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カイウスの話20

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犯人はミロと呼ばれていた男だ、確か学校にいた奴だ。
ライムは学校を辞めてしまったのに、アイツは普通に通ってるのが腹立たしい。

誰を殺すのか、よく分からず…リーズナに後を追わせたかったが気絶しているようで無理だった。
なら俺が探し出そうと思っていても、広い街を走り回っても二人はいなくて見つけた頃には死体が一人だけだった。

翌日目撃者がやって来て、俺が後輩から譲ってもらい殺人事件のしていたから似顔絵に立ち会った。

誰が犯人か分かってる、そして似ていない似顔絵を描いていた。
その姿を見て、ミロというよりライムの姿に思えた……思いたくないが…

そうか、ライムに濡れ衣を着せたんだとそこで分かり俺はすぐに捕まえると目撃者に約束した。
証拠を残さないローベルト一族が目撃者を生かすなんて不思議に思ったが、必ず証拠を消しに来るだろう。

目撃者にも護衛を付けて、俺は街に出た。

現場を調べて、騎士団長の仕事でもある不可思議な事件の調査も同時にやった。
その間、リーズナにも神経を集中させてライムを見守りつつミロの行動に注意を払った。

「………」

「うわっ!どうしたんですか、だんちょ…って、血!!怪我してるじゃないですか!?」

休憩中の時、他の騎士達と食事を取っている時も神経をリーズナに向けていた。
持っていた、ガラスのコップが割れて破片が突き刺さっていた。

それをジッと見つめて、破片を一つ一つ抜く。

クマに悪い事をしてしまった、弁償しよう。

「医務室に行ってくる」と騎士達に言い、食堂を後にした。
この姿をアイツらに見られるわけにはいかない。

人がいない物陰に隠れて、息をゆっくり吸って吐き出した。
切れていた手の傷はもうとっくに治っていた。

力が全身に湧き上がってきて、息が乱れる。
今の俺はあの悪魔の姿になっているだろう。

ライムが、殴られて…血を流していた。

俺の前でライムを傷付けて、血を流させるなんて……

許される行為ではない、簡単に殺してやるものか……ライムが与えられた苦痛は死ぬよりも辛いものだ。
お前ごときに、俺のライムを好きに出来ると思うなよ。

俺は次の日も作戦に出かける事を知った。

だから俺は目撃者の周りを見張って、他の騎士達を別のところに見回りさせた。
後輩達には刺激が少し強いだろうからな。

目撃者は二人いた、医者と酒場の店主だ。

医者の後に酒場に聞き込みをしたら、不自然に挙動不審な店主を見かけた。
怪しく思い、詰め寄るとすぐに白状した。

どうやらあの夜の事件を目撃していて、ローベルト卿に交渉して口止め料を取ろうとしていたそうだ。

あのローベルト卿が素直に金を出す男だと思っているのか?おめでたい頭だな。

俺が掴めるほどの情報だ、ローベルト一族が掴んでいないとは思えない。
酒場の店主を守るついでに待ち伏せすれば、必ずやって来るだろう。

ミロはローベルトの兵士達に薬を使われていた…もしかしたら攻撃が効かなかったあの兵士も薬を使ったのか?

筋肉強化剤か…それでも刃が当たらないなんて事あるのか?
ローベルトが使っている薬だ、危ない薬なのは確かだ。

まさか、ライムには使ってないよな?…もしライムになにかしたら、生きている事を後悔させてやる。

「それでは、いってきます!」

「あぁ、頼んだ」

騎士達は自分の仕事に向かい、俺はアイツが来るまで待っている。

ちなみに今の俺は食堂の時から戻っていない、ライムが居ないからな。
それでいい、この姿の方が普段より力が出せる。

ただ、黒髪だと不審がるだろうと髪色を変えた。
今までやった事はなかったが、他人ならまだしも…自分に変身するのなんて簡単だ。

髪と目と口調を気を付けていれば、疑う奴は一人もいなかった。

そして、一人になった時…すぐにアイツは現れた。

俺がいるから酒場に入れないから、まずは俺を退かす作戦か…何をしてもお前の作戦は上手くいかないというのに…

ライムが犯人だと嘘を付くコイツの喉を使い物に出来ないほどボロボロにしてやりたい。
 
でも、ここで魔法を使うと周りの被害が大きいだろう。
ライムが望まない死は俺も望みはしない。
他の誰になんて思われても構わないが、ライムに嫌われる事だけは耐えられない。

もっと人気がない場所がいい…自分で近道とか言って誘導するか。

そう思っていたが、コイツから人気がない場所まで俺を案内してくれて密かに微笑む。
自分がこれから何をされるのか分かっていないようだ。

あまり着いていくと、今度はライムと距離が近くなる。
ライムとはコイツを始末してからゆっくりと会うつもりだ。
ライムに俺の魔法が効かないとはいえ、ライムにコイツの死に際を見せたくない。

綺麗な子に汚い物を見せたくないと思うのは当然だ。

俺は灯りがほとんどないこの道に決めた、このくらい暗ければライムがもし見つけても分かりづらいだろう。

ミロが騒がないように口にいらなくなったハンカチを詰め込んだ。
そしてすぐに利き腕であろう腕をへし折った。
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