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合流

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牢獄から出て、ずっと全裸のままじゃいられないし…俺の銃も返してもらわないといけない。
とりあえず片っ端からドアノブを掴んで引っ張る。
何処か開いているかもしれない、そこにもしかしたら服があって…ついでに銃なんてあったらなぁ…と考える。

開いているドアがあり、開くとそこは風呂場だった。

呑気に風呂に入って鼻歌が聞こえる、俺はチラッと脱衣所に置かれたカゴを見た。
そこには二つ服があり、シワがない綺麗な服を手に取った。

服を着ると、少年が不安そうに見ていた。

「勝手に着て大丈夫なの?あの人困るんじゃ…」

少年は鼻歌が聞こえるドアの向こう側を指差していた。
優しいんだな、でも大丈夫だ…脱いだ服はあるからそれを着ればいい。

ちょっと不衛生で可哀想だが、俺は心の中で謝り風呂場を出た。

さて、俺の銃…あの鞭の男に取られたからアイツを探さないとな。
とはいえ何処にいるのかまるで検討もつかない。

適当に探しても、その前にまた捕まるかもしれない。
どうするか、そう思って歩いていたらグゥと大きな音が聞こえて心臓が飛び出しそうなほど驚いた。

「うわぁ!!」

「…ぅ」

「えっ、もしかして…君のお腹?」

少年に目線を向けると、少年は顔を赤くしてお腹を押さえていた。

そうか、お腹空いたのか…どうするか…なにか食べ物はないかな。
食べ物があってもここで出される食事だと考えたら怪しさ満タンだな。

でも外に出ないとまともな食事は食べれないし…

銃も大事だが、シリウスも探さないとな……シリウスならなにか知っているかもしれない。

そう考えていたら、幻聴か…シリウスの声が聞こえてきた。
まさか、シリウスを考えてたらそんな偶然あるわけないよな。

そう思っていても、つい声の主を探してしまう。

「レイン」

「うわっ!シリウス!?」

もう一度、今度は近くで声が聞こえてビックリした。
シリウス…本物か?なんでここにシリウスが?

俺が居なくなってシリウスがどうなったのか分からないが、無事なら良かった。
シリウスが近付いてきて、確かめるように俺の頬に触れた。
腰を引き寄せられて…こんな状態なのに恋を自覚してしまった俺にはこの雰囲気は耐えられなかった。

顔を赤くして腕を伸ばして、拒絶するとシリウスの眉が寄っている事に気付いた。
いつもの事だと思ったが、嫌だったのか?…その、本気で嫌がっているわけじゃ…

ふいに服を引っ張られて、バランスを崩してシリウスの胸に倒れた。

「レイン、服を脱げ」

「こんなところで何言ってんだよ!」

いきなりシリウスがそんな事を言っていて、子供の前で何を言ってるんだと怒った。
さすがにそれはダメだ!するならこの子の事終わってから……って、何言ってんだ俺は!!

一人で百面相をして悶えているのをシリウスはジッと静かに見ていた。

とにかくダメだ!絶対に流されないからな!とシリウスに「ダメだ!」と言った。

不満そうなシリウスは、俺の服を強く握っていた。
何をするのか見ていたら、ビリッと不穏な音が聞こえた。

俺が止める前に、俺の上着はボロ布と化した。

「うわぁぁ!!何してんだよ!!」

「これを着ろ」

「…………え?」

「そんな服、レインには必要ない」

そう言ってシリウスは自分の魔力で服を作り出して俺に渡してきた。
…シリウスは着替えろと言いたかったみたいだ。

それならそうと言ってくれ、何も言わず服を脱げだの服を破られたら怖いだろ。

俺も恥ずかしい勘違いをしてしまい、いたたまれない気持ちになりながらシリウスから服を受け取り着替える。

魔法で服も作れるんだな、そういえば裁縫もしていたな…何でも出来るのか…さすが魔王。

結構しっかりした服だなと伸ばしたりしていると、服に触れている手がじんわりと熱を持っていた。
これ、もしかしてシリウスの魔力が滲み出てるのか?

「どうした、レイン」

「あ、あぁ…今着替える」

「若様!!」

下着まで魔力で作ったのかと感心していたら、また誰かの声が聞こえた。

俺の前にシリウスが立ち、見えないように俺の頭にマントを被せた。
シリウスを若様なんて言うって事は、魔王軍の誰かか。

着替え終わり、マントを外してシリウスの後ろから覗き込む。
そこにいたのは俺達をエルフの国に連れてきてくれたチャラエルフだった。

「準備が出来ました」

「分かった」

シリウスがそう言うと、俺に「行こう」と手を差し伸ばしてきた。

行くってこの城から出るって事だよな…でも、まだ銃を取り戻していない状態で帰れない。
シリウスに話して、先に行っていてくれと言った。

個人的な事にシリウス達を巻き込めない、早く見つけて俺も後から合流するつもりだ。
そう思っていたら、シリウスはチャラエルフに少し待つように言っていた。

そのまま俺の手を掴んで、自分の額に当てている。
何をしてるのか驚いていたら、手と額が触れているところに小さな光が現れた。

「…これは」

「レインの手の記憶から探ってる」

「そんな事が出来るのか」

「レインがその銃を大切にして、その銃以外の武器をあまり使っていないから出来る事だ」

手を離して、シリウスと目線が合い…ドキリとした。
すぐに外されたが、ずっとシリウスの目線を感じる。

「気配は遠くない」と言って、シリウスが歩き出し…皆一緒に歩き出す。
俺のわがままなのに聞いてくれて嬉しかった、ここまで来たら皆で脱出するためだとしても…

早く銃を取り戻して、逃げないとな…だんだん騒がしくなってきている。
俺が居なくなって探しているわけではなさそうだ。
なにかあったのか?

「…なんだ、戻って来ちゃったですね」

「……」

「な、なにがあったんだ?」

壁も床も血だらけの場所にやって来て、顔が引き攣る。
床で倒れている血だらけの死体には見覚えがあった。
俺から銃を奪ったあのエルフだ、死んでいたのか。

シリウスは死体の服から銃を取り出して、付いた血を拭っていた。
すると足音が大きくなり「見つけたぞ!」という声が聞こえた。

声のした方を見ると、エルフと後ろには牢獄にいたオーク達がいた。

一本道だから、コイツらを倒さないと通れないな。
シリウスから銃を受け取り、手のひらに馴染む。
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