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45.閑話(セルク視点)
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気が付いた時には、自分は暗い空間に閉じ込めらえていた。
ここはどこ? 僕は誰?
暗闇に問いかけるけれど、誰も答えてくれない。
何かの気配を感じて暗闇の中少年がふりむくと、壁にぽわっと光がともり、そこに景色が映る。泣く女の人とそれを慰める男の人。
これは――パパとママ?
少年は映った景色に手を伸ばすけれどその景色はすぐ消えてしまう。
そして自分の体が映る。
薄暗い石造りの建物の中に鎖に繋がれて、口も眼も塞がれて魔方陣の上に閉じ込められている。
時々神官服を着た人がやってきては、自分の前で何か呪文を唱えるけれど、神官達は勝手に血を吐き出して少年の前で死んでいく。
騎士たちが剣を振り上げてきたこともあったけれど、やはり騎士は勝手に体がみじん切りのようになって死んでいった。
少年は映し出されるその光景をただぼんやりと眺めるしかできなかった。
僕は何なんだろう?
何も記憶がない、でも知識はある。
なぜか映って縛られた少年が自分だと認識でき、騎士や神官も認識できるのだ。
―お前は器だ。自我などいらぬ、消えてしまえ―
どこからか声が聞こえた。
器?なんのこと?あなたは誰?
少年の問いに帰ってきたのは、激痛だった。
痛い、痛い、痛い。
頭が割れるように痛い。
助けて、助けて、助けて神様。
どうして僕はずっと一人なの?誰も声をかけてくれないの?なんで毎日痛いの?
何で縛られて動けないの?
嫌だよ、もう嫌だ、お願い誰か助けて。
真っ暗な空間にまた光が見える。
この光をたどっていけば助かるの?お願いもう嫌だ助けて!
少年が手を伸ばした途端、そこには少年より少し小さいくらいの男の子が立っていた。
「痛いの?」
少年があどけない表情で聞いてくる。
痛いよ、とても痛い。なんで僕だけこんな目にあわないといけないの?僕が何かしたの?
「わからない。でも大丈夫!」
そういって少年は微笑んだ。
「この俺ロイ様が助けてあげるから!」
金髪の少年が微笑んで、そこでセルクは目を覚ました。
「……夢」
幼少期の夢にうなされて、そこでセルクは眼を覚ました。
のそりとベッドから起き上がる。
黒の塔の七賢者だけに与えられる豪華な部屋。高価な調度品と研究資料で埋め着くされた自室であることを確認してセルクはため息をつく。
ロイがデデルに呪具で誘拐され、無事に戻ってきてから、みっともなく泣いてしまったのが恥ずかしくて、ロイを置いて一人塔に戻ってしまった。それから不安からか毎日幼少期の夢を見てしまう。
魔力暴走の呪いで閉じ込められていたのをロイに助けられてから、セルクはロイに引き取られた。
それでも城での生活も決して安心できるものではなかった。
呪われた子と陰口をたたかれて、肩身の狭い思いもした。
幼少期のロイは今ほど絶対的権力をもっていなく、立場の弱い第三王子という立場だったため、ロイに向けられるはずの嫌がらせが全てさらに立場の弱いセルクに向いてしまったのだ。
「お前なんか宮廷魔術師になれるわけがない」
城でそう貴族達に悪口を言われた反論できず、暴力を振るわれそうになったとき、駆けつけてくれたのはロイだった。
「当たり前だ!セルクはもっとすごいんだ!こんな小国の宮廷魔術師なんかスケールの小さいものになってたまるか! お前らとちがって優秀なんだ!七賢者になれる人材なんだからひれ伏せ!」
と、全力で駆けつけ、全力で虐めた貴族の神経を逆なでしてくれて喧嘩に発展した。
ロイのためにと反論も反撃も我慢していたのに、ロイが颯爽と現れて全力でぶち壊してくれたのだ。
思わずセルクは天を仰ぎたくなったが、ロイはわざと暴力を受けて大げさに騒ぎ、嘘に真実を織り交ぜて、貴族たちを悪者にしたてあげその貴族達を城に入城することを禁止してくれた。そのおかげでセルクを虐めると、ロイに陥れられるとセルクを悪く言うものはいなくなった。今思えば、ロイの悪知恵はあのころから存分に発揮されていたのである。
今、フローラを全力で守っていたように、過去にはロイはセルクを全力で守っていた。
