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想いを込めて
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加工してピッタリのサイズにするのは俺がやりたい。
このままだとユリウスの作ったものになってしまう。
ヤスリで削ってサイズを微調整していく。
型も自分でサイズを確認しながら作っていく。
魔法があれば、きっと簡単なんだろうけど…そうじゃないんだ。
一生懸命作る事が大切なんだ。
この世界の金属は俺の生前いた世界の金属とは作り方が違った。
何もかもが新しく感じるこの世界だから、きっと金属か生まれた環境も違うんだろう。
冷まして、形を整えたら終わるところまできた。
ずっと熱い金属の近くにいたから、汗掻いて服がベタベタする。
ずっと着ていたローブを外して、手で軽く仰いだ。
「ありがとうユリウス様、ユリウス様のおかげだよ」
「俺は最初しかやってねぇよ」
「最初があったから、こうやってカタチに出来たんだよ」
ユリウスはフンと鼻で笑って、壁から離れた。
金属を冷ますまで時間が掛かるから、ちょっと休憩しようと思ってローブを床に敷いて寝転がる。
そういえば昨日は丸一日寝てないから、眠気が一気に押し寄せてきた。
ユリウスに「ちょっと寝るね、おやすみなさい」と言って、目蓋を閉じた。
※ユリウスの話
勝手におやすみなさいと言って本当に寝やがった。
馬鹿なんじゃねぇの?俺は騎士団もローベルト卿も裏切ったんだぞ。
普通は自分も裏切られるって思うのが普通だろ。
よく俺に提案出来たな、憎いほど嫌いなカイウスを助けるなんて…
なんでそこまでして助けたいんだ、カイウスの信者だからか?
俺にカイウスの事で説教みたいな事言いやがって。
幸せそうに寝ているコイツが腹立たしい。
お前こそカイウスの何を知ってるんだ。
俺の事だって、何も知らないくせに。
アイツは俺から全てを奪ったんだ、両親の愛情も騎士団長という肩書きも周りからの期待されている目も…
幸せでない筈がないんだ、俺から全て奪ったくせにお前はまだ足りないのか?
『兄様、俺の持っているものがほしいなら全てあげるよ、それでいいなら』
幼少期の頃、カイウスに言われた事を思い出した。
俺がいつも一人でいたから同情でそんな事を口にしたんだって思ってカイウスをぶん殴った事があった。
すぐに周りにいたメイドや使用人に止められたから、二発目は殴れなかった。
母も慌てて飛んできていたから、怒られるだろうかと思ってちょっと期待した。
そういう趣味ではないが、俺をそう変えたのは間違いなく母だった。
母は俺を一目でも見ることなく、カイウスのところに言って心配していた。
俺は母に怒られた記憶がない。
そのままカイウスを連れていったのは今でも思い出す。
あの時、カイウスがもしも同情じゃなく本当にいらないと感じていたからだったとしたら……やっぱり腹が立つな。
俺だってお前がいらないものなんていらねぇよ。
誰も見ていないから、大きなため息を吐いて床に座り込んだ。
今更いらねぇよ、両親の愛も騎士団長の肩書きも周りに期待される事も…何もかもいらない。
物凄く不本意だけど、コイツが言うようにたった一人を愛した方が楽なのかもしれないな。
まだ誰とかまでは決めてないけど、生きていればいつか俺を正しい道に引っ張ってくれる子と出会えるのかもな。
カイウスもそんな子がいたのか?時々、顔を和らげる時があった。
いつも、無表情だったカイウスにしては珍しい顔で…あれが幸せの顔なのかもしれない。
ふと、寝ているコイツに目線を向けた。
さっきまで普通に寝ていたのに、今は寝ながら泣いている。
カイウスをあんなに真剣になって助けようとする男は見た事がない。
周りの信者だってカイウスの力には絶対の信頼を持っている。
なのに、あんな風にジークに殴られてもローベルト卿を敵に回しても助けたいんだな。
「まさか、コイツがカイウスの……そんなわけないか」
すぐにないな、と思った。
コイツがカイウスに好意を寄せてもカイウスはないだろう。
アイツの周りには美人な女が沢山いたからな、こんなちんちくりんな男を好きになるわけないよな。
まぁ、コイツを話せば分からなくもない。
寝言で「カイウス…」と呟いていて、やっぱりないなと思った。
天井を見上げるといつもと少しだけ違って見えた。
見た目は同じなのに、感じ方一つで変われるんだ。
「ローベルト卿に拾われる前に、お前に会えてたら俺はこんな風にならなかったのかな」
同じローベルト家の人間ではなく、友人としていたら…少しはカイウスと向き合う事が出来たのかもな。
もう、何もかもが遅いけどな。
俺は俺を裏切ったローベルト卿を許さない。
カイウスはその後にどうするか決める。
こんなものがなくても、俺はカイウスに勝ってみせる!
