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カイウスの話33
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部屋の中に入ったら、ライムがいなくなった。
ライムだけじゃない、この部屋が可笑しい。
名前を呼んでも、静かな空間に反響するだけだ。
ライムと繋がっている紐を見ると暗闇の奥に伸びている。
これが繋がっている限り、ライムは大丈夫だろうが引っ張っても硬くて引き寄せる事が出来ない。
ライムは傍にいる筈なのに、空間が遮断されている。
空間そのものを変えられるのは、人間には不可能だ。
出来るとしたら、神ほどの力を持つものだ。
「何のつもりでここにいるんだ」
「ふふっ、全てはカイウス…お前のためだよ」
暗闇の中から歩いてくるのは、俺の知っている神とは少し違った容姿だった。
腰まで長い銀髪を後ろにまとめて、服装もネクタイをしている正装だった。
それでも気味の悪い笑みは相変わらずだった。
一歩一歩近付いてくるから、足元に向かって炎を出した。
思ったより強い勢いで、俺と神の間に炎が燃えていた。
…なんだこれ、力が溢れて自分で制御が出来なくなる。
魔力を使うのは危険だ、気を抜くと力が暴走してしまう。
「どうした?カイウス、もう終わりか?」
「…宮殿を返せ、お前が居ていい場所じゃない」
「カイウスの力が込められた場所だからこそいいんじゃないか」
神は気持ちの悪い笑みで近付いてくる。
腰に下げている剣を引き抜いて神に向ける。
何度も神には宮殿に入られた事がある。
それは、神の力が俺と似ているからなんだろう。
認めたくないが、宮殿が受け入れてしまっている。
作り直さないと、荒らされた宮殿を一から…ライムと共に…
「カイウス、我慢はいけないな…素直になったらどうなんだ?」
「……」
「私を殺したくて殺したくて仕方ないのだろ?魔力を解放してみればいい…気持ち良くなれるぞ」
剣を振り上げて、神に向かって斬りかかるが刃は神に触れる事はなかった。
人差し指で剣を受け止めて、弾き飛ばした。
剣を地面に突き立てて、体は止まった。
武器だけで神とやり合うのは難しいのかもしれない。
それでも魔力は使わない、神の思い通りにはならない。
息をゆっくりと吐いて、再び剣を振り上げた。
「何度やっても同じ事…早くあの悪魔の子のところに行かなくていいのか?」
「……なんだと」
「死体と対面する事になるかもな」
その言葉を聞いて、俺のなにかが崩れていくのが分かる。
ライムはまだ俺の傍にいる、俺の力に守られているから大丈夫だ……大丈夫。
俺の考えを見透かしたように神は楽しげに笑っていた。
「今、悪魔の子と一緒にいるのは誰だと思う?」と質問してきた。
ライムに手を出そうとしているなら、誰かと一緒にいるのは確実だろう。
それが誰かなんて知らない、俺の知っている奴か?
知っている奴の中でも俺の防御を破れる相手はいない。
仮にいたとしても、ソイツは俺の目の前にいる。
分身になる事も出来るが、分身ごときが俺の防御を破れるわけがない。
挑発して、俺に魔力を使わせる気なのだろう。
自分の力は自分がよく知っている、動揺するな…相手のペースに呑まれるわけにはいかない。
「ライムは俺が守っている、誰にも指一本触れさせない」
「私が相手でも…」
「分身が俺の防御を破れるとは思わない」
「確かに分身は私の力の一部、カイウスには劣るだろう……分身であるなら」
「…どういう事だ?」
「安心していていいのか?カイウス」
一気に目の前まで距離を詰めてきて、囁くようにそう言った。
剣を振ると、軽やかに避けられて舌打ちする。
俺の防御が完璧でも、ライムに会いたい…俺がこの手でライムを守りたい。
神の言葉に引っかかりを感じて、眉を寄せる。
やたら「分身だったら」を強調していた、ライムといるのは神の一部じゃないのか?
