153 / 299
カイウスの話30
しおりを挟む
「今すぐやめろ、人間に関わる事を…」
「お前がライム・ローベルトを殺せば人間なんかと関わりたくもない」
「…ふざけるな、俺は絶対に…ライムを、守る」
「お前は大勢の人間に愛されている、何もあの男でなくてもいいだろ」
「お前には一生分からないだろうな」
俺にはあの子じゃなければいけないんだ、愛を知らない存在には一生分からない。
代わりなんていない、俺の命そのものだ……だからライムは俺が必ず守る。
神が俺を見る目が変わった。
さっきとは違い、つまらない者を見るような目だ。
神を楽しませるつもりはない、何故ローベルト卿に協力しているのか分かった。
後は薬そのものがほしいが、神にお願いなんて絶対にしない。
素直に渡すような奴でない事くらい分かっている。
ならば、無理矢理にでも引っ張り出す必要がある。
手に力を込めると、神は逃げる事どころか何もしようとはしていなかった。
重い息を吐いて、手に雷をまとわせた。
暗い室内が明るくなってより周りが見えた。
さっきは神しか見えなかったが、これは…
神の周りの現状を見て、吐きそうになるのを堪えた。
床や壁にべったりとこびりついた血や、小さな鳥籠には体の一部がない精霊達が閉じ込められていた。
「つまらない男だな、やはりライム・ローベルトはお前にとっての害だ」
「俺の害はお前だ」
「その憎悪を何故元凶に向けない?私が精霊達をこうしているのは全てライム・ローベルトのせいだと言うのに」
何でもかんでもライムのせいにするな。
お前さえいなければ、ライムがあんな辛い目に遭わずに済んだんだ。
雷を鉄格子の向こう側にいる神に向かって放った。
しかし、神に通る前に弾かれた。
「無駄だ、この空間そのものが私の場所…お前の宮殿と同じようなものだ」
「なら、破壊も出来る筈だ!」
力を込めて鉄格子を殴り続けた。
金属の響く音は聞こえるが、鉄格子が壊れるどころか曲がる事もない。
俺の力不足だと言われたような気がして、腹が立つ。
でも、さっきまでの具合の悪さは引いていく。
ストレスが溜まっているから、発散されているわけではない。
何だろう、魔力を使うと俺の体調が不思議と安定していく。
「無駄だ無駄、お前には壊せない…私と同じ神にならない限り無駄だ」
「誰が神になるか、俺は俺のままでいい」
「そこは欲深な人間の方が扱いやすいな」
鉄格子を壊せないなら薬を回収する事は出来ない。
悔しいが、そろそろ俺自身も限界が近付いている。
力が安定したら、元の姿に戻りそうになる。
「カイウス、何故私が人間に力を与えていると思う?」
ライムを迎えに行く時間も考えて、さっさとこの場を離れようと思った。
神に背を向けると、俺にそんな事を言ってきた。
何故かって、それは自分でペラペラ喋っていただろ。
ローベルト卿を利用してライムを殺すためだろ。
その言葉を俺に言わせる気か。
怒りが湧き上がってきて、魔力で神を殴りつけそうになる。
でも、今油断して使うとすぐにでも元の姿に戻りそうになる。
そのまま神に振り返る事なく、歩いてこの場を離れようとした。
神の声が何処までも追いかけてきていて、鬱陶しい。
「精霊の力の適合者を探しているんだ、お前も張り合いがほしいと思わないか?」
「……」
「全てお前の神の力を引き出すための駒なんだよ」
精霊の力の適合者…その言葉が何処かで引っ掛かった。
人の体は異物を入れたら出そうともがく生き物だ。
異物を出す行為は、きっと魔力の放出なんだろう。
でも、全部の魔力を出し切るほど人間の体は出来ていない。
一滴でも魔力が残っていたら、放出が出来ず体の中で爆発する。
それが精神や体に異常が出来て、死んでいく……俺も何度も可笑しくなるローベルト家の人間を見てきた。
もし、適合者がいるとしたらきっと全部の魔力を出し切る事が出来るのかもしれない。
精神を保つ事も出来る…それは、人間と呼べる存在なのか?
俺のような化け物が生まれる、神は適合者を増やして俺に戦わせようとしている。
神の力を引き出して、俺がライムを殺すと思うのか?
俺が俺である限り、ライムを殺すわけがないだろ。
じゃあ、神の力が俺でなくなるとしたら…俺はいったい何になるんだ?
俺の知らない人格を思い出して、ざわざわと気持ちが揺らぐ。
まさか、あの人格って……いや、そんな筈はない……俺は俺でしかない筈だ。
自分が何なのか分からず、視界がぐにゃりと歪んだ。
イラついていた感情が抑えつけられて、もやもやが残るが落ち着いていく。
早くライムに会いたい、触れたい、安心したい。
腕を伸ばして、扉を開けると眩しくなって目を細める。
その瞬間、すぐに視界が暗くなって頭の上にあるものに触れた。
これは、なにかの布か?…なんでそんなものが頭の上にあるんだ?