手に握られた薬の瓶を握りしめた。
このままだとユリウスの作ったものになってしまう。
ヤスリで削ってサイズを微調整していく。
型も自分でサイズを確認しながら作っていく。
魔法があれば、きっと簡単なんだろうけど…そうじゃないんだ。
一生懸命作る事が大切なんだ。
この世界の金属は俺の生前いた世界の金属とは作り方が違った。
何もかもが新しく感じるこの世界だから、きっと金属か生まれた環境も違うんだろう。
冷まして、形を整えたら終わるところまできた。
ずっと熱い金属の近くにいたから、汗掻いて服がベタベタする。
ずっと着ていたローブを外して、手で軽く仰いだ。
「ありがとうユリウス様、ユリウス様のおかげだよ」
「俺は最初しかやってねぇよ」
「最初があったから、こうやってカタチに出来たんだよ」
ユリウスはフンと鼻で笑って、壁から離れた。
金属を冷ますまで時間が掛かるから、ちょっと休憩しようと思ってローブを床に敷いて寝転がる。
そういえば昨日は丸一日寝てないから、眠気が一気に押し寄せてきた。
ユリウスに「ちょっと寝るね、おやすみなさい」と言って、目蓋を閉じた。
※ユリウスの話
勝手におやすみなさいと言って本当に寝やがった。
馬鹿なんじゃねぇの?俺は騎士団もローベルト卿も裏切ったんだぞ。
普通は自分も裏切られるって思うのが普通だろ。
よく俺に提案出来たな、憎いほど嫌いなカイウスを助けるなんて…
なんでそこまでして助けたいんだ、カイウスの信者だからか?
俺にカイウスの事で説教みたいな事言いやがって。
幸せそうに寝ているコイツが腹立たしい。
お前こそカイウスの何を知ってるんだ。
俺の事だって、何も知らないくせに。
アイツは俺から全てを奪ったんだ、両親の愛情も騎士団長という肩書きも周りからの期待されている目も…
幸せでない筈がないんだ、俺から全て奪ったくせにお前はまだ足りないのか?
『兄様、俺の持っているものがほしいなら全てあげるよ、それでいいなら』
幼少期の頃、カイウスに言われた事を思い出した。
俺がいつも一人でいたから同情でそんな事を口にしたんだって思ってカイウスをぶん殴った事があった。
すぐに周りにいたメイドや使用人に止められたから、二発目は殴れなかった。
母も慌てて飛んできていたから、怒られるだろうかと思ってちょっと期待した。
そういう趣味ではないが、俺をそう変えたのは間違いなく母だった。
母は俺を一目でも見ることなく、カイウスのところに言って心配していた。
俺は母に怒られた記憶がない。
そのままカイウスを連れていったのは今でも思い出す。
あの時、カイウスがもしも同情じゃなく本当にいらないと感じていたからだったとしたら……やっぱり腹が立つな。
俺だってお前がいらないものなんていらねぇよ。
誰も見ていないから、大きなため息を吐いて床に座り込んだ。
今更いらねぇよ、両親の愛も騎士団長の肩書きも周りに期待される事も…何もかもいらない。
物凄く不本意だけど、コイツが言うようにたった一人を愛した方が楽なのかもしれないな。
まだ誰とかまでは決めてないけど、生きていればいつか俺を正しい道に引っ張ってくれる子と出会えるのかもな。
カイウスもそんな子がいたのか?時々、顔を和らげる時があった。
いつも、無表情だったカイウスにしては珍しい顔で…あれが幸せの顔なのかもしれない。
ふと、寝ているコイツに目線を向けた。
さっきまで普通に寝ていたのに、今は寝ながら泣いている。
カイウスをあんなに真剣になって助けようとする男は見た事がない。
周りの信者だってカイウスの力には絶対の信頼を持っている。
なのに、あんな風にジークに殴られてもローベルト卿を敵に回しても助けたいんだな。
「まさか、コイツがカイウスの……そんなわけないか」
すぐにないな、と思った。
コイツがカイウスに好意を寄せてもカイウスはないだろう。
アイツの周りには美人な女が沢山いたからな、こんなちんちくりんな男を好きになるわけないよな。
まぁ、コイツを話せば分からなくもない。
寝言で「カイウス…」と呟いていて、やっぱりないなと思った。
天井を見上げるといつもと少しだけ違って見えた。
見た目は同じなのに、感じ方一つで変われるんだ。
「ローベルト卿に拾われる前に、お前に会えてたら俺はこんな風にならなかったのかな」
同じローベルト家の人間ではなく、友人としていたら…少しはカイウスと向き合う事が出来たのかもな。
もう、何もかもが遅いけどな。
俺は俺を裏切ったローベルト卿を許さない。
カイウスはその後にどうするか決める。
こんなものがなくても、俺はカイウスに勝ってみせる!
手に握られた薬の瓶を握りしめた。
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