勇者さまが齎した文化ですよ? クリスマスという神様を祀り、年に一度、その神様の誕生日を祝う。異世界の神様を祀るお祭りとして、王都などでは普通に行われています。まあ、本神殿に祀られている主神というよりも、勇者様のための副神のような立ち位置ですし」
「ふぅん。ちなみに、どんなことをするし」
「神殿でクリスマス様にお祈りを捧げます。そのあとは、家族で厳かに過ごしたり、酒場に繰り出して朝まで飲み明かしたり。そして、子どもたちは神様から祝福を得られるそうです」
一年間、良い子にしていた子供には神の祝福が与えられることがあるとかないとか。まあ、それは子供達が元気に健やかに一年を過ごすための方便であり、16歳の成人の儀になるまでは、どのような加護を得られたのかわからないのですけどね。
でも、加護の数は個人差ですからね。
このクリスマスというお祭りも、それに今回しているかもというのが、魔術師学会での定説になりつつあるそうです。
「ふむふむ。まあ、色々と違うところがあったり同じだったりするから、特に問題はないし。それで、何を仕入れるし?」
「クリスマスといえば、ケーキトターキーという料理があるそうなのですけど。これは、うまく伝承が伝わらなかったようで、それが何なのかいまだに不明なのです」
「ケーキとターキー? クリスマスケーキと七面鳥の丸焼きだし。ほら、ここのページのこれ、これがクリスマスには定番だし!!」
な、なんですって!!
これはクリスマス用の贅沢な料理だと思っていましたけど、これが定番なのですか? でも、型録には定番だなんてどこにも書いてありませんよ。
あ、当たり前すぎて定番だなんて書く必要もないということでしたか。
「柚月さん、これこそ、魔術師学会の勇者史に残すべき真実です!!」
「そこまで大袈裟じゃないし。あーしたちはターキーなんて買わないで、近くの店でフライドチキンを買うし。ランディサンダースの人形が目印だし」
「ランディサンダース? それもなにかクリスマスの定番なので?」
「アメリカのフライドチキン屋さんの創始者で、まあ、話すと長いしめんどいから簡単にいうと、ターキーよりも手軽に食べられるもののお店のオーナーだし。昔は近くの川に放り投げられて、ティーガーズが呪われたし」
怖いっ!!
呪いの人形? いえ、川に放り投げられた呪いなのですか。
これもメモしておきます。
「つまりここまでの話を要約しますと、クリスマスの日には七面鳥の丸焼きとクリスマスケーキ、これを購入しておけば良いのですね」
早速メモをとってから、発注書に商品番号を書き込んでおきます。
ちょうど、ペルソナさんの定期配達日がクリスマスなので、その日に合わせて配達してもらうように手配しましょう。
「そうそう、クリスマスは恋人同士のイベントでもあるし。聖夜っていう呼び方もあって、親しい人、すなわち恋人と一緒に過ごす日だし」
柚月さんが私を見てニヤニヤと笑っていますけど。
アーレスト家を出された私には、関係がありませんよね。
「だから、その日は、あーしたちもサライに戻ってくるから、みんなで教会に行ってお祈りしてから、酒場でパーティーするし!!」
「えええ!!」
「あーしだけじゃなく、暇そうな武田っちや緒方っち、それに紀伊國屋っちも呼ぶし、ブランシュさんやノワールさん、ペルソナさんと、あと配達誰かいたし?」
「クラウンさんとジョーカーさん。そうですね……皆さんでお祝いしましょうか」
ニヤニヤの意味は、これでしたか。
あは。
少しだけ、嬉しくて泣けて来ましたね。
去年は実家で過ごしたましたけど、殆ど誰とも会話できず部屋に一人で籠っていましたから。
でも、今年は、暖かいクリスマスを迎えられそうです。
教会からのお願いで、私はそれを探さなくてはなりません。
新年祭に出店する露店での販売用福袋をはじめ、幾つもの商品の発注や準備も行わなくてはなりませんが。
それよりも先に、クリスマス商戦というものがあるのですよ!!