布を外そうとしたら、耳元で声が聞こえて来た。
「ダメ、外したら…」
「……ライム?」
「今の姿、元に戻ってるから」
内緒話のようにライムの声が聞こえて、すぐに自分の状態を理解する。
今は元の俺に戻ったのか、あのまま歩いていたら気付かれていたな。
ライムがいなかったら、騒ぎになっていた…本当によかった。
布で髪と顔を隠して、ライムに手を握られて誘導される。
ライムが何もされなくて良かった、でも屋敷の中を自由にさせるなんてローベルト卿はライムを閉じ込める気はないのか?
いや、違う…そうじゃない…ライムの手を強く握りしめた。
ライムの足はだんだん早くなっていき、走り出した。
後ろから「ライム様が逃げたぞ!追え!!」という声が聞こえた。
後ろから何人か追いかけてきて、俺は壁に触れて凍らせた。
氷は下に移動して、地面を凍らせてから氷の壁を作る。
滑りやすくて転倒する者がいて、俺の氷をどうにかしようと薬を使って炎を出す者がいた。
俺の力は、借り物の力じゃどうする事も出来ない。
だから薬なんて飲んで対抗しようとするな、無駄死になるぞ。
そうは言っても、コイツらにとっての正義はローベルト卿で薬に頼るしか残されていないのだろう。
捕らえたローベルト家の兵士に言っても俺の声なんて届かない。
『天性の力を持って幸せに生きてきたお前に弱く生まれた俺達の気持ちが分かるわけない!』
俺にそう言って兵士は薬に呑まれて死んでいった。
俺だって、こんな力…いらない…重荷でしかない…特別扱いされるのは苦痛だ。
この力を持って生まれたから、人のために使う事を周りに言われ続けていた。
俺が自由に生きる事は、許される事じゃなかった。
愛する人は俺のせいで辛い目に遭う、こんな人生…幸せに見えるのか?
屋敷を出て、ライムを抱きしめてローベルト家の奴らが追いつけないほど高く移動した。
頭に被っていた布が外れて、自分の家の裏庭で降りた。
降りても、ライムを離したくなくてギュッと抱きしめた。
「お前がライム・ローベルトを殺せば人間なんかと関わりたくもない」
「…ふざけるな、俺は絶対に…ライムを、守る」
「お前は大勢の人間に愛されている、何もあの男でなくてもいいだろ」
「お前には一生分からないだろうな」
俺にはあの子じゃなければいけないんだ、愛を知らない存在には一生分からない。
代わりなんていない、俺の命そのものだ……だからライムは俺が必ず守る。
神が俺を見る目が変わった。
さっきとは違い、つまらない者を見るような目だ。
神を楽しませるつもりはない、何故ローベルト卿に協力しているのか分かった。
後は薬そのものがほしいが、神にお願いなんて絶対にしない。
素直に渡すような奴でない事くらい分かっている。
ならば、無理矢理にでも引っ張り出す必要がある。
手に力を込めると、神は逃げる事どころか何もしようとはしていなかった。
重い息を吐いて、手に雷をまとわせた。
暗い室内が明るくなってより周りが見えた。
さっきは神しか見えなかったが、これは…
神の周りの現状を見て、吐きそうになるのを堪えた。
床や壁にべったりとこびりついた血や、小さな鳥籠には体の一部がない精霊達が閉じ込められていた。
「つまらない男だな、やはりライム・ローベルトはお前にとっての害だ」
「俺の害はお前だ」
「その憎悪を何故元凶に向けない?私が精霊達をこうしているのは全てライム・ローベルトのせいだと言うのに」
何でもかんでもライムのせいにするな。
お前さえいなければ、ライムがあんな辛い目に遭わずに済んだんだ。
雷を鉄格子の向こう側にいる神に向かって放った。
しかし、神に通る前に弾かれた。
「無駄だ、この空間そのものが私の場所…お前の宮殿と同じようなものだ」
「なら、破壊も出来る筈だ!」
力を込めて鉄格子を殴り続けた。
金属の響く音は聞こえるが、鉄格子が壊れるどころか曲がる事もない。
俺の力不足だと言われたような気がして、腹が立つ。
でも、さっきまでの具合の悪さは引いていく。
ストレスが溜まっているから、発散されているわけではない。
何だろう、魔力を使うと俺の体調が不思議と安定していく。
「無駄だ無駄、お前には壊せない…私と同じ神にならない限り無駄だ」
「誰が神になるか、俺は俺のままでいい」
