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61話 今更SSクラスに戻れと言われても『もう遅い!』(露骨なタイトル回収)

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「報告です。シリウスの襲撃は聖王国の国王やスペシャルナイト達が魔族を全部倒し、死者は0。
 建物は壊れたらしいですが人的被害は少なかったようです」

 緊急魔族警報が解除され数日後。
 魔術学園サラディウスの理事長室でカディナに教師の一人が報告した。

「それはよかったわ。この国に被害がないようですし。
 さすがは聖王国ですわね」

「それでなのですが……」

「何かあったのかしら?」

「今回の件で、魔王復活が近いかもしれないので、魔族に備えて優秀な人材が育っているかこの目で確かめたいと……一か月後の模擬戦に各国の要人が見学したいと各国の王族から申し込みがきております」

「………え?」

 教師の報告にカディナの動きが止まる。 

 まずいわ。
 なんでよりによって今年なの!?
 今年はマークの邪魔になりそうな能力値の高い平民をCクラスに送ってしまったのよ!?
 ほぼ毎日自習にして、やめさせようとしているのに、辞めない6人は全員能力値が高い平民のはず。
 模擬戦などになれば、嫌でも6人だけのクラスは目立つ。
 そして能力値を見られてしまえば各国の要人に、何故彼らがCクラスなのだ、理事長としての資質がないとカディナは切られてしまうだろう。

 ……それだけは絶対避けないと!!!!!

「今すぐCクラスの全員を退学させなさい!!どんな手段を使っても!!」

「それが、理事長」

「なによっ!?」

「毎年退学者が多すぎる、この命以後、退学者を出すことを許さぬとも命が……」

 教師の言葉にカディナは視界が暗くなるのを感じるのだった。


 ■□■

「SSクラスですよ?あなた達をSSクラスにクラス替え出来るのですよ?」

 理事長室に例の6人を呼び出して、クラス替えを進言すれば

「お断りします。私たちはCクラスで模擬戦に参加します」

 と、眼鏡をかけた代表らしき生徒が理事長に反論した。

「貴方たちは何を言っているのかわかっているのですか!?理事長命令がきけないとでも!?」

「そうだぞ。Cクラスの者がSSクラスになれるなんて、大変名誉な事なんだ。
 受けなさい?な?な?」

 とCクラスの担任が説得に入る。
 けれど青髪の生徒は首を振り

「私達を説得しようとしているなら、諦めてください。
 大方各国要人が見に来る事になったから、僕達を移動させようとしているのでしょうが。
 今更移動して僕達が喜ぶと思っているのでしょうか?」

「……なんですって?あなたは教師を脅すつもりですか?」

「ふふっ。面白い、脅される事をしたという自覚はおありのようだ。
 6人が目立つと思っているのならやめさせた生徒でも戻せばよろしいのでは?
 30人もいるCクラスの子どもの能力値をいちいち鑑定する人もいないでしょう。
 真っ先にSSクラスでCクラスを倒せば何も問題がないじゃないですか」

 と、言う生徒に、ガシャンとカディナは立ち上がった。

 その通りだ。

 辞めさせた生徒に金を払って連れ戻せば目立つ事もない。
 何故こんな簡単な事に気づかなかったのだろう。

「言われなくてもそうしますっ!!!!」

 その言葉に、その場にいた一同が物凄く飽きれた顔をしたことにカディナは気づく事がなかった。


■□■

「まったく、あのガキたちは忌々しい。
 はやくCクラスで辞めて行った連中を連れ戻しなさい!
 金に糸目はつけないわ!!学校の予算からだしておきなさい!!」

 生徒達が部屋からでたのを確認して、カディナが言えば

「………それが」

「今度は何!?」

「昨日から予算を管理する事務所に魔術王国の息のかかった事務員を無理やり入れて来まして……。
 いままでの不正予算は隠しましたが、これ以後の不正な資金運用は無理かと……」

 教師の報告にカディナがわなわなしながら

「一体何がどうなってるのよぉぉぉぉぉ!!」

 と、自らがかけていた眼鏡を床にたたきつけ……

「……あ」 

 とその動きを止めるのだった。
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