先日、柚月さんと型録を見ていた限りでは、さまざまな商品が特設ページに載っているのてんす。それも、普段は見たことがない豪華な品物の数々が。
「ノワールさん、リバイアスさまとはお知り合いで?」
「私は黒竜を統べる女王であり、神竜に至りエセリアルナイトとなりました。同じように、リバイアスは青竜の王であり神竜へと至り、亜神堂同格の地位まで登り詰めて祀られている存在です。まあ、知り合いかどうかといいますと……拳で語り合った仲とでも」
「……見目麗しい女性が殴り合いとは……」
「紀伊國屋っち、普段とは様子がちがうし」
「何を仰いますか。私は普段と何ら変わりはありませんよ。それよりも、柚月さんは明日の出発の準備は、出来ているのですか?」
椅子に座って柚月さんと話をしている紀伊國屋さん。
まあ、確かにノワールさんが来る前よりも滑舌が滑らかというか、時折、キザな貴族のボンボンのような身振り手振りが見え隠れしています。
なにかあったのでしょうかね。
「とっくに出来ているし、空を飛んで帰るから問題ない!!」
「まあ、あとは武田くんと緒方さん、二人の様子を見てきてくれますか?」
「あーしはクリスっちと話ししているんだから、紀伊國屋っちが見てくるといいし」
「あ、私たちはそろそろ部屋に戻りますよ。明日の準備もありますし、色々と調べたいこともありますから。柚月さん、後ほどお知恵を拝借させて貰えます?」
【型録通販のシャーリィ】の商品に関する説明とアドバイスを求めたいので、ここで魔導書を開いたり商品のことを聞くのは無理ですから。
「ふむ、私でよろしければ、お力になりますよ?」
「いえいえ、ここは女同士、柚月さんにお願いしますので。では、失礼します」
「それでは」
私とノアールさんも立ち上がり、紀伊國屋さんと柚月さんに頭を下げて部屋に戻ります。
まあ、普段の何気ない話なら、博識な紀伊國屋さんにも相談できるのですけれど。流石に【シャーリィ】の話となりますと秘匿情報が盛り沢山なので、ちょっとキツイですね。
………
……
…
部屋に戻って10分ほど。
すると、扉をノックする音が聞こえてきて、柚月さんが部屋にやって来ました。
「はろはろ。あーしがやって来たし。それで、クリスっちは何の相談かな?」
「はい。今の所の、私の作業内容なんですけど……」
そう前置きをしてから、私はアイテムボックスから羊皮紙と羽ペンを取り出します。そして、一つ一つのやるべきことを書き出してみました。
・クリスマスパーティ用の商品選別
・福袋の詰め込み作業、そのための商品の仕分け及び袋の調達
・新年祭の露店用商品の調達及び、飾り付けの準備
・海神リバイアスさまへのお供えの選別
・契約の精霊に、私の契約の解除要請
とまあ、ここまで色々なものが並びますと、本当に何から手をつけたのものかと頭が痛くなって来ます。
それでも、時系列順に書き出してありますから、上から順番にやるだけ難点すけれど、その商品の選別のアイデアを出して欲しいというか、一緒に見てもらいたかったのですよ。
「あ~、まさに師走って感じだし……クリスっち、なんでもかんでも引き受けるの良くないし」
「これでも、断るべきものは断ったのですし。そもそも、海神様については、わたしが何かをする義理も何もありませんよ。それは教会の仕事ですし、私が納品に向かう必要もありません。商品を決めてお題を受け取り、発注して手渡し、それでおしまいです」
「あのリバイアスが、それで満足するとは思えませんけれど……」
ノワールさん、不吉なフラグの構築は禁止です!!
