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過去編・邪魔者
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カイウスはローズにマリーの時と同じように「忘れ物だ」と言っていた。
別の理由を言うと、ローズとマリーが会話した時に話が噛み合わなくなる。
そして、この時のカイウスの耳に入れば不審者として騒がしくなってしまう。
過去の世界で、騒ぎは起こしたくはない。
でも、ローズの場合…マリーのように放ってはくれない。
「私もお供します」
「忘れ物を取りに来ただけだ、必要ない」
「ですが、カイ様のお世話をするのは私の仕事なので……たとえ些細な事でも」
ローズはカイウスを疑っている様子はないから、これがきっといつも通りなのだろう。
カイウスは眉を寄せて不機嫌そうにしていた。
ローズがいたら、リーズナと会話が出来ない。
猫と話す痛い奴だとは思われたくないし、そもそも会話内容がアウトだ。
俺達が聞きたい事はカイウスが目を覚ます方法だ。
それをローズに聞かれたら、このカイウスが偽物だと思われてしまう。
そしてやっぱり、騒がれる。
リーズナに話を聞くくらいなら、俺一人でもなんとかなる。
この時のリーズナとは、多分会話もした事ないんだろうけど…リーズナなら状況を分かってくれる。
カイウスと離れるのは危ないが、距離は目と鼻の先だ…このくらいの距離なら大丈夫だ。
「カイウス、俺がリーズナに会いに行くよ」
カイウスはローズを何度も拒否しても「仕事なので」とだけ言われる。
ローズのその言葉にカイウスはあまり強くは出れないようだ。
人の仕事を奪う事はしたくないし、今変な行動を取るとローズが疑うだろう。
ならば今自由に動ける俺がやるのが一番いい。
カイウスは俺の方を一瞬だけ見て、手を握った。
温かな手の温もり、少し手が光ったような気がしたが…すぐに光は消えてしまい気のせいだったのかと手のひらを見つめた。
カイウスの目線はもうローズに向いていた。
俺は手を握りしめて、カイウスの部屋に向かって走った。
そして、カイウスの部屋の前で足を止めてドアノブを掴んだ。
なんだろう、とても嫌な気分になる。
ここはカイウスの部屋なのに、とても不安になる。
カイウスに知らせに戻った方がいいのではないか?
ドアノブから手を離して、ドアに背を向けようとした。
するとドアの向こうから小さな物置と声が聞こえた。
「おいっ!!何するんだカイウス!!」
カイウス……その名前に反応してドアを開けた。
この世界のカイウスに見られてしまう事とか、この時は考えられなかった。
誰かの叫び声に、カイウスになにかあったのではないのか…それで頭がいっぱいだった。
そして目の前の光景を見て、俺は驚いて頭が真っ白になった。
あの叫び声はカイトだったようで、部屋の窓が全開に開いていた。
きっとまたよじ登って、今度はカイウスの部屋にたどり着いたようだ。
それまでは、さっきのカイトを見て想像出来る。
俺達がカイトと会話している時に、この世界のカイウスが本当に忘れ物を取りに来た場合もあるから、カイウスが自分の部屋にいるのは不思議ではない。
でも、この状況は理解出来ない。
カイウスは神の子だが、社会的地位では王族を守る騎士だ。
なのに、何故カイウスはカイトに剣を向けているんだ?
カイトは足に力が入らないのか、床に座って震えていた。
「カイウス…?」
カイトがなにかしたのか?でも、それでもカイウスが何の罪もない人に刃を向ける事なんてない筈だ。
俺がカイウスを呼ぶと、カイウスが俺の方を見た。
髪の色は青いが、瞳は力が暴走した時の真紅だった。
なんでだろう、いつも見ているカイウスなのに…怖くて震えが止まらない。
この人は、本当に俺が知っているカイウス?
