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密会
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カイウスに頭を下げて行こうとしたら、後ろから抱きしめられた。
体温が熱くて、俺も離れたくなくなってきたけど外がだんだん明るくなってきたからマズイよな。
腕を優しく掴むと、カイウスの手の力が緩み離れた。
カイウスの方を振り返り、軽く唇にキスをして歩き出した。
まさか俺からすると思っていなかったのか、カイウスの呆然とした顔が忘れられない。
まだ心臓がドキドキする、髪に触れて赤くなっているであろう顔をどうにかしようと思って思い出した。
そうだ、カツラを倉庫に置いたままだった…早く戻らないと…
急いで倉庫に向かってカツラを被って倉庫を出た。
メイドの部屋は大部屋だから、他の女性て過ごすのは気まずい。
周りは当然俺が男だと思ってないから、平気なんだろうけど…
ローズみたいに一人部屋ならそんな事を気にしなくていいんだけど…ローズはメイド長だからな。
とりあえずもう少し休みたいと思って大部屋に向かっていたら、メイド達が向こう側からゾロゾロと歩いてきた。
あれ?まだ外は早朝になったばかりなのにまさかもう?
何人かのメイドとすれ違い、最後にローズが俺の前で足を止めた。
「倉庫の掃除は?」
「終わりました」
「そう、なら来なさい…仕事よ」
メイドの仕事は、かなり早くに始まるようだった。
今日は廊下の窓拭きをする事になった、カイウスのベッドで少し寝たからまだ大丈夫だ。
ローズや屋敷の人がいないからか、メイド達は話に花を咲かせていた。
俺は窓の向こう側にいる人物を見つけて、すぐに目を逸らした。
ローベルトの兵士達が外をウロウロしている、俺がマリーを連れてくるのを待っているんだろう。
まるっきり不審者で、兵士を騎士が捕まえてくれたら平和になるのになぁ…と思った。
ゲームの世界のままだと、まだローベルト家の人間というだけで捕まえたりはしないんだろうけど…
窓から床掃除に切り替えて、兵士の事はとりあえず忘れようと思った。
その時、お喋りをしながら仕事をしていたメイドの一人が思い出したかのように別のメイドに話しかけていた。
「そういえば、私見たんだけどカイ様が抱き合ってる姿を見たのよ!」
「えっ!?マリーと密会?」
「いや、あの後ろ姿はマリーじゃなかったわ…短髪のメイドだったわ」
それを聞いて、ずるっと廊下に滑りそうになった。
か、かか…カイウスとの事誰かに見られてたなんて…
カツラしていなかった事が幸いして、短髪のメイドがカイウスと密会していた事になっていて、俺を疑う人はいなかった。
黒髪で夜にまだ仕事していたのは俺だけだからな。
でも、カイウスがこのままだと浮気者だと思われるかもしれない。
それは良くない、俺がもうちょっと周りを気にしていれば…
盗み聞きしていた事を言う事になると思ったが、カイウスの汚名を晴らそうと後ろを振り返った。
何故か、カイウスが浮気していた話で楽しげに二人のメイドは話していた。
「あ、あの!」
「その噂は本当?」
俺の声に被せるように、誰かが声を出していて俺とメイド二人はその声の主の方に振り返った。
自然とメイド達の背筋が伸びていて、こちらまで緊張が伝わってくる。
険しい顔をしたローズは、メイド二人の方を見ていた。
お喋りをした事よりも、噂の内容が問題みたいだ。
ローズにとってカイウスの事は何でも知りたいのだろう。
でも、その噂はローズにとっては信じられない事だろう。
「カイ様が他のメイドと?それはいったい誰?」
「……その、暗くて分からなかったんですが短髪のメイドでした」
「短髪…確認してくる、それと…この話は誰にも言わない事…当然マリーにも」
「は、はい!」
ローズはそう言って、短髪の相手を探すために行ってしまった。
短髪は俺だと思うから、絶対に見つからないだろう。
疑われる人に心の中で謝って、気軽にカイウスに会えなくなったなと思った。
次から男の格好で会えば、あんな誤解はされないよな。
メイドとして潜入した意味がなくなるが、マリーを連れてくるつもりはない。
それに、カイウスに会えた俺の目的も終わったし…
これ以上誤解されるのも嫌だし、この世界のローベルト家なら無視出来るような気がする。
