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カイウスの話35
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ライムの事が気になるが、リーズナが付いているなら大丈夫か。
困った事があるなら俺に言うだろうし…
それにしても、床の穴が増えているが…休みの日に材料を持って修理するか。
一緒に食事をして、俺は自分の屋敷に帰っている。
本当は一緒に住みたいが、俺が住めるほど寝室に使ってるリネン室は広くない。
ライムの寝室を狭くしたくはない、でも使えそうな部屋はもうない。
二階が使えたら便利になるんだろうけどな。
朝も朝食ついでにライムの顔を見に洋館に寄った。
ライムは俺の知らない間にリーズナと仲良くなったみたいだ。
抱きかかえながら俺のところにやって来た。
リーズナは嫌そうな顔をしているが、本当に嫌なら自分で抜け出せるのにしないから、本気で嫌というわけではないのだろう。
ただの嫉妬だけど、ライムに俺だけ見てほしいと思うのは愛しているから当然だ。
ライムに朝食の弁当を渡すと嬉しそうにしている。
ずっとクマの料理はな…と考えて、今日は俺が早起きして作った。
ライムが健康で元気に過ごせるように、バランスも考えて…美味しく出来たと思う。
「ありがとう、カイウス」
「今度の休み、壊れた部分を少し修復する」
「床は俺が直すよ、俺がつまずいてああなっちゃったんだし」
「無理しなくていい」
「無理じゃないよ!いい運動になるし…ね、リーズナ」
ライムは自分の腕の中にいるリーズナに話しかけていた。
普段は人間の言葉で喋るのに、何故か「にゃー」とわざとらしく鳴いた。
リーズナが何も言う事がない時にとりあえず鳴く癖があるからな。
それでもライムは満足そうにニコニコ笑っていた。
……モヤモヤする、相手はリーズナでお互いそういうのがないって分かりきってるのに…
無意識に顔を強張らせていたのか、ライムは「カイウス、痛いところあるの?」と心配していた。
そうじゃない、俺のただの醜い感情が現れただけだ。
そうだ、だってライムは俺のもので…その事実は揺るがない。
ライムの頬に触れると薄く柔らかい感触がした。
そのまま手を後頭部に回して、唇を合わせた。
びっくりした顔をしていたが、小さく開いた唇の隙間に舌を入れて軽く吸ってくすぐると小さく可愛い声が漏れた。
「んっ…んぅ」
「はぁ、ライム…触れたい」
「だ、ダメだよ…これから仕事でしょ」
「………」
「綺麗にこの場所を修復したらカイウスと一緒に住めるかな」
確かにこの後大事な仕事の用事があるが、一気に現実を突きつけられた何とも言えない感覚になった。
でも、ライムが俺と同じ考えだったと知れて良かった。
早く一緒に住めるようになれば、もっと時間が出来る。
慌てる事はない、ライムはここにいて…俺の帰る場所はライムの傍だけだ。
食堂で一緒に弁当を食べる時、弁当を食べる手を止めてライムの方をこっそり見た。
それに気付かず、ライムはもぐもぐと食べていた。
何度も作っていたが、毎回好きな人に食べてもらうのは緊張する。
俺のこんな姿、知り合いが見たらきっと笑うだろう。
でも仕方ない、俺がこうなるのはライムの前でだけだから…
たとえライムに気付いてもらえなくても、美味しく食べてくれさえしてくれたらそれでいい。
「美味しいよ!カイウス!」
「そっか」
「次は俺が作るね!あ、材料お願いしていい?ごめんね」
「それは構わないが、ライムは料理しなくてもいいぞ」
「そうはいかないよ、カイウスが俺のために作ってくれたんだから俺もお礼がしたいんだ!」
そう言ってライムは再び弁当を食べ始めていた。
可愛いな、ライムは…俺がしたくてしてるだけなのに…
ライムの手料理も美味しいから好きだから嬉しいけど…
今日はちょっと夕飯が遅くなってしまうかもしれない事をライムに伝えた。
遅くなっても、忘れる事はないからなるべく早く帰れるように努力する。
ライムは自分の食事ではなく、別の事を心配していた。
「それって大丈夫なの?危ない仕事?」
「騎士の仕事は常に危険とは切りたくても切れない関係だから…」
「あっ、それは…そうだけど、神に関わる話なのか気になって」
ライムは別の世界であんな事があったから、不安なんだろう。