カイウスの表情は全く変わらない、無表情だった。
まるで別人のように感じて、カイウスが俺に近付いてきた。
もう一度カイウス…と言おうとした時、カイウスが腕を振り上げていた。
なんで、どうして…と思う暇なく、俺は何も出来ずただ見つめている事しか出来なかった。
俺の頭まで剣が届かず、光のバリアに俺の身体が包まれていた。
カイウスは力を込めて、バリアを破壊しようと力を込めているがヒビ一つ付ける事が出来ずにいた。
「……なんで、どうして…カイウス」
「………」
カイウスは全く答えない、それが更に不安と恐怖に襲われる。
何度も何度も俺に向かって剣を振り下ろしている。
これは、俺を殺そうとしている動きだ。
神は俺はカイウスに殺されると言っていた、まさか…俺が死んだのって…
力任せに剣を振り下ろしていたからか、剣が先に折れて刃が床に落ちた。
これで大丈夫だと安堵したのもつかの間、今度は自分の手でバリアを破ろうと手を伸ばしていた。
カイウスの手がバチバチと電気が走り、煙が立っていた。
「カイウスやめて!!このままだと怪我するから!!」
「……」
「なんで、なんで…何も話してくれないんだよっ」
カイウスは俺を見ている筈なのに、見ていないように感じた。
カイウスの爪が伸びて、バリアをぶち破ろうとしていた。
電気の力がだんだん弱まっていく。
カイウスに触れられて、少しだけだけどカイウスの加護を与えられた。
それももう、限界が近付いていた。
とうとうバリアにヒビが入ってしまった。
ボロボロと崩れてきて、パリンとガラスが割れるような音が聞こえてバリアが壊れた。
カイウスの鋭い爪が俺に向かって、近付いてきた。
もう、無理だ……カイウスにだったら殺されてもいいと思ったが、彼が本物のカイウスだった場合だ。
本当に君は、カイウスなのか?
カイウスの爪は、俺に届く事なく…寸前で止められていた。
俺の後ろから手が伸びて来て、カイウスの腕を掴んでいた。
別の理由を言うと、ローズとマリーが会話した時に話が噛み合わなくなる。
そして、この時のカイウスの耳に入れば不審者として騒がしくなってしまう。
過去の世界で、騒ぎは起こしたくはない。
でも、ローズの場合…マリーのように放ってはくれない。
「私もお供します」
「忘れ物を取りに来ただけだ、必要ない」
「ですが、カイ様のお世話をするのは私の仕事なので……たとえ些細な事でも」
ローズはカイウスを疑っている様子はないから、これがきっといつも通りなのだろう。
カイウスは眉を寄せて不機嫌そうにしていた。
ローズがいたら、リーズナと会話が出来ない。
猫と話す痛い奴だとは思われたくないし、そもそも会話内容がアウトだ。
俺達が聞きたい事はカイウスが目を覚ます方法だ。
それをローズに聞かれたら、このカイウスが偽物だと思われてしまう。
そしてやっぱり、騒がれる。
リーズナに話を聞くくらいなら、俺一人でもなんとかなる。
この時のリーズナとは、多分会話もした事ないんだろうけど…リーズナなら状況を分かってくれる。
カイウスと離れるのは危ないが、距離は目と鼻の先だ…このくらいの距離なら大丈夫だ。
「カイウス、俺がリーズナに会いに行くよ」
カイウスはローズを何度も拒否しても「仕事なので」とだけ言われる。
ローズのその言葉にカイウスはあまり強くは出れないようだ。
人の仕事を奪う事はしたくないし、今変な行動を取るとローズが疑うだろう。
ならば今自由に動ける俺がやるのが一番いい。
カイウスは俺の方を一瞬だけ見て、手を握った。
温かな手の温もり、少し手が光ったような気がしたが…すぐに光は消えてしまい気のせいだったのかと手のひらを見つめた。
カイウスの目線はもうローズに向いていた。
俺は手を握りしめて、カイウスの部屋に向かって走った。
そして、カイウスの部屋の前で足を止めてドアノブを掴んだ。
なんだろう、とても嫌な気分になる。
ここはカイウスの部屋なのに、とても不安になる。
カイウスに知らせに戻った方がいいのではないか?
