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第五章 性癖は芸術であり個性である。

絶倫皇女、来店客に驚愕する

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「ありがとうございます、イング様。また来ますので、来週もどうか可愛がって下さい」
「ふふっ♡ お待ちしておりますわ、兵士様」

 スッキリとした表情をしている兵士はその場に跪き、私の靴先にキスを落として店から出て行った。

 私は「またね、M男さん♡」と手を振りながら見送り、店の方へ振り返るとアースとキンとチョウが拍手をしながら迎えてくれた。

「ほんま凄い人やったんやなぁ、イング嬢。俺もあんな風に罵られてイカされてみたいわぁ♡」

 うっとりとした顔をしているのはアース、その両隣でうんうんと頷いているのはキンとチョウである。

「しかも、こんな綺麗な人とセックスできるなんて羨ましいよねぇ♡」
「そうだよね~♡ 僕達、従業員は基本的にお店の女の子とはそういう事しちゃ駄目だからねぇ……お金持ちのお客様が羨ましい♡」

 そう言ってキンとチョウは頷き合っていた。

 そんな私はしれっと「いつでも相手するわよ? 従業員割引で10ダルクでどう?」と言うと「「「そんなお金持ってないですよ!」」」と三人同時に返されてしまった。

「しっかし……よく身体が持ちますなぁ。一日、五人以上とる嬢なんて初めて見ましたわ。ヤリすぎてアソコから煙が出るんとちゃいます?」

 アースが私の顔を見ながら少し引いていた。

 だが、私は胸を張って「まぁ……私、絶倫って呼ばれてるしね。まだまだイケるわよ♡」とドヤ顔で答えると、キンとチョウは「「イング嬢、すごーーーーい!」」と褒めちぎってきた。

 足りない……足りない足りない足りないっ! 全然足りないわよ! だって毎日、グレンと最低でも三回はやってたし! 生理中の時は一人で慰めて、グレンと頭の中でセックスする妄想をしまくってオカズにしてたくらいだし! グレンとは体の相性が良すぎたから、色んな男とヤッても今は物足りないくらいなの!

 あーーーん、早く次の予約が入らないかなぁ~~~~♡ 

「ねぇ、次の予約はまだなの!?」
「ほんまにこのヤリマンは……失礼。えーっと、珍しく予約に空きが出てますねぇ。まぁ、平日の昼間ですから夜に集中的に入ると思いますよ」

 そんながっつかんといて下さいよ~~と言わんばかりにアースに宥められたが、私は腕を組んで憤慨していた。

 もう! 皆、平日の真昼間からセックスしなさいよ! パコパコ、ズンズン突いたらいいじゃないの!

 なんなら私自ら、勤務先へ赴きましょうか? 五分あれば、必ず昇天させられるという名目でセルフプロデュースしてやろうかしら!? 『貴方の肉のプラグを私の蜜穴に挿して?』っていうキャッチフレーズで勝手に売り出してやろうかしら!?

 ……って、流石にそれはセンス無さすぎよね。あからさますぎるし、AVのタイトルみたい。品がないというかその、なんだ。仮にも私の正体は皇女なんだからさ……もう少し品よく接客しないとダメよね、やっぱり。

「もう……妄想だけが先走るんだからぁ……」
「…………何、一人でブツブツ言うてますのん?」
「え? あぁ、なんでもないわよ。オホホ……」

 受付で頬杖を突きながら怪訝そうな顔をするアース。

 私は顔を引き攣らせながら、なんでもないわと否定していると、キンとチョウが「「いらっしゃいませ~♡」」と来店客に声を掛けるのが聞こえて来た。

「お、フリー客かいな。こんな真昼間から珍しい事が続くなぁ……いらっしゃいませ~!」

 私もアースに続き「いらっしゃいませ……」とここまで台詞を発しながら玄関先へ振り返ったのだが、そこにいた人物を見て私は喉が詰まったかのように声が出せなくなってしまった。

 ホ、ホホホッ…ホワッツハプン!?!?
どうして……どうして貴方がここにぃぃぃぃ……!?!?

「イ……イングリッド……姫、様?」

 そこにいたのはネイビーの髪にアイスブルーの比較的可愛らしい容姿をしているヒューゴと、大学一のイケメンと謳われるリベリオが店の玄関に立っていた。
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