ライムを引き寄せて、ギュッと優しくしっかりと抱きしめる。
大丈夫だよ、神はこんな遠くまで来る事はない。
来る事が出来るのは神が長くいるローベルト家と、俺の力が強く染み付いている場所だけだ。
この洋館はほとんど俺が踏み入れていない場所だから綺麗な空気だ。
だからこの場所を選んだんだ、神もライムを見つける事は出来ない。
俺が今から住んでも、一年くらいじゃ俺の力が染み付く事はないから平気だ。
一年以上住む場所ではないし、その前に神をどうにかすれば怯える事はない。
ライムにとってここは宮殿よりも安心出来る場所だろう。
そう伝えて安心させたかったが、ライムは「そうじゃないよ」と言っていた。
「カイウスに無茶してほしくない…それだけだよ」
「ライム、俺は大丈夫だから」
ライムが何を心配しているのか分からないけど、神になんか負けるわけがない。
だから、ライムには笑って出迎えてきてくれたら…それでいい。
ライムは俺をジッと見つめていて、なにかいいたげな顔をしていた。
でも、何も言わずに「無事に帰ってきてね」と言っていた。
なにか引っ掛かる感じがするが、ランドが弁当を片し初めてしまい…俺ももう行かなきゃいけない時間だから話し合いが出来なかった。
やっぱり早く俺も住めるようにしなきゃな…微妙なすれ違いのままにしておくわけにはいかない。
ライムに玄関先で見送られて、そのまま城に向かった。
城に入ると騎士の一人が俺に気付いて駆けつけて来た。
「カイ様、お待ちしておりました…こちらです」
「ご本人の意思は変わらずか?」
「そのようです、もう何を言っても…」
「分かった」
騎士の報告を聞いて、俺を待つ人がいる応接室に向かう。
こんなに重苦しい雰囲気の扉は珍しいな、とため息を吐いた。
軽くノックを数回して「カイウス・エーデルハイドです」と言うと中から声が聞こえた。
扉を開けると、騎士二人と間に座る男が一人いた。
鋭く睨む瞳が俺を見つけると表情を少し和らいだ。
金髪を揺らしながら立ち上がり、俺に向かって手を差し伸ばしてきた。
「今日から騎士団見習いになったカイトだ、すぐに副団長になるつもりだからよろしくな、カイウス」
いくら継がないとはいえ何故王族であるこの人が騎士団に入ってきたのか。
困った事があるなら俺に言うだろうし…
それにしても、床の穴が増えているが…休みの日に材料を持って修理するか。
一緒に食事をして、俺は自分の屋敷に帰っている。
本当は一緒に住みたいが、俺が住めるほど寝室に使ってるリネン室は広くない。
ライムの寝室を狭くしたくはない、でも使えそうな部屋はもうない。
二階が使えたら便利になるんだろうけどな。
朝も朝食ついでにライムの顔を見に洋館に寄った。
ライムは俺の知らない間にリーズナと仲良くなったみたいだ。
抱きかかえながら俺のところにやって来た。
リーズナは嫌そうな顔をしているが、本当に嫌なら自分で抜け出せるのにしないから、本気で嫌というわけではないのだろう。
ただの嫉妬だけど、ライムに俺だけ見てほしいと思うのは愛しているから当然だ。
ライムに朝食の弁当を渡すと嬉しそうにしている。
ずっとクマの料理はな…と考えて、今日は俺が早起きして作った。
ライムが健康で元気に過ごせるように、バランスも考えて…美味しく出来たと思う。
「ありがとう、カイウス」
「今度の休み、壊れた部分を少し修復する」
「床は俺が直すよ、俺がつまずいてああなっちゃったんだし」
「無理しなくていい」
「無理じゃないよ!いい運動になるし…ね、リーズナ」
ライムは自分の腕の中にいるリーズナに話しかけていた。
普段は人間の言葉で喋るのに、何故か「にゃー」とわざとらしく鳴いた。
リーズナが何も言う事がない時にとりあえず鳴く癖があるからな。
それでもライムは満足そうにニコニコ笑っていた。
……モヤモヤする、相手はリーズナでお互いそういうのがないって分かりきってるのに…
無意識に顔を強張らせていたのか、ライムは「カイウス、痛いところあるの?」と心配していた。
そうじゃない、俺のただの醜い感情が現れただけだ。
そうだ、だってライムは俺のもので…その事実は揺るがない。
ライムの頬に触れると薄く柔らかい感触がした。
そのまま手を後頭部に回して、唇を合わせた。
びっくりした顔をしていたが、小さく開いた唇の隙間に舌を入れて軽く吸ってくすぐると小さく可愛い声が漏れた。
