ステラ皇女と初恋の捕虜様

雑煮

文字の大きさ
上 下
4 / 4

4

しおりを挟む
    


ダンスの時間になると、エリクセンは他の女性には目もくれずにステラの方へと歩き出した。


令嬢たちはその様子を頬を赤らめながらその様子を見守っている。



「皇女殿下、私と一曲踊っていただけますか?」

「勿論ですわ。」


気丈に振る舞いながらも、心ここにあらずといったステラの様子にエリクセンも気付いてはいたが、
自分がどうこう出来る立場にはないとエリクセンはただただ目の前の愛しい女性を優しくエスコートすることに集中した。


ダンスのステップを踏む度に舞う銀髪は周囲の色を反射させながら煌めき、視線を移す事に揺れる睫毛に隠れる瞳は宝石のように美しい。


エリクセンは一生をかけてこの愛おしい人を大切にし、幸せにしようと改めて心に誓ったのだった。






一方、ステラはというとアスランが収容されている牢獄にどうやって忍びこめばいいのかをダンスの間中ずっと考えていた。


(あそこは警備が薄いわよね……でも魔法を使うとセンサーが反応するのかしら。だけど、あそこからあそこに行けば、センサーに引っかからないのかしら……)



早く終わって部屋に帰ってアスランを助ける準備をしたいとそのことばかりで目の前のエリクセンの少し寂しげな視線には気づけていなかった。







その後ダンスが終わると、ステラとエリクセンは夜風にあたりにテラスへ移動した。



「改めて、貴方が無事に帰って来てくれたことをお祝い申し上げます。」


「皇女殿下もお変わりなく過ごされているようで安心いたしました。
私は貴女の平穏を守るためにこの国を守ってまいります。」


「ありがとう、エリクセン。」


そしてエリクセンがステラの手の甲のキスをした。




さながら、皇女と騎士の会話ともとれる二人のやりとりは二人の心のすれ違いを現しているようだった。


  
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ家庭教師に致されるお話

下菊みこと
恋愛
安定のヤンデレ。安定の御都合主義。 両思いだし悪い話じゃないので多分みんな幸せ。 書きたいところだけ書いたSS。 ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

知らない間に致されてたお話

下菊みこと
恋愛
好きな人に無理矢理されてたお話。睡姦。 安定のヤンデレ、無理矢理。 書きたいところだけ書いたSS。 ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

義兄様に弄ばれる私は溺愛され、その愛に堕ちる

一ノ瀬 彩音
恋愛
国王である義兄様に弄ばれる悪役令嬢の私は彼に溺れていく。 そして彼から与えられる快楽と愛情で心も身体も満たされていく……。 ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

腹黒王子は、食べ頃を待っている

月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

処理中です...