87 / 299
不可思議な人
しおりを挟む
「あぁ、君か」
「……え?」
俺はカイウスの腕の中で眠っていた筈だ。
それなのに、ここは何処だ?
精霊の宮殿でも、ローベルトの家でもない。
そもそも部屋と呼べるか分からない真っ白な空間だった。
そこに二つ椅子があり、俺は座っていた。
向かいに座る人は、足を椅子に掛けて退屈そうに座っていた。
真っ白な着物を着ていて、髪も真っ白で風もないのに腰まで長い髪が揺れていた。
一瞬女の人かと思ったが、声は低い。
「あの、ここは?」
「ここが何処だって?自分に聞いてみな」
分からないから聞いてるんだけど…本当にここは何処なんだ?
周りを見渡すと誰もいない、カイウスがいないし知らない人と二人きりなんて耐えられない。
椅子から立ち上がると、別の方向を見ていた目の前の人は俺の方を向いた。
引き止める気があるのかないのか分からないが、椅子から立ち上がりはしないが「何処に行く?」と聞かれた。
何処に向かってるのかは分からないが、とりあえず何処か歩いていれば元に戻れるかもしれない。
帰る事だけを言って、背を向けて歩き出した……やはり追いかける気はないようだ。
少し歩いて、足を止めた。
「あ、あれ?」
「おかえり」
確かにまっすぐ歩いた筈なのに、また同じところに帰ってきてしまった。
可笑しそうに笑うその人を置いて、再びまっすぐ歩き出した。
何度試してみても、最終的には元の場所に戻ってしまう。
もしかしなくても、ループ……してるよな。
椅子に座り、目の前の人を見ると大きな欠伸をしていた。
ここが何処なのか、自分に聞けと言っていたが…思い当たらない。
いや、一つ思い当たる事はある。
そうだとしたらこの不思議な空間の説明がつく。
「もしかして、ここは俺の夢?」
「そうだよー、私は君に忠告するために君の夢にお邪魔したって事」
「……忠告?」
「カイウスに干渉するのはやめてくれないかな」
ぐうたらしていたのに、突然真剣な眼差しで俺を見つめていた。
カイウスに干渉するなってどういう事?この人はいったい何者?
無意識に手を握りしめた。
他に何を言われても構わないが、それだけは出来ない。
カイウスが別れたいと言うなら分かるが、他人に俺達の関係を口出されたくない。
「嫌です」と短く答えた。
「俺はカイウスの事が好きです、だから嫌です」
「…私はお前達を恋仲にするために、その力を与えたわけではない」
「与えたって……あなたはいったい」
「私は……」
突然耳の奥がノイズのように鳴り響いて、全く聞こえなかった。
視界も歪み、誰も見えなくなった。
あの人の言っていた言葉は本当なのだろうか。
力を与えたって……嘘なのか…それとも…
目を覚ますとそこには見慣れた天井があった。
精霊の宮殿の寝室ではないそこには、嫌な予感がする。
一人ぼっちの檻の中に戻った俺は、部屋を見渡す。
ミロがいるかも、と身構えたが誰もいなかった。
早く精霊の宮殿に帰りたいとカイウスを想って祈った。
正直、確実に行く方法は分からない…昨日も偶然だったから…
とにかく誰も監視役がいないなら、ここから出れるかもしれない。
ドアを軽く叩いても、部屋の外から物音が聞こえない。
外にも誰もいない……変だと思うが、チャンスがあるならドアを開けた。
使用人が数人しかいない、明らかに人が少ないな。
何処に行ったのか気になるが、使用人達にバレないように物の影に隠れながら進む。
やっと一階まで降りて、入り口はもうすぐだと思った。
すると、俺の目の前に精霊が通った。
部屋にもいた精霊、なんでこんなところに?
フラフラとゆっくり進む精霊を見つめると、少し開いた扉の中に入った。
鉄の扉なんてあったんだ……精霊はこんなところで何をしているんだろう。
早く出たいが、カイウスが探している精霊なのかもしれない。
カイウスの役に立ちたい、逃げる事も大切だが…もしかしたらローベルトと関わりがあるのかもしれない。
思ったより重い扉で、使用人達が音に気付いて来る前に入ろうと足を踏ん張った。
人一人入れるくらいの隙間が出来て、滑り込んだ。
そこには薄暗い地下に続く階段があった。
石で出来た壁に触れながらゆっくりと地下に向かって歩く。
一歩一歩足を動かして、下に降りていく。
すると、地下空間に到着した。
全く見えない、明かりは階段を照らすろうそくだけだ。
一本だけろうそくを借りて、先を照らしながら進む。
コツコツと俺の靴だけが響く。
何もない空間ではなく、机があり…資料やなにか実験をしていたような道具があった。
ここでいったいなにが行われていたんだ?
そして最奥に到着して、足を止めた。
「…な、に…これ…」
震える手で照らす。
天井に吊るされた小さな籠の中に、精霊がいた。
しかも一つじゃなく、何個もある。
皆、羽根の数が少なくて…俺になにか訴えるような瞳をしている。
そしてその先に大きな檻があった。
まるで猛獣のようにその人はいた。
首や両手足を鉄の枷を嵌められていて、鎖が見える。
目を真っ白で細い布で覆われていた。
着物も髪も全て白いその人は見覚えがあった。
俺の夢に出てきた、あの人だ…俺の幻想ではなく本当にいたのか。
「……」
「なんだ、話さないのか?」
「……えっ」
「何者か、聞きたかったのではないのか?」
目が見えていない筈なのに、俺が来た事が分かったのかニヤリと笑っていた。
夢の記憶がこの人も覚えているのか。
なんでここにいるんだろう、ローベルトの関係者?でも扱いが罪人のようだ。
「ローベルトの仲間?」と聞いてみた。
一瞬動きを止めたと思ったら、大きな声を出して笑っていた。
爆笑されるような事言った覚えはない。
「あっ、はっははっ!!!」
「なんでそんなに笑うんですか?」
「私があんな愚かな人間達と仲間に見えるか?」
「……じゃあなんですか?」
「私は、神だ」
ごく自然にそう口にした。
神…え?…神様?
神と名乗るその人は、ニヤリと不敵に笑った。
「……え?」
俺はカイウスの腕の中で眠っていた筈だ。
それなのに、ここは何処だ?
精霊の宮殿でも、ローベルトの家でもない。
そもそも部屋と呼べるか分からない真っ白な空間だった。
そこに二つ椅子があり、俺は座っていた。
向かいに座る人は、足を椅子に掛けて退屈そうに座っていた。
真っ白な着物を着ていて、髪も真っ白で風もないのに腰まで長い髪が揺れていた。
一瞬女の人かと思ったが、声は低い。
「あの、ここは?」
「ここが何処だって?自分に聞いてみな」
分からないから聞いてるんだけど…本当にここは何処なんだ?
周りを見渡すと誰もいない、カイウスがいないし知らない人と二人きりなんて耐えられない。
椅子から立ち上がると、別の方向を見ていた目の前の人は俺の方を向いた。
引き止める気があるのかないのか分からないが、椅子から立ち上がりはしないが「何処に行く?」と聞かれた。
何処に向かってるのかは分からないが、とりあえず何処か歩いていれば元に戻れるかもしれない。
帰る事だけを言って、背を向けて歩き出した……やはり追いかける気はないようだ。
少し歩いて、足を止めた。
「あ、あれ?」
「おかえり」
確かにまっすぐ歩いた筈なのに、また同じところに帰ってきてしまった。
可笑しそうに笑うその人を置いて、再びまっすぐ歩き出した。
何度試してみても、最終的には元の場所に戻ってしまう。
もしかしなくても、ループ……してるよな。
椅子に座り、目の前の人を見ると大きな欠伸をしていた。
ここが何処なのか、自分に聞けと言っていたが…思い当たらない。
いや、一つ思い当たる事はある。
そうだとしたらこの不思議な空間の説明がつく。
「もしかして、ここは俺の夢?」
「そうだよー、私は君に忠告するために君の夢にお邪魔したって事」
「……忠告?」
「カイウスに干渉するのはやめてくれないかな」
ぐうたらしていたのに、突然真剣な眼差しで俺を見つめていた。
カイウスに干渉するなってどういう事?この人はいったい何者?
無意識に手を握りしめた。
他に何を言われても構わないが、それだけは出来ない。
カイウスが別れたいと言うなら分かるが、他人に俺達の関係を口出されたくない。
「嫌です」と短く答えた。
「俺はカイウスの事が好きです、だから嫌です」
「…私はお前達を恋仲にするために、その力を与えたわけではない」
「与えたって……あなたはいったい」
「私は……」
突然耳の奥がノイズのように鳴り響いて、全く聞こえなかった。
視界も歪み、誰も見えなくなった。
あの人の言っていた言葉は本当なのだろうか。
力を与えたって……嘘なのか…それとも…
目を覚ますとそこには見慣れた天井があった。
精霊の宮殿の寝室ではないそこには、嫌な予感がする。
一人ぼっちの檻の中に戻った俺は、部屋を見渡す。
ミロがいるかも、と身構えたが誰もいなかった。
早く精霊の宮殿に帰りたいとカイウスを想って祈った。
正直、確実に行く方法は分からない…昨日も偶然だったから…
とにかく誰も監視役がいないなら、ここから出れるかもしれない。
ドアを軽く叩いても、部屋の外から物音が聞こえない。
外にも誰もいない……変だと思うが、チャンスがあるならドアを開けた。
使用人が数人しかいない、明らかに人が少ないな。
何処に行ったのか気になるが、使用人達にバレないように物の影に隠れながら進む。
やっと一階まで降りて、入り口はもうすぐだと思った。
すると、俺の目の前に精霊が通った。
部屋にもいた精霊、なんでこんなところに?
フラフラとゆっくり進む精霊を見つめると、少し開いた扉の中に入った。
鉄の扉なんてあったんだ……精霊はこんなところで何をしているんだろう。
早く出たいが、カイウスが探している精霊なのかもしれない。
カイウスの役に立ちたい、逃げる事も大切だが…もしかしたらローベルトと関わりがあるのかもしれない。
思ったより重い扉で、使用人達が音に気付いて来る前に入ろうと足を踏ん張った。
人一人入れるくらいの隙間が出来て、滑り込んだ。
そこには薄暗い地下に続く階段があった。
石で出来た壁に触れながらゆっくりと地下に向かって歩く。
一歩一歩足を動かして、下に降りていく。
すると、地下空間に到着した。
全く見えない、明かりは階段を照らすろうそくだけだ。
一本だけろうそくを借りて、先を照らしながら進む。
コツコツと俺の靴だけが響く。
何もない空間ではなく、机があり…資料やなにか実験をしていたような道具があった。
ここでいったいなにが行われていたんだ?
そして最奥に到着して、足を止めた。
「…な、に…これ…」
震える手で照らす。
天井に吊るされた小さな籠の中に、精霊がいた。
しかも一つじゃなく、何個もある。
皆、羽根の数が少なくて…俺になにか訴えるような瞳をしている。
そしてその先に大きな檻があった。
まるで猛獣のようにその人はいた。
首や両手足を鉄の枷を嵌められていて、鎖が見える。
目を真っ白で細い布で覆われていた。
着物も髪も全て白いその人は見覚えがあった。
俺の夢に出てきた、あの人だ…俺の幻想ではなく本当にいたのか。
「……」
「なんだ、話さないのか?」
「……えっ」
「何者か、聞きたかったのではないのか?」
目が見えていない筈なのに、俺が来た事が分かったのかニヤリと笑っていた。
夢の記憶がこの人も覚えているのか。
なんでここにいるんだろう、ローベルトの関係者?でも扱いが罪人のようだ。
「ローベルトの仲間?」と聞いてみた。
一瞬動きを止めたと思ったら、大きな声を出して笑っていた。
爆笑されるような事言った覚えはない。
「あっ、はっははっ!!!」
「なんでそんなに笑うんですか?」
「私があんな愚かな人間達と仲間に見えるか?」
「……じゃあなんですか?」
「私は、神だ」
ごく自然にそう口にした。
神…え?…神様?
神と名乗るその人は、ニヤリと不敵に笑った。
128
お気に入りに追加
8,081
あなたにおすすめの小説
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました
白兪
BL
前世で妹がプレイしていた乙女ゲーム「君とユニバース」に転生してしまったアース。
攻略対象者ってことはイケメンだし将来も安泰じゃん!と喜ぶが、アースは人気最下位キャラ。あんまりパッとするところがないアースだが、気がついたら王太子の婚約者になっていた…。
なんとか友達に戻ろうとする主人公と離そうとしない激甘王太子の攻防はいかに!?
ゆっくり書き進めていこうと思います。拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。
嫌われてたはずなのに本読んでたらなんか美形伴侶に溺愛されてます 執着の騎士団長と言語オタクの俺
野良猫のらん
BL
「本を読むのに忙しいから」
自分の伴侶フランソワの言葉を聞いた騎士団長エルムートは己の耳を疑った。
伴侶は着飾ることにしか興味のない上っ面だけの人間だったはずだからだ。
彼は顔を合わせる度にあのアクセサリーが欲しいだのあの毛皮が欲しいだの言ってくる。
だから、嫌味に到底読めないだろう古代語の書物を贈ったのだ。
それが本を読むのに忙しいだと?
愛のない結婚だったはずなのに、突如として変貌したフランソワにエルムートはだんだんと惹かれていく。
まさかフランソワが言語オタクとしての前世の記憶に目覚めているとも知らずに。
※R-18シーンの含まれる話には*マークを付けます。
書籍化決定! 2023/2/13刊行予定!
役目を終えた悪役令息は、第二の人生で呪われた冷徹公爵に見初められました
綺沙きさき(きさきさき)
BL
旧題:悪役令息の役目も終わったので第二の人生、歩ませていただきます 〜一年だけの契約結婚のはずがなぜか公爵様に溺愛されています〜
【元・悪役令息の溺愛セカンドライフ物語】
*真面目で紳士的だが少し天然気味のスパダリ系公爵✕元・悪役令息
「ダリル・コッド、君との婚約はこの場をもって破棄する!」
婚約者のアルフレッドの言葉に、ダリルは俯き、震える拳を握りしめた。
(……や、やっと、これで悪役令息の役目から開放される!)
悪役令息、ダリル・コッドは知っている。
この世界が、妹の書いたBL小説の世界だと……――。
ダリルには前世の記憶があり、自分がBL小説『薔薇色の君』に登場する悪役令息だということも理解している。
最初は悪役令息の言動に抵抗があり、穏便に婚約破棄の流れに持っていけないか奮闘していたダリルだが、物語と違った行動をする度に過去に飛ばされやり直しを強いられてしまう。
そのやり直しで弟を巻き込んでしまい彼を死なせてしまったダリルは、心を鬼にして悪役令息の役目をやり通すことを決めた。
そしてついに、婚約者のアルフレッドから婚約破棄を言い渡された……――。
(もうこれからは小説の展開なんか気にしないで自由に生きれるんだ……!)
学園追放&勘当され、晴れて自由の身となったダリルは、高額な給金につられ、呪われていると噂されるハウエル公爵家の使用人として働き始める。
そこで、顔の痣のせいで心を閉ざすハウエル家令息のカイルに気に入られ、さらには父親――ハウエル公爵家現当主であるカーティスと再婚してほしいとせがまれ、一年だけの契約結婚をすることになったのだが……――
元・悪役令息が第二の人生で公爵様に溺愛されるお話です。
【完結】TL小説の悪役令息は死にたくないので不憫系当て馬の義兄を今日もヨイショします
七夜かなた
BL
前世はブラック企業に過労死するまで働かされていた一宮沙織は、読んでいたTL小説「放蕩貴族は月の乙女を愛して止まない」の悪役令息ギャレット=モヒナートに転生してしまった。
よりによってヒロインでもなく、ヒロインを虐め、彼女に惚れているギャレットの義兄ジュストに殺されてしまう悪役令息に転生するなんて。
お金持ちの息子に生まれ変わったのはいいけど、モブでもいいから長生きしたい
最後にはギャレットを殺した罪に問われ、牢獄で死んでしまう。
小説の中では当て馬で不憫だったジュスト。
当て馬はどうしようもなくても、不憫さは何とか出来ないか。
小説を読んでいて、ハッピーエンドの主人公たちの影で不幸になった彼のことが気になっていた。
それならヒロインを虐めず、義兄を褒め称え、悪意がないことを証明すればいいのでは?
そして義兄を慕う義弟を演じるうちに、彼の自分に向ける視線が何だか熱っぽくなってきた。
ゆるっとした世界観です。
身体的接触はありますが、濡れ場は濃厚にはならない筈…
タイトルもしかしたら途中で変更するかも
イラストは紺田様に有償で依頼しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる