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僕の異世界生活

長老 

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 しばらく進むと、巨大な白い石が規則的に積まれたまるでストーンヘンジのようなものが見えてきた。

 これは、やっぱりこの軟体生物あたりが積んだのだろうか。

 コミュニケーション能力的にある程度の文明がある可能性は考えていたけど、こういうパターンかぁ。

 まぁ、軟体生物の再生能力の高さと、エネルギー効率の良さを考えると、食文化は発展しないだろうし、衣服も必要ない。

 唯一外敵から身を守るための住居は発展しそうなものだけど、これは住居って言えるのかな?

 隙間が広すぎて、あの黒い影が余裕で侵入してきそうだけど。

 まあ、とりあえずなにもない砂の大地よりはマシなので、ストーンヘンジ擬に近づいていく。

 どうせなら、洞穴とかが良かったなぁ。また、黒い影がいるかもしれないけど。

 すると、どうやら先客がいるようだった。

 その生物は、軟体生物ととても似通った見た目をしていた。
 ただ、僕らにはない細かい髭のようなものが顔? の周りに生えていた。

 長老かな?
 
「こんにちわ。いい天気ですね」

 という、気持ちを込めて、触手を動かす。

 長老(仮)は僕の行動を見ると、触手をウネウネと動かし始める。
 そして、いきなり触手を伸ばして僕に絡み付こうとしてくる。
 それを間一髪で避ける。

 ふっ。甘いな! 二度ある事は三度ある。二度も同じ失敗を繰り返している僕が警戒しないはずがないだろう!

 初撃を避けられた長老(仮)は、ゆっくりと僕に向き直ると、甲高い叫び声のようなものをあげる。

 それに呼応したように、僕にくっついていた二体の軟体生物がビクリとふるえる。

 そして、なぜか僕の動きを封じるように触手を絡ませてくる。

 おのれ、裏切るつもりか! お前ら!

 身動きが取れない僕に悠々と近づいてきた長老(仮)は、僕の背後をとるように絡みついてくる。

 くそっ! やめろ! はなせ! 三体目とかふざけるなよ! これ以上増えられてたまるか!

 そんな僕の声にならない悲痛な叫びとは裏腹に長老(仮)は僕の身体に完全に密着して、動きを止める。

 それが合図だとでもいうように、二匹の軟体生物は僕の拘束を緩める。

 僕は、ストーンヘンジ擬に近づくと、背中を向けて、長老(仮)を壁面に擦り付ける。

 長老(仮)は、グネグネ形を変えるがまるでこたえていないようだ。

 どうにか、これをすり潰せないかと仄暗い感情が沸沸と湧き上がってくるが、この軟体生物を傷つけられるのは、今のところあの黒い影くらいしかないようだ。

 仕方がないので、軟体生物達の処分は保留することにした。

 それよりも、現在考えなければいけないのは住居の問題である。
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