まだ大人しい感じだし、ゲームには確か神がいないからローベルト家はそこまで凶暴ではない筈だ。
過去のように、ここまで神が来たりしていなければ…だけど…
そう思うと、本当に来そうだから来ない事を祈ろう。
掃除を再開して、今日はちゃんと食堂で食事が出来た。
ローズがどう調べたのか分からないが、結局メイドのフリをした不審者がいる事になった。
カイウスの事を伏せて、不審者を見つけたら捕まえるようにローズは言っていた。
確かに見つからなかったら不審者になるのは当然だよな。
「ライム、迷惑かけてすまなかった」
「カイウスのせいじゃないよ、俺が周りをもっと警戒しとかないといけなかったんだし」
カイウスとその日の夜中に再び会う事にした。
俺は早めに仕事を終わらせて、食事も口に詰め込んで仮眠したから大丈夫だ。
カイウスに心配されるような事はないと思っている。
そして、俺はメイドだって騒がれないように私服に着替えた…あの倉庫で…
倉庫に行ってきますと言っただけなのに、俺は倉庫が好きなんだと勝手に思われていた。
別にそういうわけじゃないんだけどな。
万全の準備をしてきたが、もっと他の問題があった。
騒ぎになったから夜中に見回るメイドもいて、昨日より会う事は難しかった。
カイウスの部屋にはローズが見張っていたし、どうしようかと倉庫の中で考えていた。
見回りがいるのに廊下を男の格好でウロウロするわけにはいかない。
倉庫が俺にとっての安らぎの場になっていた。
そんな時、倉庫のドアが叩かれて俺がここにいる事は誰も知らないのにと驚いた。
ドアを開けると、そこにはカイウスがいてさらに驚いた。
待ち合わせしていたわけじゃないのに会えた事がとても嬉しかった。
でもローズが入り口にいたのにどうやって抜け出したのか気になって、カイウスを倉庫の中に招いて聞いた。
カイウスの話は簡単で、入り口は一つではないという事だった。
窓から一度外に出て、正面からまた入ってきたそうだ。
俺が行くのは難しいが、確かにカイウスなら可能だ。
「ここに来たらライムに会えると思ってきたんだ」
「俺が行ける場所はここくらいだから」
「ライム、噂の事だけど…」
そこで、謝られたが…俺がメイドの立場を気にしていたのに最後で気が緩んだせいだから、カイウスは悪くないよ。
それより、カイウスにこの世界について話さないといけない。
ゲームだと思って話すからわけが分からなくなるんだ…なら本に置き換えて話せば分かりやすいかもしれない。
この世界でもフィクションの本は存在する。
だから本の世界に入ってしまったんだとカイウスに伝えた。
カイウスは眉を寄せて不機嫌になりながらも聞いていた。
本の世界に入るのは、魔法がある世界でありえない話ではないからそこはすんなり入るだろう。
「つまりここは誰が書いたかも分からない本の世界なのか?」
「…みたい」
「ライムはその本を見たのか?」
「う…ん」
「俺と他人が付き合っている本をか?」
「それはカイウスを好きになる前だから…」
「…俺が好きなのはライムだ」
「うん、ごめんなさい」
カイウスは俺の頬に触れていて、くすぐったかった。
本の著者が気になっているみたいで、考え込んでいた。
確かにカイウスは知っているとして、俺とマリーを知っている人なんて限られた人しかいない。
しかも、俺を殺すシーンも書くなんて…普通だったら俺に恨みがある人だと思うのは当然だ。
体温が熱くて、俺も離れたくなくなってきたけど外がだんだん明るくなってきたからマズイよな。
腕を優しく掴むと、カイウスの手の力が緩み離れた。
カイウスの方を振り返り、軽く唇にキスをして歩き出した。
まさか俺からすると思っていなかったのか、カイウスの呆然とした顔が忘れられない。
まだ心臓がドキドキする、髪に触れて赤くなっているであろう顔をどうにかしようと思って思い出した。
そうだ、カツラを倉庫に置いたままだった…早く戻らないと…
急いで倉庫に向かってカツラを被って倉庫を出た。
メイドの部屋は大部屋だから、他の女性て過ごすのは気まずい。
周りは当然俺が男だと思ってないから、平気なんだろうけど…
ローズみたいに一人部屋ならそんな事を気にしなくていいんだけど…ローズはメイド長だからな。
とりあえずもう少し休みたいと思って大部屋に向かっていたら、メイド達が向こう側からゾロゾロと歩いてきた。
あれ?まだ外は早朝になったばかりなのにまさかもう?
