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必要な存在

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いくらカイウスに嫌われようとも、俺はカイウスを助けるつもりだ。
すぐに次の作戦を考えないといけないな。

もう小屋は入れないから、他の方法でカイウスに会えれば…
そこで、俺達が扉を開けないなら内側から開けてもらう事を考えた。

カイウスは呼んでももう来ないから、確実に来る相手を呼んだ方がいい。
俺を探しているのは神だ、だとしたら俺が会いに行けば必ず地下から出てくる筈だ。

俺自身が囮になるのは、とても危険な行為だって分かっている。
だけど、いずれ戦わなくてはいけない相手ならいつやっても変わらない。

「お前、何を考えているんだ」

「リーズナ、俺が神達を地下から引っ張り出すからその間にカイウスに会いに行ける?」

「はぁ!?何を考えてんだよ!」

「これしかもう一度カイウスに会える方法が思いつかないんだ」

「…だからって」

「お願いします、リーズナ…もう一度カイウスに会いたいんだ」

神達を誘き寄せられるのは俺しかいない。
リーズナが帰ってくるまで時間を稼げればそれでいい。
勝とうとしなければいいから楽だ。
リーズナはあまりいい顔はしていなかった。

当然だ、俺をカイウスに任されたのに俺が自ら危ない事をしようとしているんだから…

でも、いつかバレて不意打ちで攻撃されるより俺が先に仕掛けた方が危険が少ない。
バレた後はローベルト家にはいられなくなるが、リーズナがカイウスを引っ張ってくれたらローベルト家には用はない。

リーズナにその事を伝えると、ため息を吐かれた。

「俺がカイウスを引っ張って、その後どうするつもりなんだ?」

「カイウスに見せたい景色があるんだ、きっと元のカイウスが守ろうとした世界を見ればカイウスの心に変化があるかもしれない」

「それは絶対じゃない」

「分かってるよ、でもカイウスと約束したから」

外の世界を見せる、カイウスもその言葉を覚えている筈だ。
必ず、約束は守るよ。

リーズナはまた考えていて、首を横に振っていた。
やっぱりダメかな、なにが効果的か分からないから、可能性があるなら全て試したい。

どうしてもリーズナに協力してほしい、俺は囮だからカイウスに会えないから、カイウスに近付けるのは魔力があるリーズナだけだ。

リーズナが協力してくれないなら、この作戦は出来ない。
頭を下げて、リーズナにもう一度お願いした。

「リーズナ、お願いします…リーズナにしか頼めない事なんだ」

「お前一人で囮になるつもりか?」

「神は俺を探してるから、囮になれるのは俺だけだから」

「自分がどんなに強いと思ってんだよ、馬鹿野郎」

リーズナに頭をゲンコツされて、凄く痛くて手で頭を押さえた。
まだ未熟だと思ってるけど、逃げるくらいなら俺にも出来るかなって思ったんだ。
確かにリスクはそれだけ大きいが、リスクを恐れていたら何も出来ない。
ギュッと拳を強く握りしめた。

リーズナは俺から視線を外して、後ろにいるユリウスに向けた。
突然の事でユリウスも驚いたみたいでリーズナに「なんだよ」と言っていた。
ユリウスも一部始終聞いていたからか、リーズナの事はもう睨んではいなかった。

「おい、唐変木」

「お前、また喧嘩売りやがって…」

「コイツに協力してほしい」

リーズナが俺を指差して、そんな事を言っていた。
いや、一度ユリウスに断られたから無理に決まってるよ。

リーズナにそう言おうとしたら、リーズナはさっきまで喧嘩していた相手に頭を下げた。
驚いたのは俺だけじゃなくて、ユリウスもだった。
ユリウスは目を丸くしてリーズナを見つめていた。

リーズナは「お願いします」と言葉を変えた。

「何だよいきなり…俺を唐変木って呼んでるくせに」

「コイツを助けられるのはユリウス様だけです、助けてください」

いきなり小馬鹿にした態度ではなく、丁寧な口調になりユリウスの顔が引きつっていた。
俺はリーズナにユリウスは一回俺の誘いを断った事を話した。

それでもリーズナは頭を上げる事はなかった。

それを見て、俺ももう一度ユリウスに頭を下げた。
リーズナだけにやらせるわけにはいかない。
俺のわがままでやってもらうんだ…しつこく言う気はなかったが、やはりユリウスの力はほしい。

「なんでそこまでして俺に頼むんだよ、ライム…お前には散々な事をしてきたんだぞ、分かっているのか?」

「分かってる、だけど…ユリウス様の力が必要なんだ」

「………なんで」

「ユリウス様はカイウスを超えるために鍛えてきた力は凄いものだって思ってるから、その力を信じてるから」

「……まるで、見ていたかのように言うんだな」

直接は見ていないけど、ゲームでなら見てきた。
ユリウスは勉強熱心で努力家なんだ、全てはカイウスより上を目指すために…

リーズナももう一度「ユリウス様、お願いします」と言っていて、ユリウスが「気持ち悪いからその口調やめろ!」と怒っていた。

ユリウスは面倒そうに、自分の頭に触れていてため息を吐いた。
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