ドアノブから手を離して、ドアに背を向けようとした。
するとドアの向こうから小さな物置と声が聞こえた。
「おいっ!!何するんだカイウス!!」
カイウス……その名前に反応してドアを開けた。
この世界のカイウスに見られてしまう事とか、この時は考えられなかった。
誰かの叫び声に、カイウスになにかあったのではないのか…それで頭がいっぱいだった。
そして目の前の光景を見て、俺は驚いて頭が真っ白になった。
あの叫び声はカイトだったようで、部屋の窓が全開に開いていた。
きっとまたよじ登って、今度はカイウスの部屋にたどり着いたようだ。
それまでは、さっきのカイトを見て想像出来る。
俺達がカイトと会話している時に、この世界のカイウスが本当に忘れ物を取りに来た場合もあるから、カイウスが自分の部屋にいるのは不思議ではない。
でも、この状況は理解出来ない。
カイウスは神の子だが、社会的地位では王族を守る騎士だ。
なのに、何故カイウスはカイトに剣を向けているんだ?
カイトは足に力が入らないのか、床に座って震えていた。
「カイウス…?」
カイトがなにかしたのか?でも、それでもカイウスが何の罪もない人に刃を向ける事なんてない筈だ。
俺がカイウスを呼ぶと、カイウスが俺の方を見た。
髪の色は青いが、瞳は力が暴走した時の真紅だった。
なんでだろう、いつも見ているカイウスなのに…怖くて震えが止まらない。
この人は、本当に俺が知っているカイウス?
カイウスの表情は全く変わらない、無表情だった。
まるで別人のように感じて、カイウスが俺に近付いてきた。
もう一度カイウス…と言おうとした時、カイウスが腕を振り上げていた。
なんで、どうして…と思う暇なく、俺は何も出来ずただ見つめている事しか出来なかった。
俺の頭まで剣が届かず、光のバリアに俺の身体が包まれていた。
カイウスは力を込めて、バリアを破壊しようと力を込めているがヒビ一つ付ける事が出来ずにいた。
「……なんで、どうして…カイウス」
「………」
カイウスは全く答えない、それが更に不安と恐怖に襲われる。
何度も何度も俺に向かって剣を振り下ろしている。
これは、俺を殺そうとしている動きだ。
神は俺はカイウスに殺されると言っていた、まさか…俺が死んだのって…
力任せに剣を振り下ろしていたからか、剣が先に折れて刃が床に落ちた。
これで大丈夫だと安堵したのもつかの間、今度は自分の手でバリアを破ろうと手を伸ばしていた。
カイウスの手がバチバチと電気が走り、煙が立っていた。
「カイウスやめて!!このままだと怪我するから!!」
「……」
「なんで、なんで…何も話してくれないんだよっ」
カイウスは俺を見ている筈なのに、見ていないように感じた。
カイウスの爪が伸びて、バリアをぶち破ろうとしていた。
電気の力がだんだん弱まっていく。
カイウスに触れられて、少しだけだけどカイウスの加護を与えられた。
それももう、限界が近付いていた。
とうとうバリアにヒビが入ってしまった。
ボロボロと崩れてきて、パリンとガラスが割れるような音が聞こえてバリアが壊れた。
カイウスの鋭い爪が俺に向かって、近付いてきた。
もう、無理だ……カイウスにだったら殺されてもいいと思ったが、彼が本物のカイウスだった場合だ。
本当に君は、カイウスなのか?
カイウスの爪は、俺に届く事なく…寸前で止められていた。
俺の後ろから手が伸びて来て、カイウスの腕を掴んでいた。
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