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第14話 倫理観おかしい
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「見ろキルディス!ダンジョンを生成できるうえにモンスターまで召喚できるようになったぞ!」
魔族のおかげで迷宮をレベルアップさせたあと、迷宮のレベルがあがったことでやれることがぐっと増えた。
迷宮で簡易なマップ作製ができるようになり、レベル55までの敵とレベル55までのドロップするアイテムを生成できるようになったのだ。
「マスター。ついでに魂吸収のレア・プレストも生成したほうがいい。それがないと魂吸収できない」
カルナのセリフに俺は頷いた。
とりあえずこれから殺すことになる人間達の魂を吸収するための水晶をつくっておかないと。ステータス画面で生成のボタンを押すとダンジョンの真ん中に魂を吸収する宝珠が完成する。俺はそれを二つつくりあげた。
一つがこのダンジョンの魔物の吸収用。もう一つが死んだ人間の魂の吸収用。
「とりあえず人間のかわりに魔王に吸収させる魂を狩らないとな」
「レベルの低いモンスターは魂レベル低い。魔物10匹倒して人間一人分くらい」
カルナの説明に、俺はふむと頷いた。
「少し確認しておきたい。ここで生成されるモンスターって結局なんなんだ?吸い込んだ魔族のパワーをつかっているのか? 魔族の魔力を使い切ったらダンジョンがレベル1に戻るのか?」
「違う。レベルが上がればできることが増える。それだけ。マスターが死んだりかわったりすると迷宮はまたレベル0に戻るだけ。同じマスターなら平気。パワーは別の所。神よりもさらに上の存在まばゆきもの創造神の力。この深淵の迷宮はある意味「神」より創造主に近い存在。観念のあるものならいくらでも創造できる」
「つまりその迷宮の主人である俺は神ということか!」
俺が決めポーズで言うと、カルナは頷いた。
「ある意味神よりも神。創造できしもの、真理に接する権利を有するただ一つの存在」
「この人が神とか世界滅びません?」
珍しそうに魂の水晶を触っていたキルディスが冷や汗をかきながら言う。
「否定できない」
きっぱりと答えるカルナ。
「お前ら俺の事なんだと思ってるんだよ」
「ゲス中のゲス」
「人の姿をした悪魔」
カルナとキルディスが速攻でかえしてくる。
「よし、一度お前らとはじっくり話会う必要があるな。マスターの威厳をみせないと」
俺が武器をとりだすと、
「申し訳ありません」
「カルナ、謝罪する」
土下座する二人。うむ、素直でよろしい。まぁ、間違いではないがたまには風紀を正す必要はあるだろう。一応俺マスターだし。
「それじゃあ、さっそくレベル上げ&魂吸収装置をつくるぞ」
「装置ですか?」
キルディスとカルナが画面をのぞき込んできた。
「当たり前だろ ダンジョンマップ作製能力! 床や壁のダメージ判定からトラップ及びワープ、回復装置の設置! モンスタースポナー設定!これだけ条件を揃えられたら、モンスターを勝手に倒して経験値や魂、アイテムを勝手に収集する自動化装置をつくらないのは、失礼にあたる!! これは製作者へ愛をこめて最善の自動モンスター虐殺装置をつくるのがゲーマーとしての定め」
俺が拳を握りしめる。
「わからない単語が多いので言ってる事はよくわかりませんが、たぶんきっと恐ろしい事を言ってるのはわかります」
「キルディスの予想正しい。このマスター、いろいろ倫理観おかしい」
こそこそ陰で話すキルディスとカルナ。ふっ、仲良き事は美しきかな。
部下二人が一致団結するのはいいことだ。憎まれ役を買うのもいいだろう。
ダンジョンマップ作製というゲーマー勝負の前に二人の悪口など、些細な事。
「用いる全て物のデータを把握し、トラップでの死亡演出による、魂と経験値の量、スポーンするまでの演出時間すべてのデータを計算し、最短、最善の経験値トラップを俺は作成してみせる!! 廃ゲーマーの名にかけて!!!」
はーっはっはと笑いながら言う俺と
「あの人はいつも何と戦っているのでしょう」
「常人では理解できない、なにか」
背後で何やら言う二人が突っ込んでいるのだった。
★★★
「第三皇子が牢で自害していた?」
部下の報告に皇帝はため息をついた。もともと皇子など使い捨ての駒だ。
魔族と取引をして不死の薬さえ手に入れてしまえば、跡継ぎなど必要ないのだから。
「はっ。ですが少しばかり不審点はありますが」
「調査は必要ない、適当に処理しておけ」
皇帝の言葉に部下が頭を垂れさがっていく。
皇子が死んだと思われるその時に膨大の魔力を感じた。
大方帝国で暗躍している魔族にでも自殺そそのかされたのだろう。
帝国国内で中位の魔族が数名活動していることは把握している。
