褒美は変わった皇女様

よしき

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明日に向けて

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 パーティーが終わり、火が沈む頃。シアは寝室でベッドにもたれかかっていた。服装はすでに就寝するための服に着替えていた。
「明日はガッカリしたくないものだ・・・」
 余程昼間のパーティーは疲れた様すで、ケイティが軽食をすすめるが、それも首を横に振って拒んだ。1日ほとんど何も食べていないのにもかかわらず、お腹は減っていなかった。仕方なく、ケイティは、シアの足をホットタオルで温めた。シアはそれが好きで、侯爵家にきてからも時々ケイティにしてもらっていた。
 そんな時、マーリンの声が聞こえた。
「シア様、旦那様が戻られました。」
 シアはケイティを下がらせると、サージャがすぐに寝室へ入ってきた。
「パーティーは終わったのか?」
「あぁ、シアはそのまま休んで。」
 ベッドから起き上がろうとするシアをサージャは制した。そして、シアの近くのベッドに腰を下ろした。
「今日は疲れただろう?シア」
 サージャが近衛隊の制服を少しだらしなく着ており、少しお酒の香りもした。パーティー中客に捕まっていたのだろう。
「流石に、私も少々疲れたよ」
 サージャは、ふぅっとため息をついて、わざと笑って見せた。
「英雄でも、疲れることがあるのですね」
 シアが珍しく、トゲのない言い方で話してきたので、サージャは驚いたが、シアは話を続けた。
「私は、生まれた時から余り人とはできるだけ接しない様にしてきたし。陛下もそれを許してくださっていた。だから、今日の様なパーティーは、本当にこれで終わりにしてほしい・・・」
 サージャは、シアの細い手の上に自分の手を乗せた。
「本当に今日はありがとう。明日は、大丈夫だから、今日はゆっくり眠ってくれ」
 サージャの、黒い瞳が優しくシアを捉える。そして、手の甲に優しくキスを落とした。
「サージャは、本当に我が国の英雄だけあって紳士なのですね」
 シアは優しく笑った。サージャは、その笑顔を見るとすぐに顔を背けた。
「俺だって男だし、あなたの夫だ。今すぐにでも、あなたを抱きしめたい気持ちもあるが・・・シアにはその気はないのでしょう?」
 「確かに、今はこのぐらいの関係が私たちには丁度いいのかもしれない。」
 サージャは改めて、シアの手の甲にキスをすると、そのまま横になって寝てしまった。
 サージャがすっかり寝ているのを確認すると、シアは悲しそうに笑いながら呟く。
「本当なら、私たちはもう結ばれているはずなのに・・・サージャ・・・」
と。
 


 
 
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