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世界終わろう委員会
幕間:止まった時計が回りだす 前半
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その日は、雲一つない快晴だった。眩しい太陽に目を細めながら、窓の外を眺める。
学校に復帰してしばらく経ち、ようやく休んでいた間に進んでいた授業に追いついて、いつも通りの日常が回りはじめた。
それでも暫くは、クラスメイト達と積極的に会話をしようとは思えなかった。
そのため、休み時間はジッと席に座って、窓の外をボーッと眺めることが多くなっていた。
そんな僕の態度をどう思ったのかは知らないが、クラスメイト達も僕にわざわざ話しかけてくる事はなかった。
この日までは。
「なぁ。紀美丹」
あまり会話をした覚えもない、教室の隅で良くスマホを弄ってるクラスメイトが声をかけてきた。
煩わしさを感じながらも、平静に努める。
「なんですか? 水城君」
「お前って尾張さんと仲良かったよな」
胸の奥がザワザワとさざなみだつ。
「・・・・・・。それがなにか?」
「いや、葬式来なかったからなんでかなぁって気になって?」
あなたには関係ないでしょう。という言葉をのみこむ。わざわざ波風を立てる必要性もない。
「まぁ、風邪ひいてましたから」
だからといって、本当のことを言う必要性も感じなかったので、とりあえずそう返す。
「いやでもさ、仲良かった奴の葬式はちょっとぐらい風邪ひいてても行かない? 普通」
「・・・・・・なにが、言いたいんですか?」
その勿体つけたような言い方に少し苛立つ。
「いや、その、尾張さんの事件の犯人、まだ捕まってないじゃん? それでさ・・・・・・」
そのクラスメイトは、その先を言いづらそうにしていた。
「いや、俺たちも不安なわけよ。もしかしたらって」
「はぁ?」
全くなにを言いたいのか、つかめない。
「いま、噂になってんだけどさ」
「噂?」
口の端を歪めながら、有名人のゴシップでも語るように、
「尾張さんの事件の犯人」
その言葉は告げられた。
それは、僕の興味を強烈に引きつけた。
「お前じゃないよな?」
「・・・・・・はぁ?」
興味というか、拳がクラスメイトの顔面に引きつけられた。
学校に復帰してしばらく経ち、ようやく休んでいた間に進んでいた授業に追いついて、いつも通りの日常が回りはじめた。
それでも暫くは、クラスメイト達と積極的に会話をしようとは思えなかった。
そのため、休み時間はジッと席に座って、窓の外をボーッと眺めることが多くなっていた。
そんな僕の態度をどう思ったのかは知らないが、クラスメイト達も僕にわざわざ話しかけてくる事はなかった。
この日までは。
「なぁ。紀美丹」
あまり会話をした覚えもない、教室の隅で良くスマホを弄ってるクラスメイトが声をかけてきた。
煩わしさを感じながらも、平静に努める。
「なんですか? 水城君」
「お前って尾張さんと仲良かったよな」
胸の奥がザワザワとさざなみだつ。
「・・・・・・。それがなにか?」
「いや、葬式来なかったからなんでかなぁって気になって?」
あなたには関係ないでしょう。という言葉をのみこむ。わざわざ波風を立てる必要性もない。
「まぁ、風邪ひいてましたから」
だからといって、本当のことを言う必要性も感じなかったので、とりあえずそう返す。
「いやでもさ、仲良かった奴の葬式はちょっとぐらい風邪ひいてても行かない? 普通」
「・・・・・・なにが、言いたいんですか?」
その勿体つけたような言い方に少し苛立つ。
「いや、その、尾張さんの事件の犯人、まだ捕まってないじゃん? それでさ・・・・・・」
そのクラスメイトは、その先を言いづらそうにしていた。
「いや、俺たちも不安なわけよ。もしかしたらって」
「はぁ?」
全くなにを言いたいのか、つかめない。
「いま、噂になってんだけどさ」
「噂?」
口の端を歪めながら、有名人のゴシップでも語るように、
「尾張さんの事件の犯人」
その言葉は告げられた。
それは、僕の興味を強烈に引きつけた。
「お前じゃないよな?」
「・・・・・・はぁ?」
興味というか、拳がクラスメイトの顔面に引きつけられた。
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