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お姉様、鼻で笑う。
しおりを挟む「ごめんなさい……貴女がエリーゼと愛し合っていたなんて知らなくて驚いていたらカメラを止めるのを忘れていたの。せめて映像を消せたらと思って教授に返せずにいたの。」
「覗いてたのか!わざとじゃないんだろうな!」
アルフォンスが私を責めるけれど、
ここまで来れば観衆は、完全に私の側についていた。
「あくまでも婚約者に向かって……ひどいですわ」
「女の敵よ。」
「あれは流石に……リビア嬢がわざと映していたとしても、アルフォンスの方が悪いだろ。」
「全く、女性をなんだと思っているんだ。」
そして生徒達がざわめく中、思いもよらず一番の私の味方が駆けつけてくれた。
「リビア嬢は自宅の中庭を撮りたいと言ってこのカメラを借りていったんだ。それは勿論君達が中庭で会うだいぶん前の話だから、偶然映ったものであると僕が証明しよう。」
「クリフト教授っ」
どうして?
前の人生の時にはここにおられなかったのに。
観衆から一際大きな悲鳴が聞こえる。
映像の中でアルフォンスがエリーゼにキスをしたのだ。
エリーゼの息の上がった吐息が真昼間の学園の中庭に響く。
エリーゼの方をチラッと窺えば、エリーゼは顔を俯かせて黙って立っていた。
野次馬達も腫れ物を見るように、エリーゼから数歩距離を空けている。
どう?
高嶺の花ぶっていた貴女は、裏で姉の婚約者と浮気している女狐だって皆さんにこうして見られる気分は。
さぞ、屈辱的でしょう?
「とりあえず、このカメラは僕が回収します。リビア嬢もよろしいですね?」
「……はい。
クリフト教授、申し訳ありませんでした。」
もう十分。
本当はもっと淫らな映像がとれると思っていたけど、流石に身持ちが固いわね。
でも、アルフォンスを誘惑しているいい台詞と表情が撮れたわ。
おかげで予想通り、いい余興になったしね。
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