まだ小さく、ロイ自身も身分の低い第三妃の子ということで立場の確立していない時期に、あれこれと策謀を巡らせては敵を容赦なく陥れていった。
守ると宣言したものに、彼はいつだって誠実だった。
そしていつだって無謀だ。自分が傷つくことすら厭わず守ろうとする。
セルクが黒の塔に修業に行きしばらく戻ってこれないと決まった時、ロイは胸を張ってこういった。
「お前が戻ってくるまでにこの国の権力は俺が掌握しておくから、セルクは安心して黒の塔の七賢者になってこい!」
「一国の王子と大陸を聖王国と二分するほどの権力をもつ黒の塔の最高峰になるのでは難易度が違いすぎる気がするのですが」
「当たり前だろ。お前の方が俺より優秀なんだから。難易度が高いのは当然だ!」
そう言ってロイが笑って送り出してくれた時、必ず彼の期待に応えようと高見を目指した。七賢者になる際、シューゼルク王国の王子に肩入れしすぎていると反対されても、その反論を黙らせるほどの実力を行使して七賢者の地位を手に入れた。
七賢者の中でも、セルクより力をもつのは一人だろう。
それも七賢者の中でも存在自体が謎な初代賢者といわれる、エルフの大賢者くらいだ。
黒の塔を設立した創始者で、生きているのか死んでいるのか七賢者のセルクですらわからない謎の人物。彼を除けば、魔力の実力的にはセルクを超えるものはいないだろう。
それだけの高みにセルクはいる。
それなのに――呪具の前に手も足もでなかった。ロイを守り切れなかった。
結局ロイは自力で脱出し、セルクは心配することしかできなかったのだ。
もっと力を持たないと――。
でなければあの無謀王子は守れない。
幼き頃、ロイに暗闇から引き出してもらったその瞬間、頭に響いた声が脳裏によぎる。
―器を奪いしもの、決して許さん、いつか必ず滅びを―
あの声が一体何を意味するのか。
そして自分の幼き時の魔力暴走の呪いの原因は何だったのか。
七賢者になった今でも、まだわからない事ばかりなのだ。
だからいつか彼が何かに命を奪われてしまうのではないかという不安がいつもつきまとっている。
必ず王子は守る。自分のすべてを捧げても。だからもっと強く――。
セルクは手を伸ばす。
「誰にも負けない力を―――」
ゆらりと手の先に黒い何かが見えた気がしてセルクは、目を凝らした。
けれどそれ以上何もなく、セルクはため息をつく。
どうやら高度な魔法の乱発で目にまでダメージを負ったらしい。
「……寝るか」
セルクは大きく息を吐くのだった。
ここはどこ? 僕は誰?
暗闇に問いかけるけれど、誰も答えてくれない。
何かの気配を感じて暗闇の中少年がふりむくと、壁にぽわっと光がともり、そこに景色が映る。泣く女の人とそれを慰める男の人。
これは――パパとママ?
少年は映った景色に手を伸ばすけれどその景色はすぐ消えてしまう。
そして自分の体が映る。
薄暗い石造りの建物の中に鎖に繋がれて、口も眼も塞がれて魔方陣の上に閉じ込められている。
時々神官服を着た人がやってきては、自分の前で何か呪文を唱えるけれど、神官達は勝手に血を吐き出して少年の前で死んでいく。
騎士たちが剣を振り上げてきたこともあったけれど、やはり騎士は勝手に体がみじん切りのようになって死んでいった。
少年は映し出されるその光景をただぼんやりと眺めるしかできなかった。
僕は何なんだろう?
何も記憶がない、でも知識はある。
なぜか映って縛られた少年が自分だと認識でき、騎士や神官も認識できるのだ。
―お前は器だ。自我などいらぬ、消えてしまえ―
どこからか声が聞こえた。
器?なんのこと?あなたは誰?
少年の問いに帰ってきたのは、激痛だった。
痛い、痛い、痛い。
頭が割れるように痛い。
助けて、助けて、助けて神様。
どうして僕はずっと一人なの?誰も声をかけてくれないの?なんで毎日痛いの?
何で縛られて動けないの?
嫌だよ、もう嫌だ、お願い誰か助けて。
真っ暗な空間にまた光が見える。
この光をたどっていけば助かるの?お願いもう嫌だ助けて!
少年が手を伸ばした途端、そこには少年より少し小さいくらいの男の子が立っていた。
「痛いの?」
少年があどけない表情で聞いてくる。
痛いよ、とても痛い。なんで僕だけこんな目にあわないといけないの?僕が何かしたの?
