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再びの…
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昨日は躓いただけだから自分で立てたが、今は感覚が戻らないから自力で立つ事が出来ない。
足に力を入れても、全然言う事を聞いてくれない。
腕の感覚がないから、平気な方の片手でしがみつく事しか出来ない。
「ごめん、ちょっと痺れてて」
「慌てなくてもいい、フレンが治療薬を研究していたからなにか分かるかもしれない」
ディアの言葉に、フレン部長は部室にいるのかと聞いた。
今日のフレン部長のクラスは授業が遅れているみたいだ。
そこまで遅くならないから、廊下で休憩する事になった。
昔を思い出すな、昔もこうしてディアと一緒にいた。
ディアは「魔術が使えなくてごめん」と謝っていた。
あの時も今も、ディアは何も悪くないよ。
まるで昔を再現するかのように、ディアの手を優しく握りしめた。
俺で良かったらいつでもディアの背中を押すよ。
ディアが本当に一緒に居たいと思える人に会えるまで…
「ディアの力は人を助けられる力なんだよ、だから自分自身を信じてほしい」
「…ナギ」
「魔力が低い俺が偉そうに言う事じゃないけど」
「偉そうではない、ナギのおかげで今の俺はいる…ありがとう」
ディアはそう言って、誰もが見惚れるほどの美しい顔で微笑んだ。
そんな事を言われたら、調子に乗りそうになる。
ディアにそう思ってくれていて、良かった…気味悪がられると思ってた。
俺がディア達が知らない未来の事まで知っているのは可笑しいから、気持ち悪いだろうなと自分でも思う。
ディアと別れてから、そればかり気にしていた。
ディアを慰めるためとはいえ、出過ぎた事を言ってしまったと後悔していた。
あの時のディアが何を考えていたのか、今知れてよかった。
ずっとモヤモヤしたままの部活動は集中出来ない。
「俺、ディアに気持ち悪がられていると思ってた、昔会った時もディアの気持ちに土足で踏み込んだし…」
「気持ち悪いわけないだろ、初めて自分の能力を信じてみたいって思わせてくれたんだから……あ、さっき謝ったのは無能力の事じゃなくて、まだ俺は魔術が使えないって意味だから」
ディアは少し早口で、俺が勘違いしないように説明していた。
繋いだ手はそのままにして、話していると痺れもなくなってきた。
もう大丈夫だと言っても、ディアは心配みたいで体を支えてくれた。
誰にやられたか聞かれたけど、風紀委員会の事は言わなかった。
言って何もないって事は、ディアの険しい顔からしてあり得ない。
風紀委員会はきっと魔力も強いし、生身が魔術に勝てない。
ディアに傷付いてほしくないし、風紀委員会だって人が多いところで攻撃したりしない。
なるべく人がいないところは避けよう、そうすれば痺れる事もない筈だ。
「やっぱり付き合ってない?僕に隠し事はしないでよ」
「付き合ってないって!」
「……」
今から部活に行こうとしていたフレン部長と偶然会って、また誤解された。
一緒にいるだけなのに…と、下を見てみるとディアと手を繋いだままだった。
慌てて離しても、フレン部長に見られているから意味がない。
手を離すのを忘れていたから、ディアに謝るとディアは「気にしなくていい」と言っていた。
少し、ディアが照れているみたいに顔がほんのりと赤かった。
また可愛いと言いそうになり、グッと飲み込んだ。
今のディアの見た目は可愛いとはかけ離れているが、性格は相変わらず可愛い。
三人で魔術研究同好会の部室に向かって歩いた。
足に力を入れても、全然言う事を聞いてくれない。
腕の感覚がないから、平気な方の片手でしがみつく事しか出来ない。
「ごめん、ちょっと痺れてて」
「慌てなくてもいい、フレンが治療薬を研究していたからなにか分かるかもしれない」
ディアの言葉に、フレン部長は部室にいるのかと聞いた。
今日のフレン部長のクラスは授業が遅れているみたいだ。
そこまで遅くならないから、廊下で休憩する事になった。
昔を思い出すな、昔もこうしてディアと一緒にいた。
ディアは「魔術が使えなくてごめん」と謝っていた。
あの時も今も、ディアは何も悪くないよ。
まるで昔を再現するかのように、ディアの手を優しく握りしめた。
俺で良かったらいつでもディアの背中を押すよ。
ディアが本当に一緒に居たいと思える人に会えるまで…
「ディアの力は人を助けられる力なんだよ、だから自分自身を信じてほしい」
「…ナギ」
「魔力が低い俺が偉そうに言う事じゃないけど」
「偉そうではない、ナギのおかげで今の俺はいる…ありがとう」
ディアはそう言って、誰もが見惚れるほどの美しい顔で微笑んだ。
そんな事を言われたら、調子に乗りそうになる。
ディアにそう思ってくれていて、良かった…気味悪がられると思ってた。
俺がディア達が知らない未来の事まで知っているのは可笑しいから、気持ち悪いだろうなと自分でも思う。
ディアと別れてから、そればかり気にしていた。
ディアを慰めるためとはいえ、出過ぎた事を言ってしまったと後悔していた。
あの時のディアが何を考えていたのか、今知れてよかった。
ずっとモヤモヤしたままの部活動は集中出来ない。
「俺、ディアに気持ち悪がられていると思ってた、昔会った時もディアの気持ちに土足で踏み込んだし…」
「気持ち悪いわけないだろ、初めて自分の能力を信じてみたいって思わせてくれたんだから……あ、さっき謝ったのは無能力の事じゃなくて、まだ俺は魔術が使えないって意味だから」
ディアは少し早口で、俺が勘違いしないように説明していた。
繋いだ手はそのままにして、話していると痺れもなくなってきた。
もう大丈夫だと言っても、ディアは心配みたいで体を支えてくれた。
誰にやられたか聞かれたけど、風紀委員会の事は言わなかった。
言って何もないって事は、ディアの険しい顔からしてあり得ない。
風紀委員会はきっと魔力も強いし、生身が魔術に勝てない。
ディアに傷付いてほしくないし、風紀委員会だって人が多いところで攻撃したりしない。
なるべく人がいないところは避けよう、そうすれば痺れる事もない筈だ。
「やっぱり付き合ってない?僕に隠し事はしないでよ」
「付き合ってないって!」
「……」
今から部活に行こうとしていたフレン部長と偶然会って、また誤解された。
一緒にいるだけなのに…と、下を見てみるとディアと手を繋いだままだった。
慌てて離しても、フレン部長に見られているから意味がない。
手を離すのを忘れていたから、ディアに謝るとディアは「気にしなくていい」と言っていた。
少し、ディアが照れているみたいに顔がほんのりと赤かった。
また可愛いと言いそうになり、グッと飲み込んだ。
今のディアの見た目は可愛いとはかけ離れているが、性格は相変わらず可愛い。
三人で魔術研究同好会の部室に向かって歩いた。
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