「まあ、商品の選抜は手伝えるし。それと、福袋用の入れ物って、雑貨屋で買うの?」
「いえ、実は【型録通販のシャーリィ】の追加項目で、【ラッピング用素材】というのがありまして。包装紙やリボン、ノシ? それとラッピングバッグというのがあるのですよ。商品を発注したときに、それぞれにつけてくれるそうですけど別料金で、ラッピング用素材は纏め買いできるのです」
これは期間限定ではなく、どうやら以前のアップデートのときに追加されていたようでして。これを使って、大きめのラッピングバッグを大量に購入し、福袋用の商品を詰めて閉じるだけで完成です。
「へぇ、どれどれ……ノシって、熨斗の事だし」
「これは、何に使うのですか?」
「これはね、まあ慶弔用の挨拶のようなもの? おめでたい時やお悔やみの時に送るものにつけるものだから、今は関係ないし」
「ふむふむ。メモしておきますね」
柚月さんから学んだ事、それは一文字も無駄にしてはいけません。
「さてと、一番最初はクリスマス商戦……って、クリスっち、この世界にクリスマスなんてあるし?」
「かつての勇者さまが齎した文化ですよ? クリスマスという神様を祀り、年に一度、その神様の誕生日を祝う。異世界の神様を祀るお祭りとして、王都などでは普通に行われています。まあ、本神殿に祀られている主神というよりも、勇者様のための副神のような立ち位置ですし」
「ふぅん。ちなみに、どんなことをするし」
「神殿でクリスマス様にお祈りを捧げます。そのあとは、家族で厳かに過ごしたり、酒場に繰り出して朝まで飲み明かしたり。そして、子どもたちは神様から祝福を得られるそうです」
一年間、良い子にしていた子供には神の祝福が与えられることがあるとかないとか。まあ、それは子供達が元気に健やかに一年を過ごすための方便であり、16歳の成人の儀になるまでは、どのような加護を得られたのかわからないのですけどね。
でも、加護の数は個人差ですからね。
このクリスマスというお祭りも、それに今回しているかもというのが、魔術師学会での定説になりつつあるそうです。
「ふむふむ。まあ、色々と違うところがあったり同じだったりするから、特に問題はないし。それで、何を仕入れるし?」
「クリスマスといえば、ケーキトターキーという料理があるそうなのですけど。これは、うまく伝承が伝わらなかったようで、それが何なのかいまだに不明なのです」
「ケーキとターキー? クリスマスケーキと七面鳥の丸焼きだし。ほら、ここのページのこれ、これがクリスマスには定番だし!!」
な、なんですって!!
これはクリスマス用の贅沢な料理だと思っていましたけど、これが定番なのですか? でも、型録には定番だなんてどこにも書いてありませんよ。
あ、当たり前すぎて定番だなんて書く必要もないということでしたか。
「柚月さん、これこそ、魔術師学会の勇者史に残すべき真実です!!」
「そこまで大袈裟じゃないし。あーしたちはターキーなんて買わないで、近くの店でフライドチキンを買うし。ランディサンダースの人形が目印だし」
「ランディサンダース? それもなにかクリスマスの定番なので?」
「アメリカのフライドチキン屋さんの創始者で、まあ、話すと長いしめんどいから簡単にいうと、ターキーよりも手軽に食べられるもののお店のオーナーだし。昔は近くの川に放り投げられて、ティーガーズが呪われたし」
怖いっ!!
呪いの人形? いえ、川に放り投げられた呪いなのですか。
これもメモしておきます。
「つまりここまでの話を要約しますと、クリスマスの日には七面鳥の丸焼きとクリスマスケーキ、これを購入しておけば良いのですね」
早速メモをとってから、発注書に商品番号を書き込んでおきます。
ちょうど、ペルソナさんの定期配達日がクリスマスなので、その日に合わせて配達してもらうように手配しましょう。
「そうそう、クリスマスは恋人同士のイベントでもあるし。聖夜っていう呼び方もあって、親しい人、すなわち恋人と一緒に過ごす日だし」
柚月さんが私を見てニヤニヤと笑っていますけど。
アーレスト家を出された私には、関係がありませんよね。
「だから、その日は、あーしたちもサライに戻ってくるから、みんなで教会に行ってお祈りしてから、酒場でパーティーするし!!」
「えええ!!」
「あーしだけじゃなく、暇そうな武田っちや緒方っち、それに紀伊國屋っちも呼ぶし、ブランシュさんやノワールさん、ペルソナさんと、あと配達誰かいたし?」
「クラウンさんとジョーカーさん。そうですね……皆さんでお祝いしましょうか」
ニヤニヤの意味は、これでしたか。
あは。
少しだけ、嬉しくて泣けて来ましたね。
去年は実家で過ごしたましたけど、殆ど誰とも会話できず部屋に一人で籠っていましたから。
でも、今年は、暖かいクリスマスを迎えられそうです。
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