魔族は統率がとれておれず、個別行動しているため、全てを把握することは難しい。皇帝の計画に害を与えてくるなら、四天王に指示を仰ぐが、勝手に暗躍する分には問題ないだろう。四天王が皇帝を見張っているため、皇帝に害となると思えば四天王が勝手に処理してくれるはず。魔王復活の兆しが見えた今、魔族たちが活性化するのは計算のうちだ。
「それより問題は……」
テーブルに広げられた地図に目を落とす。
魔王は復活するさいに膨大な量の魂を欲する。戦争で多くの血を流し、魔王に魂を捧げなければならない。そろそろ大賢者が活発になった魔族の動きを察して動きだす頃あいだ。
エルフの大賢者は神との掟で【魔王が関係ない人間同士の戦争には手を出してはならない】という誓いがあるため、人間同士の争いには関与できない。
それ故魔族は、皇帝に取引をもちかけたのだ。
戦争をおこし、魔王復活のために魂をささげよと。
エルフの大賢者に魔王復活が近づいている証拠を握られてしまえば、エルフの大賢者は人間同士の争いにも関与してきてしまう。
(もうすでに復活のために魔王は魂を吸収しだしている。大賢者が証拠を握る前にある程度の魂を捧げておくべきだ)
思いながら地図にチェスの駒を置く。
(まずはここだ。聖王国ディアンと帝国の境にある国境の要塞。あそこは魔王の魂の吸収範囲になっている)
魔王は誕生する際、魂を吸収する生贄の場所を選定しだす。
その場所はランダムで魂の吸収範囲になっているかは高位の魔族にしかわからない。帝国はまだ範囲外だが聖王国の国境付近は魔王の魂の吸収範囲にはいっている。
あそこで一度大きな戦争を起こし人間を数多く殺しておけば、かなり魔王の魂の吸収範囲は広がるだろう。
(あそこで人を多く殺し、魔王の魂吸収範囲を広げるべきだ)
そういってチェスのルークの駒を聖王国を守る砦に置いた。
そして隣にあったナイトの駒に目を向ける。
(……ついでだ、一応魔族に脅威になる属性持ちの第一皇女も殺しておいたほうがいい。あそこで殺して魔王様に魂を捧げておくべきだな)
ナイトの駒をもう一つのナイトの駒で弾き飛ばすと、皇帝はふむと顎に手を添えた。
(第四皇子が第一皇女を毛嫌いしていたはずだ。あれに古代遺跡から見つかった【神時のゴーレム】という超兵器を渡して第一皇女もろとも聖王国ディランを破壊させる。大量虐殺は【神時のゴーレム】に魂を乗っ取られた第四皇子の暴走という事で幕引きをはかればいいだろう――。急がねば、自らが年老いてからでは遅いのだから)
皇帝はにんまりと笑うのだった。
魔族のおかげで迷宮をレベルアップさせたあと、迷宮のレベルがあがったことでやれることがぐっと増えた。
迷宮で簡易なマップ作製ができるようになり、レベル55までの敵とレベル55までのドロップするアイテムを生成できるようになったのだ。
「マスター。ついでに魂吸収のレア・プレストも生成したほうがいい。それがないと魂吸収できない」
カルナのセリフに俺は頷いた。
とりあえずこれから殺すことになる人間達の魂を吸収するための水晶をつくっておかないと。ステータス画面で生成のボタンを押すとダンジョンの真ん中に魂を吸収する宝珠が完成する。俺はそれを二つつくりあげた。
一つがこのダンジョンの魔物の吸収用。もう一つが死んだ人間の魂の吸収用。
「とりあえず人間のかわりに魔王に吸収させる魂を狩らないとな」
「レベルの低いモンスターは魂レベル低い。魔物10匹倒して人間一人分くらい」
カルナの説明に、俺はふむと頷いた。
「少し確認しておきたい。ここで生成されるモンスターって結局なんなんだ?吸い込んだ魔族のパワーをつかっているのか? 魔族の魔力を使い切ったらダンジョンがレベル1に戻るのか?」
「違う。レベルが上がればできることが増える。それだけ。マスターが死んだりかわったりすると迷宮はまたレベル0に戻るだけ。同じマスターなら平気。パワーは別の所。神よりもさらに上の存在まばゆきもの創造神の力。この深淵の迷宮はある意味「神」より創造主に近い存在。観念のあるものならいくらでも創造できる」
「つまりその迷宮の主人である俺は神ということか!」
俺が決めポーズで言うと、カルナは頷いた。
「ある意味神よりも神。創造できしもの、真理に接する権利を有するただ一つの存在」
「この人が神とか世界滅びません?」
珍しそうに魂の水晶を触っていたキルディスが冷や汗をかきながら言う。
「否定できない」
きっぱりと答えるカルナ。
「お前ら俺の事なんだと思ってるんだよ」
「ゲス中のゲス」
「人の姿をした悪魔」
カルナとキルディスが速攻でかえしてくる。
「よし、一度お前らとはじっくり話会う必要があるな。マスターの威厳をみせないと」
俺が武器をとりだすと、
「申し訳ありません」
「カルナ、謝罪する」
