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過去編・カイトの話
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自分の部屋に戻って、壁に寄りかかりズルズルと座り込んだ。
壁を殴りつけて、自分の弱さにイラついた。
この国の王子達は何らかの特技を持っていた、生まれながらの才能だ。
それは頭の良さや身体能力などいろいろあった。
でも、俺には何の才能もなく…バカにされて…今でもそれは変わらない。
それでも、他の兄弟達が味わった事がない出来事があった。
変な奴らがいて、死にそうになりながら…俺はここに生きている。
アイツらといたら、俺の生まれた理由が見つかると思った。
でも、その結果俺はなにが出来たんだ?
あんな俺より弱そうなガキが俺より前に出て、猫を助けようとしていた。
俺は怯えて何も出来なかったのに……
戦えないわけではない、一応剣の訓練はしていた。
でも、戦えるか…と言われたらそんな勇気はない。
カイウスをライバル視しているのに、俺は…アイツのようには一生なれないと感じている。
だから、余計に俺はカイウスの事が嫌いなんだ……アイツに憧れている自分自身も…
恐怖で喉が渇いてしまい、誰か使用人に水を頼もうと思って部屋を出た。
王族には専属の使用人が何人かいる、その使用人は自分の主の命令しか聞かないから俺は自分の使用人を探す。
服の色で見分けるから、簡単だが俺の使用人は兄弟の中で一番少ない。
そりゃあそうだ、ぷらぷら出歩くだけの臆病者に仕える使用人なんていない。
俺の使用人は一人だけだ、昔からよくしてもらっているから信用出来る。
使用人を見つけて、声を掛けようと近付いた。
でも、声は掛けられなかった。
「またあのバカ王子問題起こしたのか?」
「いつもの夜遊びだろ、毎回カイ様に送ってもらってるの見た」
「お前も大変だな、あの王子のお守りは」
「誰もやりたがらないからな、そのおかげでたんまり金はもらってるから」
俺はアイツらに気付かれる前にその場を離れた。
バカ王子だって密かに言われてるのは分かってる、でも自分の唯一の使用人にまで言われるのはキツいものがある。
全部自分のせいだって分かってる、俺が王子としての仕事から逃げてきたんだ。
遊び歩いて、ダメ王子だと言われても仕方ないんだ。
だからこそ、今のままでいいのか…アイツらを思って感じた。
誰かを守るために、行動出来るように…俺も…
いつの間にか外に出ていた、カイウスにああ言われたけど俺は…
カイウスの家の近くまで歩き出していた、ここならカイウスに確実に会えると…そう思って…
「カイト様、こんなところで何してるんですか?」
「うおっ!カイウス!!いつの間に後ろに?」
「見回り中です、カイト様は……またお出かけですか、ほどほどにしといて下さい」
そう言ったカイウスはさっさと行こうと歩き出していた。
さっき会ったばかりなのに、冷めてんな…あんな事件に巻き込んでおいて…
いや、でも俺は今から自分から巻き込まれに行くんだ…カイウスのせいばかりに出来ない。
今まで誰かのせいにしたり、誰かに押し付けていたんだ…そのせいで俺は家族からも使用人からも信頼を失った。
そこを変えないと、俺が本当に変わったとは言えないんだ。
グッと拳を握りしめて、カイウスの腕を掴んで引き止めた。
カイウスは驚いて、俺の方を向いていた。
「…カイト様?」
「俺も、やっぱり行く…連れて行ってくれ!」
「連れて行く?何処にですか?」
「だからあの悪霊と一緒に…」
「カイト様、いったい何の話をしているんですか?」
何ふざけてるんだと、腹が立ったが…カイウスは本当に知らない様子で首を傾げていた。
あれ?…そういえば、俺が会ったカイウスは…もう少し大人っぽかったような…微々たる変化だが、至近距離で見ると分かる。
鼻先がくっつきそうなほど間近でカイウスを見つめると、カイウスの眉がみるみると寄っていた。
俺も男とこうしてるのは不本意だからすぐに離れた。
もし、このカイウスの言葉が本当だとしたら…本当に知らないカイウスだとしたら…
俺が一緒にいたカイウスは、いったい何者だったんだ?
「まだ、仕事がありますので…よろしいですか?」
「…あ、あぁ…悪かった」
カイウスは見回りの仕事に戻り、俺はそのまま家に帰った。
せっかく外に出たからと、女の子の店に行く気にもなれなかった。
俺は夢を見ていたのか?いや、違う…あれは夢なんかじゃない…俺は見たんだ…あの二人を…
必ず見つけてやる、俺を巻き込んだんだ…最後まで付き合ってやる!
とはいえ、何処に現れるのか全く分からない。
あの悪霊はよく湖にいるな、それともあの猫を助け出すならカイウスの家か。
連れていかれたのに、まだカイウスの家にいるのか?
普段使わない頭をフル回転させたから、少し頭が痛くなった。
まぁ、街をウロウロしていれば会えるだろう。
部屋に戻り、ずっと使っていなかった剣をクローゼットから取り出す。
いい素材で作った特注品だから、長年使ってなくても錆び付いたりはしない。
鞘を少し抜くと、傷一つない綺麗な刃が見えた。
情けない俺の顔を映して、刃をしまった。
決めただろ、俺はやるって…今さら怯えるとかかっこ悪いだろ。
相手は人間じゃない…ただの人間の俺は勝てるのか?