何人かのメイドとすれ違い、最後にローズが俺の前で足を止めた。
「倉庫の掃除は?」
「終わりました」
「そう、なら来なさい…仕事よ」
メイドの仕事は、かなり早くに始まるようだった。
今日は廊下の窓拭きをする事になった、カイウスのベッドで少し寝たからまだ大丈夫だ。
ローズや屋敷の人がいないからか、メイド達は話に花を咲かせていた。
俺は窓の向こう側にいる人物を見つけて、すぐに目を逸らした。
ローベルトの兵士達が外をウロウロしている、俺がマリーを連れてくるのを待っているんだろう。
まるっきり不審者で、兵士を騎士が捕まえてくれたら平和になるのになぁ…と思った。
ゲームの世界のままだと、まだローベルト家の人間というだけで捕まえたりはしないんだろうけど…
窓から床掃除に切り替えて、兵士の事はとりあえず忘れようと思った。
その時、お喋りをしながら仕事をしていたメイドの一人が思い出したかのように別のメイドに話しかけていた。
「そういえば、私見たんだけどカイ様が抱き合ってる姿を見たのよ!」
「えっ!?マリーと密会?」
「いや、あの後ろ姿はマリーじゃなかったわ…短髪のメイドだったわ」
それを聞いて、ずるっと廊下に滑りそうになった。
か、かか…カイウスとの事誰かに見られてたなんて…
カツラしていなかった事が幸いして、短髪のメイドがカイウスと密会していた事になっていて、俺を疑う人はいなかった。
黒髪で夜にまだ仕事していたのは俺だけだからな。
でも、カイウスがこのままだと浮気者だと思われるかもしれない。
それは良くない、俺がもうちょっと周りを気にしていれば…
盗み聞きしていた事を言う事になると思ったが、カイウスの汚名を晴らそうと後ろを振り返った。
何故か、カイウスが浮気していた話で楽しげに二人のメイドは話していた。
「あ、あの!」
「その噂は本当?」
俺の声に被せるように、誰かが声を出していて俺とメイド二人はその声の主の方に振り返った。
自然とメイド達の背筋が伸びていて、こちらまで緊張が伝わってくる。
険しい顔をしたローズは、メイド二人の方を見ていた。
お喋りをした事よりも、噂の内容が問題みたいだ。
ローズにとってカイウスの事は何でも知りたいのだろう。
でも、その噂はローズにとっては信じられない事だろう。
「カイ様が他のメイドと?それはいったい誰?」
「……その、暗くて分からなかったんですが短髪のメイドでした」
「短髪…確認してくる、それと…この話は誰にも言わない事…当然マリーにも」
「は、はい!」
ローズはそう言って、短髪の相手を探すために行ってしまった。
短髪は俺だと思うから、絶対に見つからないだろう。
疑われる人に心の中で謝って、気軽にカイウスに会えなくなったなと思った。
次から男の格好で会えば、あんな誤解はされないよな。
メイドとして潜入した意味がなくなるが、マリーを連れてくるつもりはない。
それに、カイウスに会えた俺の目的も終わったし…
これ以上誤解されるのも嫌だし、この世界のローベルト家なら無視出来るような気がする。
まだ大人しい感じだし、ゲームには確か神がいないからローベルト家はそこまで凶暴ではない筈だ。
過去のように、ここまで神が来たりしていなければ…だけど…
そう思うと、本当に来そうだから来ない事を祈ろう。
掃除を再開して、今日はちゃんと食堂で食事が出来た。
ローズがどう調べたのか分からないが、結局メイドのフリをした不審者がいる事になった。
カイウスの事を伏せて、不審者を見つけたら捕まえるようにローズは言っていた。
確かに見つからなかったら不審者になるのは当然だよな。
「ライム、迷惑かけてすまなかった」
「カイウスのせいじゃないよ、俺が周りをもっと警戒しとかないといけなかったんだし」
カイウスとその日の夜中に再び会う事にした。
俺は早めに仕事を終わらせて、食事も口に詰め込んで仮眠したから大丈夫だ。
カイウスに心配されるような事はないと思っている。
そして、俺はメイドだって騒がれないように私服に着替えた…あの倉庫で…
倉庫に行ってきますと言っただけなのに、俺は倉庫が好きなんだと勝手に思われていた。
別にそういうわけじゃないんだけどな。
万全の準備をしてきたが、もっと他の問題があった。
騒ぎになったから夜中に見回るメイドもいて、昨日より会う事は難しかった。
カイウスの部屋にはローズが見張っていたし、どうしようかと倉庫の中で考えていた。
見回りがいるのに廊下を男の格好でウロウロするわけにはいかない。
倉庫が俺にとっての安らぎの場になっていた。
そんな時、倉庫のドアが叩かれて俺がここにいる事は誰も知らないのにと驚いた。
ドアを開けると、そこにはカイウスがいてさらに驚いた。
待ち合わせしていたわけじゃないのに会えた事がとても嬉しかった。
でもローズが入り口にいたのにどうやって抜け出したのか気になって、カイウスを倉庫の中に招いて聞いた。
カイウスの話は簡単で、入り口は一つではないという事だった。
窓から一度外に出て、正面からまた入ってきたそうだ。
俺が行くのは難しいが、確かにカイウスなら可能だ。
「ここに来たらライムに会えると思ってきたんだ」
「俺が行ける場所はここくらいだから」
「ライム、噂の事だけど…」
そこで、謝られたが…俺がメイドの立場を気にしていたのに最後で気が緩んだせいだから、カイウスは悪くないよ。
それより、カイウスにこの世界について話さないといけない。
ゲームだと思って話すからわけが分からなくなるんだ…なら本に置き換えて話せば分かりやすいかもしれない。
この世界でもフィクションの本は存在する。
だから本の世界に入ってしまったんだとカイウスに伝えた。
カイウスは眉を寄せて不機嫌になりながらも聞いていた。
本の世界に入るのは、魔法がある世界でありえない話ではないからそこはすんなり入るだろう。
「つまりここは誰が書いたかも分からない本の世界なのか?」
「…みたい」
「ライムはその本を見たのか?」
「う…ん」
「俺と他人が付き合っている本をか?」
「それはカイウスを好きになる前だから…」
「…俺が好きなのはライムだ」
「うん、ごめんなさい」
カイウスは俺の頬に触れていて、くすぐったかった。
本の著者が気になっているみたいで、考え込んでいた。
確かにカイウスは知っているとして、俺とマリーを知っている人なんて限られた人しかいない。
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