「んっ…んぅ」
「はぁ、ライム…触れたい」
「だ、ダメだよ…これから仕事でしょ」
「………」
「綺麗にこの場所を修復したらカイウスと一緒に住めるかな」
確かにこの後大事な仕事の用事があるが、一気に現実を突きつけられた何とも言えない感覚になった。
でも、ライムが俺と同じ考えだったと知れて良かった。
早く一緒に住めるようになれば、もっと時間が出来る。
慌てる事はない、ライムはここにいて…俺の帰る場所はライムの傍だけだ。
食堂で一緒に弁当を食べる時、弁当を食べる手を止めてライムの方をこっそり見た。
それに気付かず、ライムはもぐもぐと食べていた。
何度も作っていたが、毎回好きな人に食べてもらうのは緊張する。
俺のこんな姿、知り合いが見たらきっと笑うだろう。
でも仕方ない、俺がこうなるのはライムの前でだけだから…
たとえライムに気付いてもらえなくても、美味しく食べてくれさえしてくれたらそれでいい。
「美味しいよ!カイウス!」
「そっか」
「次は俺が作るね!あ、材料お願いしていい?ごめんね」
「それは構わないが、ライムは料理しなくてもいいぞ」
「そうはいかないよ、カイウスが俺のために作ってくれたんだから俺もお礼がしたいんだ!」
そう言ってライムは再び弁当を食べ始めていた。
可愛いな、ライムは…俺がしたくてしてるだけなのに…
ライムの手料理も美味しいから好きだから嬉しいけど…
今日はちょっと夕飯が遅くなってしまうかもしれない事をライムに伝えた。
遅くなっても、忘れる事はないからなるべく早く帰れるように努力する。
ライムは自分の食事ではなく、別の事を心配していた。
「それって大丈夫なの?危ない仕事?」
「騎士の仕事は常に危険とは切りたくても切れない関係だから…」
「あっ、それは…そうだけど、神に関わる話なのか気になって」
ライムは別の世界であんな事があったから、不安なんだろう。
ライムを引き寄せて、ギュッと優しくしっかりと抱きしめる。
大丈夫だよ、神はこんな遠くまで来る事はない。
来る事が出来るのは神が長くいるローベルト家と、俺の力が強く染み付いている場所だけだ。
この洋館はほとんど俺が踏み入れていない場所だから綺麗な空気だ。
だからこの場所を選んだんだ、神もライムを見つける事は出来ない。
俺が今から住んでも、一年くらいじゃ俺の力が染み付く事はないから平気だ。
一年以上住む場所ではないし、その前に神をどうにかすれば怯える事はない。
ライムにとってここは宮殿よりも安心出来る場所だろう。
そう伝えて安心させたかったが、ライムは「そうじゃないよ」と言っていた。
「カイウスに無茶してほしくない…それだけだよ」
「ライム、俺は大丈夫だから」
ライムが何を心配しているのか分からないけど、神になんか負けるわけがない。
だから、ライムには笑って出迎えてきてくれたら…それでいい。
ライムは俺をジッと見つめていて、なにかいいたげな顔をしていた。
でも、何も言わずに「無事に帰ってきてね」と言っていた。
なにか引っ掛かる感じがするが、ランドが弁当を片し初めてしまい…俺ももう行かなきゃいけない時間だから話し合いが出来なかった。
やっぱり早く俺も住めるようにしなきゃな…微妙なすれ違いのままにしておくわけにはいかない。
ライムに玄関先で見送られて、そのまま城に向かった。
城に入ると騎士の一人が俺に気付いて駆けつけて来た。
「カイ様、お待ちしておりました…こちらです」
「ご本人の意思は変わらずか?」
「そのようです、もう何を言っても…」
「分かった」
騎士の報告を聞いて、俺を待つ人がいる応接室に向かう。
こんなに重苦しい雰囲気の扉は珍しいな、とため息を吐いた。
軽くノックを数回して「カイウス・エーデルハイドです」と言うと中から声が聞こえた。
扉を開けると、騎士二人と間に座る男が一人いた。
鋭く睨む瞳が俺を見つけると表情を少し和らいだ。
金髪を揺らしながら立ち上がり、俺に向かって手を差し伸ばしてきた。
「今日から騎士団見習いになったカイトだ、すぐに副団長になるつもりだからよろしくな、カイウス」
いくら継がないとはいえ何故王族であるこの人が騎士団に入ってきたのか。
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