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復讐の先にあるもの
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「ただではやらない、条件がある」
「俺に出来る事なら何でもするよ、カイウスに危害を加える事以外なら」
「…俺がそうしないと嫌だって言ったら?」
「……」
ユリウスなら言いかねないから、絶対にそんな事を言わないとは言い切れなかった。
もしユリウスがそれじゃないと嫌なら諦める。
ユリウスの力は他に変わりなんていない。
リーズナが俺一人で無理だと言うなら、諦めるしかない。
ユリウスに諦める事を伝えると、ユリウスの顔色が何故か明るくなっていた。
笑いを堪えているような、変な顔をしていた。
「そうかそうか、そんなに俺がいないのが困るのか!」
「ユリウス様、お願いします」
「安心しろ、俺の条件はカイウスじゃなくローベルト卿だ」
「ローベルト卿を殺す事?」
「何だよ、いくら捨て駒にされても父親だから出来ねぇのか?」
ユリウスは俺を鼻で笑っていたが、俺はそれで悩んでいるわけではない。
せめて捕まえて、ちゃんとした裁きを受けてからでも遅くはないと思っている。
ユリウスにそれを言うと「甘すぎるんだよ、反吐が出るほど…」と眉を寄せられた。
リーズナはユリウスを見て「分かった」と答えた。
そんな簡単に俺達だけで決めていいのか?
ユリウスは確かに騎士で、独断で決められるのかもしれないけど。
いくら悪い事をしても、人の命が掛かっているんだ。
本当なら、騎士団長であるカイウスの意見も聞かないと…
この場で頷かないとユリウスが仲間に入らないとはいえ、俺は簡単に殺す手伝いをするとは言えなかった。
「リーズナ、そんな簡単に言っていいの?」
「今、騎士団の中でローベルト家の人間が指名手配されて、騎士団は壊滅させるために動いている、もうローベルト卿と神の繋がりは十分だ」
「そうだけど…」
「それに、コイツなら専門だろ」
リーズナと小声で話していて、ユリウスは悪口を言われていると思ったのか不機嫌な顔をしていた。
悪口は言ってない事をユリウスに言った。
お願いしてるのに、陰口なんて言わないよ。
でも、専門ってどういう事なんだろう。
騎士だからって事?それなら専門と言うのかな?
ユリウスは俺にも同意を求めるように見てきて「どうする?」と聞いてきた。
「ユリウス様は、ローベルト卿を殺す事に躊躇いはないの?」
「ねぇよ、アイツにはいろいろふざけた事をされたからな…俺の力が必要だと言っていたのに、結局これかよ」
「…俺は」
「お前、もしかして自分のせいで俺が人殺しになるって怠い事考えてねぇよな」
ユリウスは俺を見て面倒そうな顔をしている。
ユリウスはユリウスなりにローベルト卿に復讐がしたいんだろう。
俺は正直、そこまで考えてはいなかった。
騎士という立場なだけだったら、そこまで戸惑う事はなかったと思う。
それが国を守る騎士の役割だからだ。
でも、復讐に囚われたままユリウスがローベルト卿を殺して…本当にユリウスは気持ちが晴れるのか?
「ユリウスは今、ローベルト卿に復讐する事しか考えていない、だから俺は…」
「復讐なんてなくてもどうせこれは俺の役目なんだ、神とか訳の分からない奴はお前らが何とかすればいい…人間は人間が裁く、それが処刑人の仕事だ」
「処刑人…?」
「復讐以外にも殺す理由があるって事だ、お前らに選択肢がないのと同じで俺だってお前が協力しなくても後には引けねぇんだよ」
ユリウスはそう言って、敷地内にある門まで歩いていった。
ユリウスがいなくなり、俺は処刑人の意味を考えた。
ローベルト卿にやらされていたのか?でも、きっと処刑人みたいな役割はジークの仕事だよな。
殺しのほとんどにジークが関わっている気がした。
だとしたらユリウスはいったい何をしていたんだ?
