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お姉様、妹の浮気現場を公開させていただきます。
しおりを挟む数日後。
「エリーゼ!僕は君との婚約を破棄させてもらう!」
前の人生と同じ日に同じ場所である学園の中庭で、また婚約破棄の日がやってきた。
あの日と同じようにアルフォンスが憤慨して大きな声を出すから私達の周りに野次馬が寄ってくる。
「どうしたのアルフォンス……そんな大声をだして、」
「心当たりがないというのか?」
「ええ…」
「嘘をつけ!」
すっとぼけた表情を見せれば、激昂するアルフォンス。
思惑通り引っかかった。
エリーゼからあの事を聞いたのね。
きっとエリーゼとアルフォンスは、私が光属性を手に入れようと禁忌を犯そうとして失敗したと思っているのでしょうね。
昔も違う言いがかりをつけて、学園内で騒ぎ立てて婚約破棄をした上に、学園内での私の居場所を奪ったものね。
「お姉様……」
野次馬の中にエリーゼも見えた。
役者も客も集まったわ。
「知っているんだぞ!君、いくら血が繋がっていないからって光属性になって家族に認められたいなんて!性格がひね曲がってるぞ」
「まぁ、なんてこと。」
「まさか禁忌を……?」
「まあ、リビア令嬢ならやりかねないわよね。」
「ということはやはり、一族の血を受け継いていないのかしら。」
生徒の皆さまも集まってきて騒ぎ始める。
いいわよ、もっと盛り上がりなさい。
「そのカメラ、ずっと持ち歩いているが……あやしい。見せてみろ。」
「なっ……これはダメですわ!」
「教授が君がなかなかそのカメラを返してくれないと言っていたが、それになにかやましいものでも写っているんじゃないか?」
「そ、それは……」
「いいから見せてみろ!」
アルフォンスが私からカメラを奪い取る。
ほんと……紳士の風上にも置けないやつね。
「……ック、どうやってつけるんだ。」
クリフト教授が作り出した新作の魔法カメラ。カメラ自体が世に出回り始めて間もないというのに、教授の新作というだけあってその鮮明度、そして静止画まででなく動画を映せるのがこのカメラの魅力よ。
「よし、映った。」
カメラの真上に大きなスクリーンが現れる。
ちなみにこうなると分かっていたからわざとスクリーンモードにしておいたの。その方が皆さんも見やすいでしょう?
そしてそこには私ではなくて、庭園にいたエリーゼとアルフォンスの密会映像が流れる。
「な、なんだこれは!!」
自分が映り急に慌て始めるアルフォンス。
『恐れることはない。僕の心はすでにエリーゼ 、君のものだ。』
蕩けるような表場でエリーゼに告白しているお馬鹿なアルフォンス。
「え?これはどういうことですの?」
「アルフォンス様、まさかリビア嬢の妹君と?」
野次馬の生徒達も騒ぎ始める。
『ですが、家同士の結婚ですもの。どうしようもありませんわ。』
『大丈夫だ!馬鹿なリビアのことだ。そのうちなにかやらかすだろう。それを理由に婚約を破棄してやる。』
『アルフォンス様……そこまでして私のことを?』
『当たり前だ。僕は家よりもなによりも君が一番大切なんだ。』
下世話なロマンスのやりとりに、野次馬の女子生徒から批難の悲鳴が上がる。
「リビア、早くこの映像を消すんだ!!」
アルフォンスが必死な形相で私に怒鳴りかかる。
「申し訳ございません……映像は途中で消す機能はないのです。」
そう言って私は泣くフリをしながらごめんなさいと崩れ落ちる演技をする。
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