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37話 ヴェラルド視点
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ヴェラルドにとってはいつもの事だった。
職場につけば、そのまま首輪をされ犬をやれと命令される。
アリーシャを殺さないことを約束に結んだ奴隷契約であるがゆえ、大神官の命令は逆らえない。
毎日神殿で犬としてあつかわれ、鞭で打たれ、猟犬の群れに放り込まれ死にかける時もある。
それでも――逆らえない。
逆らえば、恩師の子の命を危険にさらすことになる。
前大神官や神官達を殺し神殿を何食わぬ顔で乗っ取った駄天使達は狡猾で、執念深い。
たとえ他国へアリーシャを逃がしたとしても、どこまでも追手を差し向けるだろう。
だからこの奴隷の契約を結ぶしかなかった。
11歳になれば――あの子は解放される。堕天使達の監視下から。
11歳になると同時にアリーシャを自由にする契約で自らの魂を生贄に悪魔の契約をしたのだから。
どんな屈辱的な辱めを受けても、たとえ死にかけても――アリーシャのために自分が我慢すればいいだけの話だ。
仕事の時間さえ終われば、契約通り解放される。
絶対的な服従は神殿の業務時間のみ。
それ以後はあの子の面倒を見る事を約束させた。
だから――仕事が終わるまでの我慢――のはずだった。
「叔父様っ!!!!!」
目を開ければ、そこに居たのはアリーシャだった。
まだ業務中だったはず……何故この子が?
ヴェラルドが目をうっすらと開ければ――自分を心配そうに見つめるアリーシャと、なぜか向かって来る堕天使たちを一瞬で灰にしている、茶髪の少女が立っていた。確かアリーシャの友達のセレスという少女だ。
夢を見ているのだろうか?
視線の先には向かって来る天使達を迷う事なく、手にもつ鎌で切り刻んで消滅させている茶髪の少女。
「セレスさまぁぁぁぁぁ!!何やってるかわかってるんですかぁぁぁぁ!!」
と、少女に抱き着いて泣き崩れるセディスに
「すでに神官は殺され堕天使に全員替わっていたのなら、遠慮はいりませんっ!!!
全員滅するまでですっ!!」
と、ぶんぶん鎌を振り回す少女。
「セレス様!!安心してください!この神殿は魔法で隔離してあります!
外には普通に見えるよう細工してありますっ!!
あとで国の力で証拠をすべて隠匿してしまいましょう!」
「思う存分正義の鉄槌を!!」
と、何やら神殿の屋根の上で騒いでいる眼鏡の男子クライムと茶髪の男子ジャンの二人。
その後ろでは青年ギルが真っ青になって立ち尽くしている。
「いやぁぁぁ君達無駄に深読みで、途中経過は絶対間違ってるのに、最終的にはいつも最適解の行動とってて逆にひくわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
と、少女に抱き着いたセディスが悲鳴をあげていた。
「……一体何が……?」
ヴェラルドがつぶやけば
「もう大丈夫だよ。セレスちゃんが叔父様の首輪の呪いも魔族も倒したから。
もう、こんな事しなくて大丈夫だからっ」
と、泣きながらアリーシャに抱き着かれ、ヴェラルドは目をつぶり思う。
――たぶんこれは幸せを望んだ自分の浅はかな夢なのだろう――と。
職場につけば、そのまま首輪をされ犬をやれと命令される。
アリーシャを殺さないことを約束に結んだ奴隷契約であるがゆえ、大神官の命令は逆らえない。
毎日神殿で犬としてあつかわれ、鞭で打たれ、猟犬の群れに放り込まれ死にかける時もある。
それでも――逆らえない。
逆らえば、恩師の子の命を危険にさらすことになる。
前大神官や神官達を殺し神殿を何食わぬ顔で乗っ取った駄天使達は狡猾で、執念深い。
たとえ他国へアリーシャを逃がしたとしても、どこまでも追手を差し向けるだろう。
だからこの奴隷の契約を結ぶしかなかった。
11歳になれば――あの子は解放される。堕天使達の監視下から。
11歳になると同時にアリーシャを自由にする契約で自らの魂を生贄に悪魔の契約をしたのだから。
どんな屈辱的な辱めを受けても、たとえ死にかけても――アリーシャのために自分が我慢すればいいだけの話だ。
仕事の時間さえ終われば、契約通り解放される。
絶対的な服従は神殿の業務時間のみ。
それ以後はあの子の面倒を見る事を約束させた。
だから――仕事が終わるまでの我慢――のはずだった。
「叔父様っ!!!!!」
目を開ければ、そこに居たのはアリーシャだった。
まだ業務中だったはず……何故この子が?
ヴェラルドが目をうっすらと開ければ――自分を心配そうに見つめるアリーシャと、なぜか向かって来る堕天使たちを一瞬で灰にしている、茶髪の少女が立っていた。確かアリーシャの友達のセレスという少女だ。
夢を見ているのだろうか?
視線の先には向かって来る天使達を迷う事なく、手にもつ鎌で切り刻んで消滅させている茶髪の少女。
「セレスさまぁぁぁぁぁ!!何やってるかわかってるんですかぁぁぁぁ!!」
と、少女に抱き着いて泣き崩れるセディスに
「すでに神官は殺され堕天使に全員替わっていたのなら、遠慮はいりませんっ!!!
全員滅するまでですっ!!」
と、ぶんぶん鎌を振り回す少女。
「セレス様!!安心してください!この神殿は魔法で隔離してあります!
外には普通に見えるよう細工してありますっ!!
あとで国の力で証拠をすべて隠匿してしまいましょう!」
「思う存分正義の鉄槌を!!」
と、何やら神殿の屋根の上で騒いでいる眼鏡の男子クライムと茶髪の男子ジャンの二人。
その後ろでは青年ギルが真っ青になって立ち尽くしている。
「いやぁぁぁ君達無駄に深読みで、途中経過は絶対間違ってるのに、最終的にはいつも最適解の行動とってて逆にひくわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
と、少女に抱き着いたセディスが悲鳴をあげていた。
「……一体何が……?」
ヴェラルドがつぶやけば
「もう大丈夫だよ。セレスちゃんが叔父様の首輪の呪いも魔族も倒したから。
もう、こんな事しなくて大丈夫だからっ」
と、泣きながらアリーシャに抱き着かれ、ヴェラルドは目をつぶり思う。
――たぶんこれは幸せを望んだ自分の浅はかな夢なのだろう――と。
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