ただの人間なら、余計に俺の防御を破れない。
「神がもう一人いるとしたら?」
「何…?」
「私の可愛いカイウスのために話してやろう」
俺に魔力を使わせるために話す事だ、まともに聞くのは馬鹿らしい。
でも、俺の攻撃が無意味な事なのは相変わらずだ。
神にとって俺の攻撃は、虫を払うくらい簡単な事なのだろう。
ライムだけじゃない、この部屋が可笑しい。
名前を呼んでも、静かな空間に反響するだけだ。
ライムと繋がっている紐を見ると暗闇の奥に伸びている。
これが繋がっている限り、ライムは大丈夫だろうが引っ張っても硬くて引き寄せる事が出来ない。
ライムは傍にいる筈なのに、空間が遮断されている。
空間そのものを変えられるのは、人間には不可能だ。
出来るとしたら、神ほどの力を持つものだ。
「何のつもりでここにいるんだ」
「ふふっ、全てはカイウス…お前のためだよ」
暗闇の中から歩いてくるのは、俺の知っている神とは少し違った容姿だった。
腰まで長い銀髪を後ろにまとめて、服装もネクタイをしている正装だった。
それでも気味の悪い笑みは相変わらずだった。
一歩一歩近付いてくるから、足元に向かって炎を出した。
思ったより強い勢いで、俺と神の間に炎が燃えていた。
…なんだこれ、力が溢れて自分で制御が出来なくなる。
魔力を使うのは危険だ、気を抜くと力が暴走してしまう。
「どうした?カイウス、もう終わりか?」
「…宮殿を返せ、お前が居ていい場所じゃない」
「カイウスの力が込められた場所だからこそいいんじゃないか」
神は気持ちの悪い笑みで近付いてくる。
腰に下げている剣を引き抜いて神に向ける。
何度も神には宮殿に入られた事がある。
それは、神の力が俺と似ているからなんだろう。
認めたくないが、宮殿が受け入れてしまっている。
作り直さないと、荒らされた宮殿を一から…ライムと共に…
「カイウス、我慢はいけないな…素直になったらどうなんだ?」
「……」
「私を殺したくて殺したくて仕方ないのだろ?魔力を解放してみればいい…気持ち良くなれるぞ」
剣を振り上げて、神に向かって斬りかかるが刃は神に触れる事はなかった。
人差し指で剣を受け止めて、弾き飛ばした。
剣を地面に突き立てて、体は止まった。
武器だけで神とやり合うのは難しいのかもしれない。
それでも魔力は使わない、神の思い通りにはならない。
息をゆっくりと吐いて、再び剣を振り上げた。
「何度やっても同じ事…早くあの悪魔の子のところに行かなくていいのか?」
「……なんだと」
「死体と対面する事になるかもな」
その言葉を聞いて、俺のなにかが崩れていくのが分かる。
ライムはまだ俺の傍にいる、俺の力に守られているから大丈夫だ……大丈夫。
俺の考えを見透かしたように神は楽しげに笑っていた。
「今、悪魔の子と一緒にいるのは誰だと思う?」と質問してきた。
ライムに手を出そうとしているなら、誰かと一緒にいるのは確実だろう。
それが誰かなんて知らない、俺の知っている奴か?
知っている奴の中でも俺の防御を破れる相手はいない。
仮にいたとしても、ソイツは俺の目の前にいる。
分身になる事も出来るが、分身ごときが俺の防御を破れるわけがない。
挑発して、俺に魔力を使わせる気なのだろう。
自分の力は自分がよく知っている、動揺するな…相手のペースに呑まれるわけにはいかない。
「ライムは俺が守っている、誰にも指一本触れさせない」
「私が相手でも…」
「分身が俺の防御を破れるとは思わない」
「確かに分身は私の力の一部、カイウスには劣るだろう……分身であるなら」
「…どういう事だ?」
「安心していていいのか?カイウス」
一気に目の前まで距離を詰めてきて、囁くようにそう言った。
剣を振ると、軽やかに避けられて舌打ちする。
俺の防御が完璧でも、ライムに会いたい…俺がこの手でライムを守りたい。
神の言葉に引っかかりを感じて、眉を寄せる。
やたら「分身だったら」を強調していた、ライムといるのは神の一部じゃないのか?
ただの人間なら、余計に俺の防御を破れない。
「神がもう一人いるとしたら?」
「何…?」
「私の可愛いカイウスのために話してやろう」
俺に魔力を使わせるために話す事だ、まともに聞くのは馬鹿らしい。
でも、俺の攻撃が無意味な事なのは相変わらずだ。
神にとって俺の攻撃は、虫を払うくらい簡単な事なのだろう。
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