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取り引き1
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2人は家に戻ってから、簡単な朝食を済ませた。シェヘラが食べた食器を片付ける。その間、アレックスはソファーに座ってそれが終わるのを待っていた。
シェヘラがソファーの方に戻って来て、アレックスに向き合う様にもう一つのソファーに座る。
そして、はじめに声をかけたのはシェヘラの方からだった。
「あんたも、これだけ動ける様になった事だし。ここに居る間、代償を払ってもらおう・・・」
突然の提案に、アレックスは目を見開いた。
「あんたは私に助けられたんだ。その借りを返すのは当たり前のことだろう? それとも皇族とか言う輩は、恩を返さないものなのかい?!」
シェヘラは、相変わらず無表情に話しかけてくる。それとは逆に、何とも言えない様な表情を顔に浮かべたのはアレックスであった。
「何とも恩着せがましいもんだな。助けてくれとは一言も言っていないが?」
「私の前に表れて意識を失った者を、置き去りにする事は、私には出来ない・・・」
シェヘラは、フィッと顔を背けた。少しだけバツが悪そうに話を続ける。
「とにかく。私はあんたを傷が癒えるまで、ここに置いてやろう。その代わりにあんたは、その銀の髪を私に捧げるんだ」
「俺の髪を?」
アレックスは、自分の髪を手で触れる。
「そう、あんたの銀の髪だ。」
シェヘラは、足を組んだ。
「昔から銀は聖なるもの。あんたのも同じ。細工を施せば、かなり強力な力が宿る・・・どうだい?悪い取引ではないだろ?」
正直、自分の髪にそれまでの価値があるのか、定かではない。しかし、髪はすぐに生えてくるものだ。アレックスは、その申し出を了解した。
シェヘラは、ウットリとした、歓喜の表情を浮かべる。アレックスは、彼女がハッキリと見せたその表情を始めて見た事に、少し驚いた。
でも、それは一時の事。シェヘラは、すぐに無表情に戻っていた。
アレックスは、早速髪を切るようにシェヘラに伝えたが、
「髪をもらうには、それなり準備をしてからじゃないともらえなとね。その事は、また夜に話すよ。」
そう言って、ソファーから立ち上がった。
「私は薬草を煎じなくちゃいけない。あんたは少し休むといいさ」
そういうと、再び外へと出ていった。
アレックスも、だいぶ調子がいいとは言え、やはり動き回るには、まだ少し早かった様だ。体が疲れてきている。アレックスはシェヘラの言う通り、元のベッドのある部屋に戻ると、そのまま眠気に身を任せた。
シェヘラがソファーの方に戻って来て、アレックスに向き合う様にもう一つのソファーに座る。
そして、はじめに声をかけたのはシェヘラの方からだった。
「あんたも、これだけ動ける様になった事だし。ここに居る間、代償を払ってもらおう・・・」
突然の提案に、アレックスは目を見開いた。
「あんたは私に助けられたんだ。その借りを返すのは当たり前のことだろう? それとも皇族とか言う輩は、恩を返さないものなのかい?!」
シェヘラは、相変わらず無表情に話しかけてくる。それとは逆に、何とも言えない様な表情を顔に浮かべたのはアレックスであった。
「何とも恩着せがましいもんだな。助けてくれとは一言も言っていないが?」
「私の前に表れて意識を失った者を、置き去りにする事は、私には出来ない・・・」
シェヘラは、フィッと顔を背けた。少しだけバツが悪そうに話を続ける。
「とにかく。私はあんたを傷が癒えるまで、ここに置いてやろう。その代わりにあんたは、その銀の髪を私に捧げるんだ」
「俺の髪を?」
アレックスは、自分の髪を手で触れる。
「そう、あんたの銀の髪だ。」
シェヘラは、足を組んだ。
「昔から銀は聖なるもの。あんたのも同じ。細工を施せば、かなり強力な力が宿る・・・どうだい?悪い取引ではないだろ?」
正直、自分の髪にそれまでの価値があるのか、定かではない。しかし、髪はすぐに生えてくるものだ。アレックスは、その申し出を了解した。
シェヘラは、ウットリとした、歓喜の表情を浮かべる。アレックスは、彼女がハッキリと見せたその表情を始めて見た事に、少し驚いた。
でも、それは一時の事。シェヘラは、すぐに無表情に戻っていた。
アレックスは、早速髪を切るようにシェヘラに伝えたが、
「髪をもらうには、それなり準備をしてからじゃないともらえなとね。その事は、また夜に話すよ。」
そう言って、ソファーから立ち上がった。
「私は薬草を煎じなくちゃいけない。あんたは少し休むといいさ」
そういうと、再び外へと出ていった。
アレックスも、だいぶ調子がいいとは言え、やはり動き回るには、まだ少し早かった様だ。体が疲れてきている。アレックスはシェヘラの言う通り、元のベッドのある部屋に戻ると、そのまま眠気に身を任せた。
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