横にいるリーズナを見ると、何を考えているのか分からない顔でユリウスが去った門をジッと見つめていた。
リーズナはユリウスのなにかを知っているように思えた、リーズナが知っているならカイウスも知っている事なんだろう。
門から視線を俺に向けた。
「そろそろ屋敷の中に戻るぞ」
「…リーズナ、ユリウス様ってただの騎士じゃないのか?」
「ユリウスの騎士団での仕事は罪人を裁く処刑人、人を何人も殺めてきた」
「……」
「でもそれはカイも同じだ、カイのためなら殺しも出来るんじゃないのか?やっぱり怖くなったのか?」
「怖くないよ、俺の気持ちは…」
「分かった分かった、変わらないんだよな」
リーズナに軽くあしらわれてしまったが、俺はリーズナに頷いた。
俺は騎士じゃないからどんな悪党でも殺したりしない。
でもカイウスを利用しようとする神だけは許さない。
リーズナは小さく笑って、猫の姿に戻った。
俺の肩に飛び乗って「お前ならカイを任せられる、カイウスを頼んだぞ」と言っていた。
俺は当たり前だと笑った。
これから俺達は人生の中で一番危険な日を経験する。
カイウスを助けるため、これで全て終わらせる。
「俺に出来る事なら何でもするよ、カイウスに危害を加える事以外なら」
「…俺がそうしないと嫌だって言ったら?」
「……」
ユリウスなら言いかねないから、絶対にそんな事を言わないとは言い切れなかった。
もしユリウスがそれじゃないと嫌なら諦める。
ユリウスの力は他に変わりなんていない。
リーズナが俺一人で無理だと言うなら、諦めるしかない。
ユリウスに諦める事を伝えると、ユリウスの顔色が何故か明るくなっていた。
笑いを堪えているような、変な顔をしていた。
「そうかそうか、そんなに俺がいないのが困るのか!」
「ユリウス様、お願いします」
「安心しろ、俺の条件はカイウスじゃなくローベルト卿だ」
「ローベルト卿を殺す事?」
「何だよ、いくら捨て駒にされても父親だから出来ねぇのか?」
ユリウスは俺を鼻で笑っていたが、俺はそれで悩んでいるわけではない。
せめて捕まえて、ちゃんとした裁きを受けてからでも遅くはないと思っている。
ユリウスにそれを言うと「甘すぎるんだよ、反吐が出るほど…」と眉を寄せられた。
リーズナはユリウスを見て「分かった」と答えた。
そんな簡単に俺達だけで決めていいのか?
ユリウスは確かに騎士で、独断で決められるのかもしれないけど。
いくら悪い事をしても、人の命が掛かっているんだ。
本当なら、騎士団長であるカイウスの意見も聞かないと…
この場で頷かないとユリウスが仲間に入らないとはいえ、俺は簡単に殺す手伝いをするとは言えなかった。
「リーズナ、そんな簡単に言っていいの?」
「今、騎士団の中でローベルト家の人間が指名手配されて、騎士団は壊滅させるために動いている、もうローベルト卿と神の繋がりは十分だ」
「そうだけど…」
「それに、コイツなら専門だろ」
リーズナと小声で話していて、ユリウスは悪口を言われていると思ったのか不機嫌な顔をしていた。
悪口は言ってない事をユリウスに言った。
お願いしてるのに、陰口なんて言わないよ。
でも、専門ってどういう事なんだろう。
騎士だからって事?それなら専門と言うのかな?
ユリウスは俺にも同意を求めるように見てきて「どうする?」と聞いてきた。
「ユリウス様は、ローベルト卿を殺す事に躊躇いはないの?」
「ねぇよ、アイツにはいろいろふざけた事をされたからな…俺の力が必要だと言っていたのに、結局これかよ」
「…俺は」
「お前、もしかして自分のせいで俺が人殺しになるって怠い事考えてねぇよな」
ユリウスは俺を見て面倒そうな顔をしている。
ユリウスはユリウスなりにローベルト卿に復讐がしたいんだろう。
俺は正直、そこまで考えてはいなかった。
騎士という立場なだけだったら、そこまで戸惑う事はなかったと思う。
それが国を守る騎士の役割だからだ。
でも、復讐に囚われたままユリウスがローベルト卿を殺して…本当にユリウスは気持ちが晴れるのか?
「ユリウスは今、ローベルト卿に復讐する事しか考えていない、だから俺は…」
「復讐なんてなくてもどうせこれは俺の役目なんだ、神とか訳の分からない奴はお前らが何とかすればいい…人間は人間が裁く、それが処刑人の仕事だ」
「処刑人…?」
「復讐以外にも殺す理由があるって事だ、お前らに選択肢がないのと同じで俺だってお前が協力しなくても後には引けねぇんだよ」
ユリウスはそう言って、敷地内にある門まで歩いていった。
ユリウスがいなくなり、俺は処刑人の意味を考えた。
ローベルト卿にやらされていたのか?でも、きっと処刑人みたいな役割はジークの仕事だよな。
殺しのほとんどにジークが関わっている気がした。
だとしたらユリウスはいったい何をしていたんだ?
横にいるリーズナを見ると、何を考えているのか分からない顔でユリウスが去った門をジッと見つめていた。
リーズナはユリウスのなにかを知っているように思えた、リーズナが知っているならカイウスも知っている事なんだろう。
門から視線を俺に向けた。
「そろそろ屋敷の中に戻るぞ」
「…リーズナ、ユリウス様ってただの騎士じゃないのか?」
「ユリウスの騎士団での仕事は罪人を裁く処刑人、人を何人も殺めてきた」
「……」
「でもそれはカイも同じだ、カイのためなら殺しも出来るんじゃないのか?やっぱり怖くなったのか?」
「怖くないよ、俺の気持ちは…」
「分かった分かった、変わらないんだよな」
リーズナに軽くあしらわれてしまったが、俺はリーズナに頷いた。
俺は騎士じゃないからどんな悪党でも殺したりしない。
でもカイウスを利用しようとする神だけは許さない。
リーズナは小さく笑って、猫の姿に戻った。
俺の肩に飛び乗って「お前ならカイを任せられる、カイウスを頼んだぞ」と言っていた。
俺は当たり前だと笑った。
これから俺達は人生の中で一番危険な日を経験する。
カイウスを助けるため、これで全て終わらせる。
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