カイウスでさえ、何も出来なかったのに…
俺に…出来るのか?刃を向ける事が…
……俺に…
壁を殴りつけて、自分の弱さにイラついた。
この国の王子達は何らかの特技を持っていた、生まれながらの才能だ。
それは頭の良さや身体能力などいろいろあった。
でも、俺には何の才能もなく…バカにされて…今でもそれは変わらない。
それでも、他の兄弟達が味わった事がない出来事があった。
変な奴らがいて、死にそうになりながら…俺はここに生きている。
アイツらといたら、俺の生まれた理由が見つかると思った。
でも、その結果俺はなにが出来たんだ?
あんな俺より弱そうなガキが俺より前に出て、猫を助けようとしていた。
俺は怯えて何も出来なかったのに……
戦えないわけではない、一応剣の訓練はしていた。
でも、戦えるか…と言われたらそんな勇気はない。
カイウスをライバル視しているのに、俺は…アイツのようには一生なれないと感じている。
だから、余計に俺はカイウスの事が嫌いなんだ……アイツに憧れている自分自身も…
恐怖で喉が渇いてしまい、誰か使用人に水を頼もうと思って部屋を出た。
王族には専属の使用人が何人かいる、その使用人は自分の主の命令しか聞かないから俺は自分の使用人を探す。
服の色で見分けるから、簡単だが俺の使用人は兄弟の中で一番少ない。
そりゃあそうだ、ぷらぷら出歩くだけの臆病者に仕える使用人なんていない。
俺の使用人は一人だけだ、昔からよくしてもらっているから信用出来る。
使用人を見つけて、声を掛けようと近付いた。
でも、声は掛けられなかった。
「またあのバカ王子問題起こしたのか?」
「いつもの夜遊びだろ、毎回カイ様に送ってもらってるの見た」
「お前も大変だな、あの王子のお守りは」
「誰もやりたがらないからな、そのおかげでたんまり金はもらってるから」
俺はアイツらに気付かれる前にその場を離れた。
バカ王子だって密かに言われてるのは分かってる、でも自分の唯一の使用人にまで言われるのはキツいものがある。
全部自分のせいだって分かってる、俺が王子としての仕事から逃げてきたんだ。
遊び歩いて、ダメ王子だと言われても仕方ないんだ。
だからこそ、今のままでいいのか…アイツらを思って感じた。
誰かを守るために、行動出来るように…俺も…
いつの間にか外に出ていた、カイウスにああ言われたけど俺は…
カイウスの家の近くまで歩き出していた、ここならカイウスに確実に会えると…そう思って…
「カイト様、こんなところで何してるんですか?」
「うおっ!カイウス!!いつの間に後ろに?」
「見回り中です、カイト様は……またお出かけですか、ほどほどにしといて下さい」
そう言ったカイウスはさっさと行こうと歩き出していた。
さっき会ったばかりなのに、冷めてんな…あんな事件に巻き込んでおいて…
いや、でも俺は今から自分から巻き込まれに行くんだ…カイウスのせいばかりに出来ない。
今まで誰かのせいにしたり、誰かに押し付けていたんだ…そのせいで俺は家族からも使用人からも信頼を失った。
そこを変えないと、俺が本当に変わったとは言えないんだ。
グッと拳を握りしめて、カイウスの腕を掴んで引き止めた。
カイウスは驚いて、俺の方を向いていた。
「…カイト様?」
「俺も、やっぱり行く…連れて行ってくれ!」
「連れて行く?何処にですか?」
「だからあの悪霊と一緒に…」
「カイト様、いったい何の話をしているんですか?」
何ふざけてるんだと、腹が立ったが…カイウスは本当に知らない様子で首を傾げていた。
あれ?…そういえば、俺が会ったカイウスは…もう少し大人っぽかったような…微々たる変化だが、至近距離で見ると分かる。
鼻先がくっつきそうなほど間近でカイウスを見つめると、カイウスの眉がみるみると寄っていた。
俺も男とこうしてるのは不本意だからすぐに離れた。
もし、このカイウスの言葉が本当だとしたら…本当に知らないカイウスだとしたら…
俺が一緒にいたカイウスは、いったい何者だったんだ?
「まだ、仕事がありますので…よろしいですか?」
「…あ、あぁ…悪かった」
カイウスは見回りの仕事に戻り、俺はそのまま家に帰った。
せっかく外に出たからと、女の子の店に行く気にもなれなかった。
俺は夢を見ていたのか?いや、違う…あれは夢なんかじゃない…俺は見たんだ…あの二人を…
必ず見つけてやる、俺を巻き込んだんだ…最後まで付き合ってやる!
とはいえ、何処に現れるのか全く分からない。
あの悪霊はよく湖にいるな、それともあの猫を助け出すならカイウスの家か。
連れていかれたのに、まだカイウスの家にいるのか?
普段使わない頭をフル回転させたから、少し頭が痛くなった。
まぁ、街をウロウロしていれば会えるだろう。
部屋に戻り、ずっと使っていなかった剣をクローゼットから取り出す。
いい素材で作った特注品だから、長年使ってなくても錆び付いたりはしない。
鞘を少し抜くと、傷一つない綺麗な刃が見えた。
情けない俺の顔を映して、刃をしまった。
決めただろ、俺はやるって…今さら怯えるとかかっこ悪いだろ。
相手は人間じゃない…ただの人間の俺は勝てるのか?
カイウスでさえ、何も出来なかったのに…
俺に…出来るのか?刃を向ける事が…
……俺に…
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