「そこは欲深な人間の方が扱いやすいな」
鉄格子を壊せないなら薬を回収する事は出来ない。
悔しいが、そろそろ俺自身も限界が近付いている。
力が安定したら、元の姿に戻りそうになる。
「カイウス、何故私が人間に力を与えていると思う?」
ライムを迎えに行く時間も考えて、さっさとこの場を離れようと思った。
神に背を向けると、俺にそんな事を言ってきた。
何故かって、それは自分でペラペラ喋っていただろ。
ローベルト卿を利用してライムを殺すためだろ。
その言葉を俺に言わせる気か。
怒りが湧き上がってきて、魔力で神を殴りつけそうになる。
でも、今油断して使うとすぐにでも元の姿に戻りそうになる。
そのまま神に振り返る事なく、歩いてこの場を離れようとした。
神の声が何処までも追いかけてきていて、鬱陶しい。
「精霊の力の適合者を探しているんだ、お前も張り合いがほしいと思わないか?」
「……」
「全てお前の神の力を引き出すための駒なんだよ」
精霊の力の適合者…その言葉が何処かで引っ掛かった。
人の体は異物を入れたら出そうともがく生き物だ。
異物を出す行為は、きっと魔力の放出なんだろう。
でも、全部の魔力を出し切るほど人間の体は出来ていない。
一滴でも魔力が残っていたら、放出が出来ず体の中で爆発する。
それが精神や体に異常が出来て、死んでいく……俺も何度も可笑しくなるローベルト家の人間を見てきた。
もし、適合者がいるとしたらきっと全部の魔力を出し切る事が出来るのかもしれない。
精神を保つ事も出来る…それは、人間と呼べる存在なのか?
俺のような化け物が生まれる、神は適合者を増やして俺に戦わせようとしている。
神の力を引き出して、俺がライムを殺すと思うのか?
俺が俺である限り、ライムを殺すわけがないだろ。
じゃあ、神の力が俺でなくなるとしたら…俺はいったい何になるんだ?
俺の知らない人格を思い出して、ざわざわと気持ちが揺らぐ。
まさか、あの人格って……いや、そんな筈はない……俺は俺でしかない筈だ。
自分が何なのか分からず、視界がぐにゃりと歪んだ。
イラついていた感情が抑えつけられて、もやもやが残るが落ち着いていく。
早くライムに会いたい、触れたい、安心したい。
腕を伸ばして、扉を開けると眩しくなって目を細める。
その瞬間、すぐに視界が暗くなって頭の上にあるものに触れた。
これは、なにかの布か?…なんでそんなものが頭の上にあるんだ?
布を外そうとしたら、耳元で声が聞こえて来た。
「ダメ、外したら…」
「……ライム?」
「今の姿、元に戻ってるから」
内緒話のようにライムの声が聞こえて、すぐに自分の状態を理解する。
今は元の俺に戻ったのか、あのまま歩いていたら気付かれていたな。
ライムがいなかったら、騒ぎになっていた…本当によかった。
布で髪と顔を隠して、ライムに手を握られて誘導される。
ライムが何もされなくて良かった、でも屋敷の中を自由にさせるなんてローベルト卿はライムを閉じ込める気はないのか?
いや、違う…そうじゃない…ライムの手を強く握りしめた。
ライムの足はだんだん早くなっていき、走り出した。
後ろから「ライム様が逃げたぞ!追え!!」という声が聞こえた。
後ろから何人か追いかけてきて、俺は壁に触れて凍らせた。
氷は下に移動して、地面を凍らせてから氷の壁を作る。
滑りやすくて転倒する者がいて、俺の氷をどうにかしようと薬を使って炎を出す者がいた。
俺の力は、借り物の力じゃどうする事も出来ない。
だから薬なんて飲んで対抗しようとするな、無駄死になるぞ。
そうは言っても、コイツらにとっての正義はローベルト卿で薬に頼るしか残されていないのだろう。
捕らえたローベルト家の兵士に言っても俺の声なんて届かない。
『天性の力を持って幸せに生きてきたお前に弱く生まれた俺達の気持ちが分かるわけない!』
俺にそう言って兵士は薬に呑まれて死んでいった。
俺だって、こんな力…いらない…重荷でしかない…特別扱いされるのは苦痛だ。
この力を持って生まれたから、人のために使う事を周りに言われ続けていた。
俺が自由に生きる事は、許される事じゃなかった。
愛する人は俺のせいで辛い目に遭う、こんな人生…幸せに見えるのか?