「わからない。でも大丈夫!」
そういって少年は微笑んだ。
「この俺ロイ様が助けてあげるから!」
金髪の少年が微笑んで、そこでセルクは目を覚ました。
「……夢」
幼少期の夢にうなされて、そこでセルクは眼を覚ました。
のそりとベッドから起き上がる。
黒の塔の七賢者だけに与えられる豪華な部屋。高価な調度品と研究資料で埋め着くされた自室であることを確認してセルクはため息をつく。
ロイがデデルに呪具で誘拐され、無事に戻ってきてから、みっともなく泣いてしまったのが恥ずかしくて、ロイを置いて一人塔に戻ってしまった。それから不安からか毎日幼少期の夢を見てしまう。
魔力暴走の呪いで閉じ込められていたのをロイに助けられてから、セルクはロイに引き取られた。
それでも城での生活も決して安心できるものではなかった。
呪われた子と陰口をたたかれて、肩身の狭い思いもした。
幼少期のロイは今ほど絶対的権力をもっていなく、立場の弱い第三王子という立場だったため、ロイに向けられるはずの嫌がらせが全てさらに立場の弱いセルクに向いてしまったのだ。
「お前なんか宮廷魔術師になれるわけがない」
城でそう貴族達に悪口を言われた反論できず、暴力を振るわれそうになったとき、駆けつけてくれたのはロイだった。
「当たり前だ!セルクはもっとすごいんだ!こんな小国の宮廷魔術師なんかスケールの小さいものになってたまるか! お前らとちがって優秀なんだ!七賢者になれる人材なんだからひれ伏せ!」
と、全力で駆けつけ、全力で虐めた貴族の神経を逆なでしてくれて喧嘩に発展した。
ロイのためにと反論も反撃も我慢していたのに、ロイが颯爽と現れて全力でぶち壊してくれたのだ。
思わずセルクは天を仰ぎたくなったが、ロイはわざと暴力を受けて大げさに騒ぎ、嘘に真実を織り交ぜて、貴族たちを悪者にしたてあげその貴族達を城に入城することを禁止してくれた。そのおかげでセルクを虐めると、ロイに陥れられるとセルクを悪く言うものはいなくなった。今思えば、ロイの悪知恵はあのころから存分に発揮されていたのである。
今、フローラを全力で守っていたように、過去にはロイはセルクを全力で守っていた。
まだ小さく、ロイ自身も身分の低い第三妃の子ということで立場の確立していない時期に、あれこれと策謀を巡らせては敵を容赦なく陥れていった。
守ると宣言したものに、彼はいつだって誠実だった。
そしていつだって無謀だ。自分が傷つくことすら厭わず守ろうとする。
セルクが黒の塔に修業に行きしばらく戻ってこれないと決まった時、ロイは胸を張ってこういった。
「お前が戻ってくるまでにこの国の権力は俺が掌握しておくから、セルクは安心して黒の塔の七賢者になってこい!」
「一国の王子と大陸を聖王国と二分するほどの権力をもつ黒の塔の最高峰になるのでは難易度が違いすぎる気がするのですが」
「当たり前だろ。お前の方が俺より優秀なんだから。難易度が高いのは当然だ!」
そう言ってロイが笑って送り出してくれた時、必ず彼の期待に応えようと高見を目指した。七賢者になる際、シューゼルク王国の王子に肩入れしすぎていると反対されても、その反論を黙らせるほどの実力を行使して七賢者の地位を手に入れた。
七賢者の中でも、セルクより力をもつのは一人だろう。
それも七賢者の中でも存在自体が謎な初代賢者といわれる、エルフの大賢者くらいだ。
黒の塔を設立した創始者で、生きているのか死んでいるのか七賢者のセルクですらわからない謎の人物。彼を除けば、魔力の実力的にはセルクを超えるものはいないだろう。
それだけの高みにセルクはいる。
それなのに――呪具の前に手も足もでなかった。ロイを守り切れなかった。
結局ロイは自力で脱出し、セルクは心配することしかできなかったのだ。
もっと力を持たないと――。
でなければあの無謀王子は守れない。
幼き頃、ロイに暗闇から引き出してもらったその瞬間、頭に響いた声が脳裏によぎる。
―器を奪いしもの、決して許さん、いつか必ず滅びを―
あの声が一体何を意味するのか。
そして自分の幼き時の魔力暴走の呪いの原因は何だったのか。
七賢者になった今でも、まだわからない事ばかりなのだ。
だからいつか彼が何かに命を奪われてしまうのではないかという不安がいつもつきまとっている。
必ず王子は守る。自分のすべてを捧げても。だからもっと強く――。
セルクは手を伸ばす。
「誰にも負けない力を―――」
ゆらりと手の先に黒い何かが見えた気がしてセルクは、目を凝らした。
けれどそれ以上何もなく、セルクはため息をつく。
どうやら高度な魔法の乱発で目にまでダメージを負ったらしい。
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セルクは大きく息を吐くのだった。
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