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カイウスの話19

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リーズナを通してライムをずっと見ていた。

ライムがされた事を見ているしか出来ない自分が腹立たしかった。
そして、そんなライムを傷付けたローベルト一族に憎しみが増していく。

リーズナだけでは、ローベルト一族と戦うには無理だろう。
精霊の化身だからといって、俺と同じ力が使えるわけではない。

リーズナの本体は猫の姿のように自由自在に姿を現せるものではない。
それにリーズナの本体でも、ローベルト一族の家で暴れて大勢兵士が来たらリーズナでも勝てないだろう。
それにその後、残されたライムを思うと下手な事はさせられない。

ライムを連れ去ることを考えた方がいいが、またアイツに邪魔されるかもしれない。

俺の幸せがどうの言うなら、ライムと居させてくれ。
それだけで俺は幸せなんだから…

この街では珍しくない殺人事件が起きて、目撃者も騎士団に駆け込んできた。
本来なら、そういうのは後輩騎士に任せて俺は未解決の不可思議な事件を追う事になっている。

でも俺はこの仕事を引き受けた、犯人を知っているからだ。

先日の騎士団や王族が集まる会議で決まった。

ローベルト一族とそれに関わる者達は反逆者として排除せよ。

証拠を残さないローベルト一族だ、証拠を探していたら新たな被害者が生まれる。
それにこの前、ローベルト一族の兵士を見た時驚いた。

元の顔は知らないが、何が可笑しいのか笑いながら人を何度も何度も刺していた。
鎧にローベルト一族の紋様がありすぐに気付いた。

ローベルト一族が逃げ遅れるなんて珍しいと思ってすぐに剣を抜いた。
この時は会議の前だったが、殺人現場だったから殺そうと剣を抜いた。

自分は強いだとか最強だとか喚いている男に向かって剣を振り下ろした。

そんな安物の鎧じゃ、防げるものも防げないだろう。

思った通り、鎧は簡単にヒビが割れて身体に食い込んだ。
しかし、身体には擦り傷一つ付ける事は出来なかった。

驚いて、兵士から離れると不気味に笑った兵士が近付いてきた。
なんだあれは、ローベルト一族はいったい何をしているんだ?

炎をまとった俺の剣で兵士は笑いながら焼け死んでいった。

確かに力を入れた筈だったのに、鎧より身体が硬いなんて事あるのか?

とりあえず帝王に提出する報告書にローベルトの兵士の事を書いた。
なにか、ライムを助け出せるきっかけが出来ればいいと思いながら…

そして俺の報告書を見た帝王は騎士団と王族達を開いて会議を始めた。

ローベルト一族はなにかをしている、注意すると同時に反逆者として指名手配された。

昔から人体実験をしていると噂のローベルト卿だが、俺が見た兵士が殺した相手は王族の一人だった。

この帝国を支える王族の一人を殺したとなれば反逆者だと思われても仕方ない。

俺はローベルト一族の壊滅に熱を上げている人達にとある提案をした。

罪を犯さずローベルト一族を抜けた元ローベルトの関係者は殺さないと…
名前は出さないが、ライムの事だった。

会議室はザワザワと騒がしくなった、無理もない。

「そんな者がいるのか?」とか「その者が第二のローベルト卿になったらどうする?」とか言っていた。

俺は大丈夫だと言った、ローベルト一族にいて罪を犯していない者が第二のローベルト卿になる事はないだろう。
もし第二になるほどのローベルト卿の信者であれば何かしらの罪を犯す筈だ。

それにライムは俺が一番よく分かっている、罪を犯すような子ではない。

「まだ不安であるなら、俺が責任を持って面倒を見ます」

そう言うと、俺の本気が伝わったのか会議室にいる何人かは頷いてくれた。
残りの人達も渋々だが、俺の考えに賛成してくれた。

ローベルト一族の中で罪を犯していないのはライムくらいだろうし、これでライムを連れ去っても一緒にいる理由が出来る。

そして、リーズナを通してライムを見てみるとライムは濡れ衣を着せられていた。
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