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第6話
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※※※ ※※※
「ここら辺りで良いか」
東が車を停めたのは、穴生ドームを抜けた先にある、鉄竜の住宅街だった。後部座席に置いたままにしている銃器から89式小銃を取ると、安全装置を外し、安部に手渡した。
怪訝そうに、双眸を細め安部が言った。
「そろそろ、今回のドライブについて、何か説明がほしいのですが......」
「あ?そんなもん練習に決まってんだろ」
「練習......ですか?」
口先を曇らせた安部は、手元にある銃を見た。
「そうだ。これから先、銃は俺達にとって必須になる。中間市にいる奴等を制圧し続けるのにも必要だ。そこで問題がある」
何か分かるか、と目線で安部に尋ねる。
銃は何度か使用してきた。扱いには十分に慣れたつもりだ。そこに何か問題があるのだろうか。東は、マガジンを抜いて、自分の銃に弾丸が入っているのを確認した。
「俺達は、まだ、銃に関しては素人同然だ。本当は、生きた人間の方が望ましいんだが......」
「......つまり、使徒を使って銃の扱い学ぶと?」
「そうだ、今までは俺達を襲ってきた不届き者だけをやってきたが、今回ばかりは少し違う。安部さん、アンタを死なせないためにすることなんだって事を、ちゃぁんとわかってくれよ?」
東は、車を降りると、目の前にある破られた玄関を睨目つける。這いずったような血の跡が、玄関の縁石から外へ伸びている。転化した何者かが、ここにはいたようだ。安部に目を配り、顎で行き先を告げる。玄関を抜けると、サウナに入ったような異様な熱気が二人を包み込んだ。熱のある大量の血液が流れた証拠だろう。裏付けをするように、階段の昇り口には血溜まりが出来ていた。
東は、懐かしい臭いだ、と唇を三日月に歪めた。
「籠城してたが、扉を破られて引きずり出されたってとこかな」
「いえ、それは違いますね」
東は、異を唱えた安部に振り返る。
「あ?なんかあったのか?」
「あれを見てください」
安部は階段の上部を指差した。
東は、安部を玄関前に待たせ、階段を堂々と上がっていく。別段、変わった所はないように感じ、階下にいる安部に手を振ったが、首を横に振られてしまう。
「階段の手摺ですよ」
手摺、とオウム返した東は、重点的に手摺を擦り、ある箇所を発見した。誰かが握ったような血痕がある。それも、かなり強く握っているようだ。
階段から落ちまいと、必死に掴んだような跡は、下へと鋭く伸びている。誰かが、ここで転化する前の、まだ生きている人間を突き落としているという確かな証左にも思えた。
そうなると、東に微かな疑念が生じる。その突き落とした人間は、今、どこにいるのか。
首筋に違和感が走る。いつもそうだ。何かがある時、人間は本能的に危険を察する。
「東さん!後ろ!」
安部の叫び声に振り返る途中、東のこめかみに銃口が突きつけられた。
「ここら辺りで良いか」
東が車を停めたのは、穴生ドームを抜けた先にある、鉄竜の住宅街だった。後部座席に置いたままにしている銃器から89式小銃を取ると、安全装置を外し、安部に手渡した。
怪訝そうに、双眸を細め安部が言った。
「そろそろ、今回のドライブについて、何か説明がほしいのですが......」
「あ?そんなもん練習に決まってんだろ」
「練習......ですか?」
口先を曇らせた安部は、手元にある銃を見た。
「そうだ。これから先、銃は俺達にとって必須になる。中間市にいる奴等を制圧し続けるのにも必要だ。そこで問題がある」
何か分かるか、と目線で安部に尋ねる。
銃は何度か使用してきた。扱いには十分に慣れたつもりだ。そこに何か問題があるのだろうか。東は、マガジンを抜いて、自分の銃に弾丸が入っているのを確認した。
「俺達は、まだ、銃に関しては素人同然だ。本当は、生きた人間の方が望ましいんだが......」
「......つまり、使徒を使って銃の扱い学ぶと?」
「そうだ、今までは俺達を襲ってきた不届き者だけをやってきたが、今回ばかりは少し違う。安部さん、アンタを死なせないためにすることなんだって事を、ちゃぁんとわかってくれよ?」
東は、車を降りると、目の前にある破られた玄関を睨目つける。這いずったような血の跡が、玄関の縁石から外へ伸びている。転化した何者かが、ここにはいたようだ。安部に目を配り、顎で行き先を告げる。玄関を抜けると、サウナに入ったような異様な熱気が二人を包み込んだ。熱のある大量の血液が流れた証拠だろう。裏付けをするように、階段の昇り口には血溜まりが出来ていた。
東は、懐かしい臭いだ、と唇を三日月に歪めた。
「籠城してたが、扉を破られて引きずり出されたってとこかな」
「いえ、それは違いますね」
東は、異を唱えた安部に振り返る。
「あ?なんかあったのか?」
「あれを見てください」
安部は階段の上部を指差した。
東は、安部を玄関前に待たせ、階段を堂々と上がっていく。別段、変わった所はないように感じ、階下にいる安部に手を振ったが、首を横に振られてしまう。
「階段の手摺ですよ」
手摺、とオウム返した東は、重点的に手摺を擦り、ある箇所を発見した。誰かが握ったような血痕がある。それも、かなり強く握っているようだ。
階段から落ちまいと、必死に掴んだような跡は、下へと鋭く伸びている。誰かが、ここで転化する前の、まだ生きている人間を突き落としているという確かな証左にも思えた。
そうなると、東に微かな疑念が生じる。その突き落とした人間は、今、どこにいるのか。
首筋に違和感が走る。いつもそうだ。何かがある時、人間は本能的に危険を察する。
「東さん!後ろ!」
安部の叫び声に振り返る途中、東のこめかみに銃口が突きつけられた。
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