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お姉様、堅物に求婚される。
しおりを挟む王女殿下に許可を頂き、ギルバートと共に庭園へ移動する。
「迷ってしまいそうな庭園ですわね。」
「そうだろうか。」
「きっと、大公殿下は幼い頃からよく来られていたからそう思われないだけですわ。初めてここに来た者はどこから来たのか分からなくなってしまいますわ。」
それにしても綺麗な花々が似合わない男ね。
貴方には断崖絶壁の岩がお似合いよ。
「それで、こんな素敵な場所でわたくしにお話とはなんでしょうか。」
どうせ、誕生日会でのパートナーの依頼でしょう?
貴方も私もお互いに嫌々パートナーになるんだから早く話を済ませたいわ。
「私は、貴方に求婚する。」
はい?
「……今なんと?
申し訳ございません。わたくし、最近耳が悪くなったようでして」
「貴方に求婚状を送りたいと言っているのだ。」
まさかお父様が懲りずに……?
前の人生でお父様がアルフォンスとの婚約破棄後に選んだのもこの男だったから驚きはしないけれど、でもこんな急なタイミング求婚してくる人がいるなんて聞いたことがないものだから驚いてしまったじゃない。
しかも私達仕事中なのよ。やっぱり非常識だわこの男。
「それは私の父からなにか殿下にお話があっての事ですか?」
「いや、違うが。」
……なんですって?
「お隠しにならなくてもよろしいのです。私も父の考えに薄々気付いておりましたの。」
「フェルディナント侯爵が貴方と私の婚約を望まれていたのは存じていなかった。だが、これは私からの提案によるものだ。」
「……ですが殿下は、わたくしに恋心などお持ちではないですよね?」
「………そういうわけではない。貴女の真っ直ぐな性格と魔力の強さに惹かれたのだ。」
今絶対に変な間がありましたわよ。
それにその理由って、私にではなく私の魔力に惚れたってことになりますが。
本当の理由がなんであれ、今世でも失礼極まりない男だわ。
「リビア嬢は王女殿下の侍女に選ばれたばかりなので、すぐに結婚とは言わない。どうだろうか。」
どうだろうかと言われても、普通の令嬢ならドン引きものな無骨な告白よ。
「折角のお話ですが、少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか。かなり急なお話ですし。」
「分かった。急にこんなことを言って悪かったな。」
……悪いと思っているなら言わないでくださるかしら。
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