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褒美
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ハルベルトは、嬉しさを隠しながら、城の大広間にある皇帝の席に堂々と座る。その三段階段を下がった所には、サージャリオン膝まづいていた。今や『英雄』として帝国内外にも知れ渡っている彼が、皇帝からの恩賞を受けると聞いて、貴族たちがそれを遠巻きに見ている。
ハルベルトは、羊皮紙に先ほど自分で認めた文章を、宰相に読むように指示を出す。もちろん書いているのは、サージャリオンへの褒美である。
宰相は、優雅に広げて書いてある言葉を読み上げた。
「先のミランダルでの戦いで、我が軍を勝利へと導いた褒美として、皇女・アナスタシアをサージャリオン・フォン・ジェットラム侯爵に降嫁させる」
一瞬、その場の空気が張り詰めたあと、ザワザワと皆が囁く。
「アナスタシア様だと?!」
「だって、あの方は・・・」
「陛下は何をお考えなのだ?!」
「皆のもの、鎮まれ!」
ハルベルトの低い声に、その場にいた全ての人々が口を閉ざす。それを確認してから、ハルベルトは、再び口を開いた。
「ジェットラム侯爵、私からの褒美だ。確と受け取るように。」
重ねてハルベルトが言う。
サージャリオンは、さらに深く首を下げた。
「なお、皇女の降嫁は3ヶ月後とする。よいな・・・」
その場にいた全ての人々が、皇帝からの命令に意義を申し立てる者など誰もいるはずがなかった。
ハルベルトは、羊皮紙に先ほど自分で認めた文章を、宰相に読むように指示を出す。もちろん書いているのは、サージャリオンへの褒美である。
宰相は、優雅に広げて書いてある言葉を読み上げた。
「先のミランダルでの戦いで、我が軍を勝利へと導いた褒美として、皇女・アナスタシアをサージャリオン・フォン・ジェットラム侯爵に降嫁させる」
一瞬、その場の空気が張り詰めたあと、ザワザワと皆が囁く。
「アナスタシア様だと?!」
「だって、あの方は・・・」
「陛下は何をお考えなのだ?!」
「皆のもの、鎮まれ!」
ハルベルトの低い声に、その場にいた全ての人々が口を閉ざす。それを確認してから、ハルベルトは、再び口を開いた。
「ジェットラム侯爵、私からの褒美だ。確と受け取るように。」
重ねてハルベルトが言う。
サージャリオンは、さらに深く首を下げた。
「なお、皇女の降嫁は3ヶ月後とする。よいな・・・」
その場にいた全ての人々が、皇帝からの命令に意義を申し立てる者など誰もいるはずがなかった。
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