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おばあちゃん、お嬢ちゃんになる。
しおりを挟む帝国最北端、王国との国境地帯。
帝国軍、後方部隊にて。
「あんたら!資材が足りないから軍に要請だしな!そっちは重症患者さんの診察にお回り!私は薬草を取ってくるから帰ってこなかったら救助要請、よろしくねー!!」
「行ってらっしゃい、メグおばあちゃん!」
「「「お気をつけてー」」」
帝国軍の救護班に昔からメグおばあちゃんと慕われる看護師がいた。彼女は、並外れた医療の知識と肝っ玉を持ち、帝国軍を支える救護班のボスとして兵士たちにも知られる名物おばあちゃんだ。
今日もメグおばあちゃんは薬草を取りに一人で森に入る
「ハァ......老体に山は堪えるねぇ。もう引退かね。」
そう思いつつも、見慣れてしまった若い兵士や救護班の後輩達を思うと引退出来ずにここまで長らく戦場に居続けるメグおばあちゃん。
戦況も帝国軍有利な状況が続いているため、救護班のテントまで敵が攻めてくる心配もない。なので年寄りが足でまといになることがないので誰もおばあちゃんを無理矢理引退させることもない。軽く引退を促されても、体が元気なうちはと居続けてしまい、しまいには兵士達から長老扱いされるまでになってしまった。
ただの平民がここまでになるのは年の功でしかない。
「あれれ、迷ってしまったかねぇ。」
いつも来た道は覚えているメグおばあちゃんだが、この日は道に迷い、帰り道が分からなくなってしまった。
「誰か見つけてくれるかね。」
他人事のように呟くと、その場の大きな石に座る。
「あれまあ、あそこに湖があるねえ」
木の隙間から数メートル先に澄んだ湖が見えた。
するとなんと、その湖が光を放ち始めたのだ。
「な、なんだい!?」
メグおばあちゃんはその湖に不用心にも近づいてしまう。
清い光を放つその水面を覗き込むメグおばあちゃん。
「不思議なことだねぇ......」
すると光が強くなり......
「うわぁぁぁっ......」
強い光で包まれたメグおばあちゃんはそのまま気を失ってしまった。
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん大丈夫かい!?」
なんだい、うるさいねぇ......
「お、気が付いたようだ。お嬢ちゃん、分かるか?」
「誰がお嬢ちゃんだい、ダルド。」
「え?」
「ん??」
お互いに目が点になる。
ダルドは見ず知らずの少女に名を呼ばれ、メグおばあちゃんは自分の声がうら若き乙女時代の可憐な声になっていることにお互い驚きしばらく二人の間に静寂が生まれたのだった。
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