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鰥寡孤独の始まり
27. 探索
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セイファー歴 756年 4月7日
新しい館の基礎工事がようやく終わった。あくまでも基礎工事が、である。空堀を掘ってその土を盛土すると館の高さは地面より三メートル上の高さとなった。櫓を建てる予定の場所に至っては五メートルは高くなってるだろう。
しかも空堀を掘ってあるので体感としては普通の場所だとしても五メートルの急斜面に見える。これであれば攻め込まれても安易に落ちることはない。
この土台は掘るよりも積み上げる方が大変だった。ただ積み上げては崩れてしまうので、積み上げては踏み固める作業の連続であった。
セルジュとバルタザークは館へと続く唯一の階段を昇り、上へと上がる。そこはサッカーコート程度の広さの丘であった。本来はもっと広く作りたかったのだが、たかが数十人の力ではこれが限界であった。むしろ二週間であれば頑張った方ではないだろうか。
「流石に館を自分たちで建てることはできないけどグィルスケたちの小屋くらいであればつくれるよね」
「まぁ作れないことは無いが……なんだそのグィルスケってのは」
「なにってオスのヤグィルの名前」
セルジュは丘の隅にヤグィル用の小屋を作って欲しいとバルタザークにおねだりをした。バルタザークは指示を出そうとしたところ、セルジュが待ったをかけた。
「ごめん、やっぱなし。それよりもやって欲しいことがあった」
「何だ?」
「それはね、計測」
ここからバルタザーク隊の地獄が始まった。セルジュがお願いしたのは新しい領主館から半径五キロメートルを詳細に調べるという作業であった。つまり、地図の作成である。
本来であれば新しくアシュティア領の計測を行いたいところではあるが人手が足りない。まずは周囲の地形を把握して襲撃があった場合の糧とする必要があるとセルジュは判断したのだ。
バルタザークは絵心がある者とそうではない者で二人一組を作成し六方向に向けて兵を散開させた。そして残されたバルタザークとセルジュがグィルスケたちの小屋をつくることとなった。
新しい館の基礎工事がようやく終わった。あくまでも基礎工事が、である。空堀を掘ってその土を盛土すると館の高さは地面より三メートル上の高さとなった。櫓を建てる予定の場所に至っては五メートルは高くなってるだろう。
しかも空堀を掘ってあるので体感としては普通の場所だとしても五メートルの急斜面に見える。これであれば攻め込まれても安易に落ちることはない。
この土台は掘るよりも積み上げる方が大変だった。ただ積み上げては崩れてしまうので、積み上げては踏み固める作業の連続であった。
セルジュとバルタザークは館へと続く唯一の階段を昇り、上へと上がる。そこはサッカーコート程度の広さの丘であった。本来はもっと広く作りたかったのだが、たかが数十人の力ではこれが限界であった。むしろ二週間であれば頑張った方ではないだろうか。
「流石に館を自分たちで建てることはできないけどグィルスケたちの小屋くらいであればつくれるよね」
「まぁ作れないことは無いが……なんだそのグィルスケってのは」
「なにってオスのヤグィルの名前」
セルジュは丘の隅にヤグィル用の小屋を作って欲しいとバルタザークにおねだりをした。バルタザークは指示を出そうとしたところ、セルジュが待ったをかけた。
「ごめん、やっぱなし。それよりもやって欲しいことがあった」
「何だ?」
「それはね、計測」
ここからバルタザーク隊の地獄が始まった。セルジュがお願いしたのは新しい領主館から半径五キロメートルを詳細に調べるという作業であった。つまり、地図の作成である。
本来であれば新しくアシュティア領の計測を行いたいところではあるが人手が足りない。まずは周囲の地形を把握して襲撃があった場合の糧とする必要があるとセルジュは判断したのだ。
バルタザークは絵心がある者とそうではない者で二人一組を作成し六方向に向けて兵を散開させた。そして残されたバルタザークとセルジュがグィルスケたちの小屋をつくることとなった。
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