土下座する二人。うむ、素直でよろしい。まぁ、間違いではないがたまには風紀を正す必要はあるだろう。一応俺マスターだし。
「それじゃあ、さっそくレベル上げ&魂吸収装置をつくるぞ」
「装置ですか?」
キルディスとカルナが画面をのぞき込んできた。
「当たり前だろ ダンジョンマップ作製能力! 床や壁のダメージ判定からトラップ及びワープ、回復装置の設置! モンスタースポナー設定!これだけ条件を揃えられたら、モンスターを勝手に倒して経験値や魂、アイテムを勝手に収集する自動化装置をつくらないのは、失礼にあたる!! これは製作者へ愛をこめて最善の自動モンスター虐殺装置をつくるのがゲーマーとしての定め」
俺が拳を握りしめる。
「わからない単語が多いので言ってる事はよくわかりませんが、たぶんきっと恐ろしい事を言ってるのはわかります」
「キルディスの予想正しい。このマスター、いろいろ倫理観おかしい」
こそこそ陰で話すキルディスとカルナ。ふっ、仲良き事は美しきかな。
部下二人が一致団結するのはいいことだ。憎まれ役を買うのもいいだろう。
ダンジョンマップ作製というゲーマー勝負の前に二人の悪口など、些細な事。
「用いる全て物のデータを把握し、トラップでの死亡演出による、魂と経験値の量、スポーンするまでの演出時間すべてのデータを計算し、最短、最善の経験値トラップを俺は作成してみせる!! 廃ゲーマーの名にかけて!!!」
はーっはっはと笑いながら言う俺と
「あの人はいつも何と戦っているのでしょう」
「常人では理解できない、なにか」
背後で何やら言う二人が突っ込んでいるのだった。
★★★
「第三皇子が牢で自害していた?」
部下の報告に皇帝はため息をついた。もともと皇子など使い捨ての駒だ。
魔族と取引をして不死の薬さえ手に入れてしまえば、跡継ぎなど必要ないのだから。
「はっ。ですが少しばかり不審点はありますが」
「調査は必要ない、適当に処理しておけ」
皇帝の言葉に部下が頭を垂れさがっていく。
皇子が死んだと思われるその時に膨大の魔力を感じた。
大方帝国で暗躍している魔族にでも自殺そそのかされたのだろう。
帝国国内で中位の魔族が数名活動していることは把握している。
魔族は統率がとれておれず、個別行動しているため、全てを把握することは難しい。皇帝の計画に害を与えてくるなら、四天王に指示を仰ぐが、勝手に暗躍する分には問題ないだろう。四天王が皇帝を見張っているため、皇帝に害となると思えば四天王が勝手に処理してくれるはず。魔王復活の兆しが見えた今、魔族たちが活性化するのは計算のうちだ。
「それより問題は……」
テーブルに広げられた地図に目を落とす。
魔王は復活するさいに膨大な量の魂を欲する。戦争で多くの血を流し、魔王に魂を捧げなければならない。そろそろ大賢者が活発になった魔族の動きを察して動きだす頃あいだ。
エルフの大賢者は神との掟で【魔王が関係ない人間同士の戦争には手を出してはならない】という誓いがあるため、人間同士の争いには関与できない。
それ故魔族は、皇帝に取引をもちかけたのだ。
戦争をおこし、魔王復活のために魂をささげよと。
エルフの大賢者に魔王復活が近づいている証拠を握られてしまえば、エルフの大賢者は人間同士の争いにも関与してきてしまう。
(もうすでに復活のために魔王は魂を吸収しだしている。大賢者が証拠を握る前にある程度の魂を捧げておくべきだ)
思いながら地図にチェスの駒を置く。
(まずはここだ。聖王国ディアンと帝国の境にある国境の要塞。あそこは魔王の魂の吸収範囲になっている)
魔王は誕生する際、魂を吸収する生贄の場所を選定しだす。
その場所はランダムで魂の吸収範囲になっているかは高位の魔族にしかわからない。帝国はまだ範囲外だが聖王国の国境付近は魔王の魂の吸収範囲にはいっている。
あそこで一度大きな戦争を起こし人間を数多く殺しておけば、かなり魔王の魂の吸収範囲は広がるだろう。
(あそこで人を多く殺し、魔王の魂吸収範囲を広げるべきだ)
そういってチェスのルークの駒を聖王国を守る砦に置いた。
そして隣にあったナイトの駒に目を向ける。
(……ついでだ、一応魔族に脅威になる属性持ちの第一皇女も殺しておいたほうがいい。あそこで殺して魔王様に魂を捧げておくべきだな)
ナイトの駒をもう一つのナイトの駒で弾き飛ばすと、皇帝はふむと顎に手を添えた。
(第四皇子が第一皇女を毛嫌いしていたはずだ。あれに古代遺跡から見つかった【神時のゴーレム】という超兵器を渡して第一皇女もろとも聖王国ディランを破壊させる。大量虐殺は【神時のゴーレム】に魂を乗っ取られた第四皇子の暴走という事で幕引きをはかればいいだろう――。急がねば、自らが年老いてからでは遅いのだから)
皇帝はにんまりと笑うのだった。
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