屋敷を出て、ライムを抱きしめてローベルト家の奴らが追いつけないほど高く移動した。
頭に被っていた布が外れて、自分の家の裏庭で降りた。
降りても、ライムを離したくなくてギュッと抱きしめた。
87
お気に入りに追加
8,081
あなたにおすすめの小説
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました
白兪
BL
前世で妹がプレイしていた乙女ゲーム「君とユニバース」に転生してしまったアース。
攻略対象者ってことはイケメンだし将来も安泰じゃん!と喜ぶが、アースは人気最下位キャラ。あんまりパッとするところがないアースだが、気がついたら王太子の婚約者になっていた…。
なんとか友達に戻ろうとする主人公と離そうとしない激甘王太子の攻防はいかに!?
ゆっくり書き進めていこうと思います。拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。
嫌われてたはずなのに本読んでたらなんか美形伴侶に溺愛されてます 執着の騎士団長と言語オタクの俺
野良猫のらん
BL
「本を読むのに忙しいから」
自分の伴侶フランソワの言葉を聞いた騎士団長エルムートは己の耳を疑った。
伴侶は着飾ることにしか興味のない上っ面だけの人間だったはずだからだ。
彼は顔を合わせる度にあのアクセサリーが欲しいだのあの毛皮が欲しいだの言ってくる。
だから、嫌味に到底読めないだろう古代語の書物を贈ったのだ。
それが本を読むのに忙しいだと?
愛のない結婚だったはずなのに、突如として変貌したフランソワにエルムートはだんだんと惹かれていく。
まさかフランソワが言語オタクとしての前世の記憶に目覚めているとも知らずに。
※R-18シーンの含まれる話には*マークを付けます。
書籍化決定! 2023/2/13刊行予定!
役目を終えた悪役令息は、第二の人生で呪われた冷徹公爵に見初められました
綺沙きさき(きさきさき)
BL
旧題:悪役令息の役目も終わったので第二の人生、歩ませていただきます 〜一年だけの契約結婚のはずがなぜか公爵様に溺愛されています〜
【元・悪役令息の溺愛セカンドライフ物語】
*真面目で紳士的だが少し天然気味のスパダリ系公爵✕元・悪役令息
「ダリル・コッド、君との婚約はこの場をもって破棄する!」
婚約者のアルフレッドの言葉に、ダリルは俯き、震える拳を握りしめた。
(……や、やっと、これで悪役令息の役目から開放される!)
悪役令息、ダリル・コッドは知っている。
この世界が、妹の書いたBL小説の世界だと……――。
ダリルには前世の記憶があり、自分がBL小説『薔薇色の君』に登場する悪役令息だということも理解している。
最初は悪役令息の言動に抵抗があり、穏便に婚約破棄の流れに持っていけないか奮闘していたダリルだが、物語と違った行動をする度に過去に飛ばされやり直しを強いられてしまう。
そのやり直しで弟を巻き込んでしまい彼を死なせてしまったダリルは、心を鬼にして悪役令息の役目をやり通すことを決めた。
そしてついに、婚約者のアルフレッドから婚約破棄を言い渡された……――。
(もうこれからは小説の展開なんか気にしないで自由に生きれるんだ……!)
学園追放&勘当され、晴れて自由の身となったダリルは、高額な給金につられ、呪われていると噂されるハウエル公爵家の使用人として働き始める。
そこで、顔の痣のせいで心を閉ざすハウエル家令息のカイルに気に入られ、さらには父親――ハウエル公爵家現当主であるカーティスと再婚してほしいとせがまれ、一年だけの契約結婚をすることになったのだが……――
元・悪役令息が第二の人生で公爵様に溺愛されるお話です。
【完結】TL小説の悪役令息は死にたくないので不憫系当て馬の義兄を今日もヨイショします
七夜かなた
BL
前世はブラック企業に過労死するまで働かされていた一宮沙織は、読んでいたTL小説「放蕩貴族は月の乙女を愛して止まない」の悪役令息ギャレット=モヒナートに転生してしまった。
よりによってヒロインでもなく、ヒロインを虐め、彼女に惚れているギャレットの義兄ジュストに殺されてしまう悪役令息に転生するなんて。
お金持ちの息子に生まれ変わったのはいいけど、モブでもいいから長生きしたい
最後にはギャレットを殺した罪に問われ、牢獄で死んでしまう。
小説の中では当て馬で不憫だったジュスト。
当て馬はどうしようもなくても、不憫さは何とか出来ないか。
小説を読んでいて、ハッピーエンドの主人公たちの影で不幸になった彼のことが気になっていた。
それならヒロインを虐めず、義兄を褒め称え、悪意がないことを証明すればいいのでは?
そして義兄を慕う義弟を演じるうちに、彼の自分に向ける視線が何だか熱っぽくなってきた。
ゆるっとした世界観です。
身体的接触はありますが、濡れ場は濃厚にはならない筈…
タイトルもしかしたら途中で変更するかも
イラストは紺田様に有償で依頼しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる