28 / 299
裏の話
しおりを挟む
「なんで、父様はアイツなんかを…」
カイウスの兄であるユリウス・エーデルハイドは父の部屋の前でただ立っていた。
部屋の中からはカイウスに期待する父の声が聞こえて拳を固く握りしめていた。
カイウスとは2つ違いでユリウスは先に産声を上げた。
エーデルハイドを継ぐのはユリウスだ、そう言われ続けていた…たったの二年間は…
カイウスが生まれ、神の子だと知られてからユリウスの周りには誰もいなくなった。
使用人は皆カイウスを囲み、口では平等を語るが両親もカイウスにだけ期待していた。
しかもカイウスは一度も構われて嬉しそうな顔をしなくて、それがまたユリウスを苛立たせた。
だからカイウスより自分が優れていると周りに知らしめるためにユリウスは剣術を一生懸命頑張った。
カイウスを呼んで、剣術でカイウスを負かし周りに自分こそが父の後継ぎに相応しいと見せつけた。
でも、それはほんの少しの間だけの優越感で終わった。
カイウスは自分よりも上達が早く、すぐにユリウスと互角に戦えるほどになった。
自分が負けるところなんて絶対に見せたくないから、その日からカイウスと稽古するのは止めた。
そして今日、父が大切にしていた王立騎士団の団長の座はカイウスになった。
父は見破っていた、剣術ではカイウスの方がとっくに上だと…
見ないふりをしていたのに、無理矢理見せつけられた気分だ。
ユリウスに副団長になって、団長のカイウスのサポートをしろと父は言った。
兄が弟の引き立て役?それがとてつもない屈辱のように感じた。
家を出て、城下町をフラフラとした足どりで歩き続ける。
行く場所なんてない、ただ…カイウスがいない世界に行きたい。
「あら?どうしてそんな怖い顔してるの?」
「………なんだ、お前」
黒い髪が長い、美人だが見知らぬ女が話しかけてきた。
ユリウス・エーデルハイドだと知って声を掛けたのか。
だとしたらいつもの事だろう、またカイウスに会いたいがために声を掛けてきたのだろう。
無視をして歩くと、女の白く細い腕がユリウスの腕に絡み付いてきて思いっきり振り払った。
「怖~い」とクスクス笑う女に、国民だろうが何だろうが関係なく睨み付ける。
お前もバカにするのか、どいつもこいつも…怒りが込み上げていく。
「またカイ様になにかされたの?」
「……女だからって、言っていい事と悪い事が…」
女に一歩近付くと、何処にいたのか数人の兵士に剣を向けられた。
さすがに至近距離で数人に刃を向けられたらユリウスでも避けるのは難しいだろう。
やはり自分がユリウスだと分かって近付いてきたんだ。
ろくな話ではない事は分かるが、この状況だと強制的に聞く事になる。
隠す気はない舌打ちをして、女の用件を大人しく聞く。
言う事を聞くのかはまた別の話だけど、聞くだけはしてやろう。
「カイ様をずっと見ていて分かっているわ、貴方…カイ様に劣等感を抱いているのね」
「………喧嘩売ってるのか?」
「私は貴方の味方よ」
いきなりやってきて味方と言う見知らぬ女、信じられる筈がない。
何も知らないくせに…と思ったら突然「王立騎士団長にしてあげる」と言われてドキッとした。
何故その事で苛ついていたのが分かったのか警戒する。
女はやれやれというような仕草をして、ユリウスに説明した。
今、城下町で噂されているもうすぐ新しい騎士団長が決まるという中で候補であるユリウスがとても苛つきながら街中を歩いていたからそう言ったそうだ。
まるで見透かされたようで頷くのも嫌だから無視をした。
でもそれは女にとっては頷いたと同じで笑みを深くしていた。
「一応聞いてやる、どうやって?」
「私の父、ローベルト卿はこの帝国の王になるのよ」
「………ローベルト、なるほどな」
その名を聞いただけで、この女の正体がすぐに分かった。
数々の大罪を犯し、証拠を残さない悪名高いローベルト卿の愛娘がいるという噂を聞いた事がある。
帝国を乗っ取るという話をまだ騎士団に所属しているユリウスに言うなんてバカとしか言いようがなかった。
でもきっとこの女は何でもお見通しなんだろう、ユリウスがもう騎士団に失望している事を…
でもローベルト卿が王になったとして、自分にメリットがないように思えた。
それに騎士団長にするという事は、あのカイウスを殺すという事だ…神の子に勝てる人間がいるとも思えない。
「俺を騎士団長にするってどうやって?カイウスは?」
「カイ様は私の夫になる方よ、お父様の補佐をしてもらうの…だから騎士団長は貴方に譲るわ」
「あの堅物を従わせられるとは思えないけど?」
「私達は秘策がなく、こんな事を言っているわけではないわよ」
女はユリウスに神話の話をした、精霊王と悪魔の戦いの話だ。
勿論ユリウスは知っている、だからカイウスが精霊が見えるのを疑った事はない。
それがどうしたと言わんばかりの態度を見せると女は内緒話をするようにユリウスに顔を近付けた。
「カイ様のように悪魔の紋様がある人間が私達の身内にいるの」という女に驚いた。
まさかそんな奴がローベルトの中にいるなんて思わなかった。
なるほど、災厄の悪魔は精霊王と互角に戦えたというほど力が強い。
神話では精霊王が勝ったが、上手くいけば悪魔が勝つ事が出来るかもしれない。
悪魔は今、王立士官学校で能力を目覚めさせる訓練をしているようだ。
その話を聞くと、カイウスを負かすなんて出来るかと疑っていたが……もしかしたらイケるかもしれないとニヤリと笑った。
「協力、してくれるわよね…貴方がいれば必ず上手く行くわ」
「……考えておく」
即答すると何だか癪だから、じらしてみたが…ほとんど決まっていた。
カイウスより自分が優れていると周りに再び知らしめよう。
コイツらが自分を利用するというなら、自分もコイツらを利用しよう。
ユリウスは父や帝王を捨て、悪の道に染まる事にした。
その瞳は復讐の炎でゆらゆらと揺らめいていて、不敵に微笑んだ。
カイウスの兄であるユリウス・エーデルハイドは父の部屋の前でただ立っていた。
部屋の中からはカイウスに期待する父の声が聞こえて拳を固く握りしめていた。
カイウスとは2つ違いでユリウスは先に産声を上げた。
エーデルハイドを継ぐのはユリウスだ、そう言われ続けていた…たったの二年間は…
カイウスが生まれ、神の子だと知られてからユリウスの周りには誰もいなくなった。
使用人は皆カイウスを囲み、口では平等を語るが両親もカイウスにだけ期待していた。
しかもカイウスは一度も構われて嬉しそうな顔をしなくて、それがまたユリウスを苛立たせた。
だからカイウスより自分が優れていると周りに知らしめるためにユリウスは剣術を一生懸命頑張った。
カイウスを呼んで、剣術でカイウスを負かし周りに自分こそが父の後継ぎに相応しいと見せつけた。
でも、それはほんの少しの間だけの優越感で終わった。
カイウスは自分よりも上達が早く、すぐにユリウスと互角に戦えるほどになった。
自分が負けるところなんて絶対に見せたくないから、その日からカイウスと稽古するのは止めた。
そして今日、父が大切にしていた王立騎士団の団長の座はカイウスになった。
父は見破っていた、剣術ではカイウスの方がとっくに上だと…
見ないふりをしていたのに、無理矢理見せつけられた気分だ。
ユリウスに副団長になって、団長のカイウスのサポートをしろと父は言った。
兄が弟の引き立て役?それがとてつもない屈辱のように感じた。
家を出て、城下町をフラフラとした足どりで歩き続ける。
行く場所なんてない、ただ…カイウスがいない世界に行きたい。
「あら?どうしてそんな怖い顔してるの?」
「………なんだ、お前」
黒い髪が長い、美人だが見知らぬ女が話しかけてきた。
ユリウス・エーデルハイドだと知って声を掛けたのか。
だとしたらいつもの事だろう、またカイウスに会いたいがために声を掛けてきたのだろう。
無視をして歩くと、女の白く細い腕がユリウスの腕に絡み付いてきて思いっきり振り払った。
「怖~い」とクスクス笑う女に、国民だろうが何だろうが関係なく睨み付ける。
お前もバカにするのか、どいつもこいつも…怒りが込み上げていく。
「またカイ様になにかされたの?」
「……女だからって、言っていい事と悪い事が…」
女に一歩近付くと、何処にいたのか数人の兵士に剣を向けられた。
さすがに至近距離で数人に刃を向けられたらユリウスでも避けるのは難しいだろう。
やはり自分がユリウスだと分かって近付いてきたんだ。
ろくな話ではない事は分かるが、この状況だと強制的に聞く事になる。
隠す気はない舌打ちをして、女の用件を大人しく聞く。
言う事を聞くのかはまた別の話だけど、聞くだけはしてやろう。
「カイ様をずっと見ていて分かっているわ、貴方…カイ様に劣等感を抱いているのね」
「………喧嘩売ってるのか?」
「私は貴方の味方よ」
いきなりやってきて味方と言う見知らぬ女、信じられる筈がない。
何も知らないくせに…と思ったら突然「王立騎士団長にしてあげる」と言われてドキッとした。
何故その事で苛ついていたのが分かったのか警戒する。
女はやれやれというような仕草をして、ユリウスに説明した。
今、城下町で噂されているもうすぐ新しい騎士団長が決まるという中で候補であるユリウスがとても苛つきながら街中を歩いていたからそう言ったそうだ。
まるで見透かされたようで頷くのも嫌だから無視をした。
でもそれは女にとっては頷いたと同じで笑みを深くしていた。
「一応聞いてやる、どうやって?」
「私の父、ローベルト卿はこの帝国の王になるのよ」
「………ローベルト、なるほどな」
その名を聞いただけで、この女の正体がすぐに分かった。
数々の大罪を犯し、証拠を残さない悪名高いローベルト卿の愛娘がいるという噂を聞いた事がある。
帝国を乗っ取るという話をまだ騎士団に所属しているユリウスに言うなんてバカとしか言いようがなかった。
でもきっとこの女は何でもお見通しなんだろう、ユリウスがもう騎士団に失望している事を…
でもローベルト卿が王になったとして、自分にメリットがないように思えた。
それに騎士団長にするという事は、あのカイウスを殺すという事だ…神の子に勝てる人間がいるとも思えない。
「俺を騎士団長にするってどうやって?カイウスは?」
「カイ様は私の夫になる方よ、お父様の補佐をしてもらうの…だから騎士団長は貴方に譲るわ」
「あの堅物を従わせられるとは思えないけど?」
「私達は秘策がなく、こんな事を言っているわけではないわよ」
女はユリウスに神話の話をした、精霊王と悪魔の戦いの話だ。
勿論ユリウスは知っている、だからカイウスが精霊が見えるのを疑った事はない。
それがどうしたと言わんばかりの態度を見せると女は内緒話をするようにユリウスに顔を近付けた。
「カイ様のように悪魔の紋様がある人間が私達の身内にいるの」という女に驚いた。
まさかそんな奴がローベルトの中にいるなんて思わなかった。
なるほど、災厄の悪魔は精霊王と互角に戦えたというほど力が強い。
神話では精霊王が勝ったが、上手くいけば悪魔が勝つ事が出来るかもしれない。
悪魔は今、王立士官学校で能力を目覚めさせる訓練をしているようだ。
その話を聞くと、カイウスを負かすなんて出来るかと疑っていたが……もしかしたらイケるかもしれないとニヤリと笑った。
「協力、してくれるわよね…貴方がいれば必ず上手く行くわ」
「……考えておく」
即答すると何だか癪だから、じらしてみたが…ほとんど決まっていた。
カイウスより自分が優れていると周りに再び知らしめよう。
コイツらが自分を利用するというなら、自分もコイツらを利用しよう。
ユリウスは父や帝王を捨て、悪の道に染まる事にした。
その瞳は復讐の炎でゆらゆらと揺らめいていて、不敵に微笑んだ。
265
お気に入りに追加
8,081
あなたにおすすめの小説
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました
白兪
BL
前世で妹がプレイしていた乙女ゲーム「君とユニバース」に転生してしまったアース。
攻略対象者ってことはイケメンだし将来も安泰じゃん!と喜ぶが、アースは人気最下位キャラ。あんまりパッとするところがないアースだが、気がついたら王太子の婚約者になっていた…。
なんとか友達に戻ろうとする主人公と離そうとしない激甘王太子の攻防はいかに!?
ゆっくり書き進めていこうと思います。拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。
嫌われてたはずなのに本読んでたらなんか美形伴侶に溺愛されてます 執着の騎士団長と言語オタクの俺
野良猫のらん
BL
「本を読むのに忙しいから」
自分の伴侶フランソワの言葉を聞いた騎士団長エルムートは己の耳を疑った。
伴侶は着飾ることにしか興味のない上っ面だけの人間だったはずだからだ。
彼は顔を合わせる度にあのアクセサリーが欲しいだのあの毛皮が欲しいだの言ってくる。
だから、嫌味に到底読めないだろう古代語の書物を贈ったのだ。
それが本を読むのに忙しいだと?
愛のない結婚だったはずなのに、突如として変貌したフランソワにエルムートはだんだんと惹かれていく。
まさかフランソワが言語オタクとしての前世の記憶に目覚めているとも知らずに。
※R-18シーンの含まれる話には*マークを付けます。
書籍化決定! 2023/2/13刊行予定!
役目を終えた悪役令息は、第二の人生で呪われた冷徹公爵に見初められました
綺沙きさき(きさきさき)
BL
旧題:悪役令息の役目も終わったので第二の人生、歩ませていただきます 〜一年だけの契約結婚のはずがなぜか公爵様に溺愛されています〜
【元・悪役令息の溺愛セカンドライフ物語】
*真面目で紳士的だが少し天然気味のスパダリ系公爵✕元・悪役令息
「ダリル・コッド、君との婚約はこの場をもって破棄する!」
婚約者のアルフレッドの言葉に、ダリルは俯き、震える拳を握りしめた。
(……や、やっと、これで悪役令息の役目から開放される!)
悪役令息、ダリル・コッドは知っている。
この世界が、妹の書いたBL小説の世界だと……――。
ダリルには前世の記憶があり、自分がBL小説『薔薇色の君』に登場する悪役令息だということも理解している。
最初は悪役令息の言動に抵抗があり、穏便に婚約破棄の流れに持っていけないか奮闘していたダリルだが、物語と違った行動をする度に過去に飛ばされやり直しを強いられてしまう。
そのやり直しで弟を巻き込んでしまい彼を死なせてしまったダリルは、心を鬼にして悪役令息の役目をやり通すことを決めた。
そしてついに、婚約者のアルフレッドから婚約破棄を言い渡された……――。
(もうこれからは小説の展開なんか気にしないで自由に生きれるんだ……!)
学園追放&勘当され、晴れて自由の身となったダリルは、高額な給金につられ、呪われていると噂されるハウエル公爵家の使用人として働き始める。
そこで、顔の痣のせいで心を閉ざすハウエル家令息のカイルに気に入られ、さらには父親――ハウエル公爵家現当主であるカーティスと再婚してほしいとせがまれ、一年だけの契約結婚をすることになったのだが……――
元・悪役令息が第二の人生で公爵様に溺愛されるお話です。
【完結】TL小説の悪役令息は死にたくないので不憫系当て馬の義兄を今日もヨイショします
七夜かなた
BL
前世はブラック企業に過労死するまで働かされていた一宮沙織は、読んでいたTL小説「放蕩貴族は月の乙女を愛して止まない」の悪役令息ギャレット=モヒナートに転生してしまった。
よりによってヒロインでもなく、ヒロインを虐め、彼女に惚れているギャレットの義兄ジュストに殺されてしまう悪役令息に転生するなんて。
お金持ちの息子に生まれ変わったのはいいけど、モブでもいいから長生きしたい
最後にはギャレットを殺した罪に問われ、牢獄で死んでしまう。
小説の中では当て馬で不憫だったジュスト。
当て馬はどうしようもなくても、不憫さは何とか出来ないか。
小説を読んでいて、ハッピーエンドの主人公たちの影で不幸になった彼のことが気になっていた。
それならヒロインを虐めず、義兄を褒め称え、悪意がないことを証明すればいいのでは?
そして義兄を慕う義弟を演じるうちに、彼の自分に向ける視線が何だか熱っぽくなってきた。
ゆるっとした世界観です。
身体的接触はありますが、濡れ場は濃厚にはならない筈…
タイトルもしかしたら途中で変更するかも
イラストは紺田様に有償で依頼しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる