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第7章 私が運命に翻弄される悲劇の悪女だなんて、絶対誰にも知られたくない!
第26話 運命の書(※)
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「よお。聖女様と勇者くん」
「どちらさま?」
聖女様が首を傾げると、男は嬉しそうに笑った。
「いいね。運命に近づいてる」
「運命?」
「そう。君たちが魔王を倒す。それが運命だ」
男が語るには、こうだ。
ボクたちはこの黄金の鍵を手に、隠し迷宮を攻略する。そして魔王を倒しに魔王城に向かわなければならない、と。それが役割だと。
その言葉に、ボクも他のメンバーも素直に頷いた。なぜか、そうしなければならないと納得したのだ。
「たとえ『運命の書』が書き換えられたとしても、聖女と勇者が魔王を倒す。それが、運命だよ」
去り際の言葉だけは、妙に引っかかった。
その隠し迷宮には翌日向かうことを決めて、町に戻ってから解散した。その瞬間、ボクの頭に彼女の顔が思い浮かんで。
「なんで、忘れてたんだ……っ!」
慌てて駆け出した。
自分の部屋に戻ったが彼女の姿はなく、『自分の部屋に帰ります。待ってるね』の置き手紙。慌てて彼女の部屋に向かった。
──バンッ!
「エミリーさん!」
玄関の鍵は開いていて、多少乱暴に扉を開いた。まず最初に感じたのは、美味しそうな匂い。
「サイラスくん、おかえり」
パタパタと音を立てて玄関に出てきてくれたのは、いつかのピンクのエプロンを着けたエミリーさんで。思わず掻き抱いた。
「エミリーさん、エミリーさん」
「うん」
「ボクのこと、嫌いになったんですか?」
「まさかっ!」
エミリーさんが驚いてボクの顔を覗き込んだ。
「そんなはずないじゃない。どうしてそんなこと思うの?」
「昨夜、酷いことしたから……」
「ああ、……驚いたけど、別に嫌じゃなかったよ」
頬を染めたエミリーさんが愛しくて、またぎゅうと抱きしめた。
「それじゃあ、どうして部屋から出たんですか」
「ちょっと、やることがあって」
「どこにも行かないで下さい」
泣きながら訴えたボクに、エミリーさんは答えてくれなかった。
「ご飯食べよ? その前に、シャワーしておいで」
いつも通りなのに、そうじゃない。ほんの僅かに寂しそうに笑ったエミリーさんに、ボクの胸が締め付けられた。
『運命の書』、男が口にしたその言葉が頭から離れないのだ。
「……イヤです」
「え?」
「一緒に入って。ボクの身体、洗って下さい」
まるで子供のワガママだ。それでも、エミリーさんは頷いてくれた。ちょっと困ったように眉を下げながら。
「今日だけだよ?」
と。
「……あんまり、見ないで」
浴室で頬を真っ赤に染めるエミリーさん。両手を使って必死で隠そうとしていて、その姿にズクンと腰が重たくなった。
「隠さないで。見せてください」
「……んっ」
手を取ってそっと促せば、彼女は抵抗しなかった。顔をそらして耳を真っ赤にさせて、まつげがふるふると震えている。
「エミリーさん、見られるの好きなんですか?」
耳元で囁けば、彼女の肩がビクリと震えた。
「好き、じゃない……」
「じゃあ、嫌い?」
それには答えてくれなかった。無言は肯定だ。
ボクは、美しい身体を上から下までじっくりと見つめた。ほっそりとして長い腕、芸術作品のような美しい曲線を描く鎖骨、形よく膨らんだ乳房、引き締まった細い腰、程よく丸みを帯びた尻、柔らかい腿……。何よりも、キュッとくびれた足首が最も煽情的だと、ボクはいつも思っている。
「んっ、……っ」
エミリーさんの腰が僅かに揺れる。白く滑らかな肌をジワリと汗が滑って、乳首がツンと芯を持ち始めたのが見て取れる。
「見られて、感じてる……」
「んっ、言わないで……っ」
「言われるのも、好きでしょ?」
「……っ!! 洗ってほしいんでしょ! はい、座って!」
我慢の限界を迎えたらしいエミリーさんがボクの手を引いて、浴槽の縁に座らせる。ボクはクスクス笑いながらも、抵抗しなかった。まずはシャンプーで髪を洗ってもらい、次にスポンジにボディーソープを泡立てて、しっかりごしごしと身体を洗ってもらう。
上半身を洗って次は下半身にという段になって、エミリーさんの手が止まった。
「洗ってくれないんですか?」
「……洗う」
エミリーさんがボクの前に跪いて、先に足を洗って。次いで、スポンジを脇へ置いて、ボクを見上げる。
「て、手で洗ってもいい?」
「……っ、いいですよ」
エミリーさんが両手に泡を立ててから、すっかり勃ち上がっているボクの肉棒に触れた。そのまま、ゴシゴシと擦られて、思わず腰が震える。泡のせいでニュルニュルとする感触が、カリ首に触れる度に快感が走った。
「っ、ぅ……」
思わず声が漏れて、その様子に彼女がクスリと笑った。
「洗ってるだけだよ?」
と、意地悪く笑ったエミリーさん。
この表情も、知っているのはボクだけだ。
「どちらさま?」
聖女様が首を傾げると、男は嬉しそうに笑った。
「いいね。運命に近づいてる」
「運命?」
「そう。君たちが魔王を倒す。それが運命だ」
男が語るには、こうだ。
ボクたちはこの黄金の鍵を手に、隠し迷宮を攻略する。そして魔王を倒しに魔王城に向かわなければならない、と。それが役割だと。
その言葉に、ボクも他のメンバーも素直に頷いた。なぜか、そうしなければならないと納得したのだ。
「たとえ『運命の書』が書き換えられたとしても、聖女と勇者が魔王を倒す。それが、運命だよ」
去り際の言葉だけは、妙に引っかかった。
その隠し迷宮には翌日向かうことを決めて、町に戻ってから解散した。その瞬間、ボクの頭に彼女の顔が思い浮かんで。
「なんで、忘れてたんだ……っ!」
慌てて駆け出した。
自分の部屋に戻ったが彼女の姿はなく、『自分の部屋に帰ります。待ってるね』の置き手紙。慌てて彼女の部屋に向かった。
──バンッ!
「エミリーさん!」
玄関の鍵は開いていて、多少乱暴に扉を開いた。まず最初に感じたのは、美味しそうな匂い。
「サイラスくん、おかえり」
パタパタと音を立てて玄関に出てきてくれたのは、いつかのピンクのエプロンを着けたエミリーさんで。思わず掻き抱いた。
「エミリーさん、エミリーさん」
「うん」
「ボクのこと、嫌いになったんですか?」
「まさかっ!」
エミリーさんが驚いてボクの顔を覗き込んだ。
「そんなはずないじゃない。どうしてそんなこと思うの?」
「昨夜、酷いことしたから……」
「ああ、……驚いたけど、別に嫌じゃなかったよ」
頬を染めたエミリーさんが愛しくて、またぎゅうと抱きしめた。
「それじゃあ、どうして部屋から出たんですか」
「ちょっと、やることがあって」
「どこにも行かないで下さい」
泣きながら訴えたボクに、エミリーさんは答えてくれなかった。
「ご飯食べよ? その前に、シャワーしておいで」
いつも通りなのに、そうじゃない。ほんの僅かに寂しそうに笑ったエミリーさんに、ボクの胸が締め付けられた。
『運命の書』、男が口にしたその言葉が頭から離れないのだ。
「……イヤです」
「え?」
「一緒に入って。ボクの身体、洗って下さい」
まるで子供のワガママだ。それでも、エミリーさんは頷いてくれた。ちょっと困ったように眉を下げながら。
「今日だけだよ?」
と。
「……あんまり、見ないで」
浴室で頬を真っ赤に染めるエミリーさん。両手を使って必死で隠そうとしていて、その姿にズクンと腰が重たくなった。
「隠さないで。見せてください」
「……んっ」
手を取ってそっと促せば、彼女は抵抗しなかった。顔をそらして耳を真っ赤にさせて、まつげがふるふると震えている。
「エミリーさん、見られるの好きなんですか?」
耳元で囁けば、彼女の肩がビクリと震えた。
「好き、じゃない……」
「じゃあ、嫌い?」
それには答えてくれなかった。無言は肯定だ。
ボクは、美しい身体を上から下までじっくりと見つめた。ほっそりとして長い腕、芸術作品のような美しい曲線を描く鎖骨、形よく膨らんだ乳房、引き締まった細い腰、程よく丸みを帯びた尻、柔らかい腿……。何よりも、キュッとくびれた足首が最も煽情的だと、ボクはいつも思っている。
「んっ、……っ」
エミリーさんの腰が僅かに揺れる。白く滑らかな肌をジワリと汗が滑って、乳首がツンと芯を持ち始めたのが見て取れる。
「見られて、感じてる……」
「んっ、言わないで……っ」
「言われるのも、好きでしょ?」
「……っ!! 洗ってほしいんでしょ! はい、座って!」
我慢の限界を迎えたらしいエミリーさんがボクの手を引いて、浴槽の縁に座らせる。ボクはクスクス笑いながらも、抵抗しなかった。まずはシャンプーで髪を洗ってもらい、次にスポンジにボディーソープを泡立てて、しっかりごしごしと身体を洗ってもらう。
上半身を洗って次は下半身にという段になって、エミリーさんの手が止まった。
「洗ってくれないんですか?」
「……洗う」
エミリーさんがボクの前に跪いて、先に足を洗って。次いで、スポンジを脇へ置いて、ボクを見上げる。
「て、手で洗ってもいい?」
「……っ、いいですよ」
エミリーさんが両手に泡を立ててから、すっかり勃ち上がっているボクの肉棒に触れた。そのまま、ゴシゴシと擦られて、思わず腰が震える。泡のせいでニュルニュルとする感触が、カリ首に触れる度に快感が走った。
「っ、ぅ……」
思わず声が漏れて、その様子に彼女がクスリと笑った。
「洗ってるだけだよ?」
と、意地悪く笑ったエミリーさん。
この表情も、知っているのはボクだけだ。
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