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4.最終章
18.対決
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どんよりと空を被った黒い雲。溢れ出る禍々しい気。
ここは帝都より西に位置する、死の丘と呼ばれる、かつて神々の争いの場となったと言われるゲントナの丘。
どこまで続くかわからない地面の割れ目から、ズゴゴゴゴと物凄い音をたて、大地が震えていた。
地下より蠢くその邪悪な気配が、いま地上に姿を表そうとしている。
そう、私はこの感覚を知っていた。
魔獣セファロウスの復活。いく度となくゲーム中のレイド戦で経験したセファロスの復活シーンだ。
私たちはいま、ゲントナの丘にいた。
テオドールが白銀騎士段を率いて、いままさに魔獣と対峙しようとしている。
対魔獣のために集められた白銀騎士団の人数は50。
この日のために訓練された精鋭達を前にテオドールが旗をかかげた。
「さぁ、大神の力を受け継ぐ騎士達よ!
ついに神託に告げられし魔獣の復活の時がきた。
剣をとれ、杖を掲げよ!
地上に住まう全ての生けとし生けるものの命運は我らに託された!
神より告げられし戦いに我らはうち勝とうではないか!」
白銀騎士達より少し上の崖の上にたったテオドールが宣言し
「見せてみよ誇り高き騎士達よ。神々にその忠誠を!」
「見せてみよ勇敢なる勇者達よ。神々にその勇猛さを!」
キラキラと光を纏わせて、いつもよりも2.5倍増しにイケメンのアルファーと、やはりどうやったかは知らないがいつもより光り輝く毛並みのミカエルがテオドールに続く。
そして――コロネが呪文を唱え、聖杯が光輝きながらコロネの頭上に浮かび上がった。
それに合わせるかのように、魔獣の足がズドンと地面から這い上がる。
そう魔獣セファロウスが復活したのだ。
その禍々しいカエルのような風貌の魔獣が。物凄い魔素を放ちながら。
こうして、私達の戦いは始まった。
人類の存亡をかけた戦いが。
△▲△
「アルファー意外とノリノリだったじゃないか」
私の横で空飛ぶアルファーに声をかければ
「茶かさないでください。死ぬほど恥ずかしかったのですから!?」
と、顔を真っ赤にしてアルファーが抗議する。
先程の口上を述べていた時の天使としての威厳はまったくない。
うんうん。アルファーはちょっとお馬鹿な子くらいな方が可愛いと思うの。さっきのアルファーはイケメンすぎた。
そんなことを考えつつ私とアルファーは復活した魔獣に向かって飛んでいた。
エルギフォスもどこかで復活を果たしているはずなのだ、白銀騎士団たちより先に見つけてエルギフォスを引き離さないと、彼らに被害がでてしまう。
「お主ら無駄口を叩いてる暇はないぞ!来るっ!!」
隣を飛んでいたミカエルが吠えれば、
カッ!!
眩しい光が私とアルファーに向かって放たれる。
セファロウスの吐息のブレスだ。
いきなり大技を放ってくるとはゲームの世界とリアルでは違うらしい。
ゲームだったらゲージを貯めなきゃだからいきなり大技はボスはしてこないのだけれど。
しかし避けるのは簡単だが、この攻撃を避ければ、テオドール達にも被害がでてしまう。
私は神力でそのまま大きな盾を作り出し、その攻撃受け止めた。ブレスは盾に弾かれて霧散していく。
「流石マスターだ。セファロスの攻撃すら簡単に弾いてしまうとはな」
ミカエルが言ったその時。
私はゾクリとした悪寒を感じてミカエルを突き飛ばした。
刹那。
ヒュンっ!!
光がミカエルの居た場所を通り過ぎる。
「――んな!?」
ミカエルがそちらを見やれば
「会いたかったぞ、猫まっしぐら」
魔王コロネとまったく同じ声の。見知らぬ男が魔王コロネと同じ鎧を着てぷかぷかと空中に立っていた。
――そう、こいつこそが魔族達の真の王。神々すら凌駕する闇の存在。
「こっちはあまり会いたくはなかったけどな。エルギフォス」
私の言葉に――魔王エルギフォスは残忍な笑を浮かべるのだった。
△▲△
『ミカエル!アルファーは魔獣の方を頼む!』
私がパーティーチャットで指示すれば
『あれは強いぞ!?一人で大丈夫なのか!?』
と、ミカエル。うん。エルギフォスがミカエルが攻撃を察知できないほどの強さとは思わなかった。
――が、ミカエルとアルファーの強さは同じくらい。
二人とも攻撃が察知できないのならかえって邪魔になりかねない。
私も二人を守りながらエルギフォスと闘うのは無理だろう。
それだけエルギフォスは強い。
流石異界の神々とタイマンはって生き残っただけのことはある。
『大丈夫!二人とも魔獣を倒したらこっちのフォローにまわってくれ!
まずは死者がでないよう魔獣を倒すのが先だ!!』
言えば、すぐさまアルファーが行動に移る。
私の周りに盾のスキルを展開し、そのままミカエルを抱えて瞬間移動で姿を消した。
流石アルファーは戦闘に関しては、状況判断が早くて助かる。
エルギフォスの視界の中にいるのはやばいと判断したのだろう。
ミカエルとアルファーの姿が消え、私とエルギフォスが空中で対峙する。
そのはるか向こうではアルファーとミカエルが魔獣との戦闘を開始していた。
「人の身体で随分好き勝手をしてくれたようだが。
だがそれもここで終わる。
あのエルフを殺し歴史をかえ、肉体を取り戻してくれよう」
エルギフォスが半ば独り言のように、つぶやき拳を握り締めた。
「コロネを殺せば、歴史が変わり世界が消滅するだけだろう!?」
「そんな言い分が通用すると思っているのか?
私が、審判の御子を吸収すればいいだけの話だ。
そして――魔族が支配する世界へと作り替える。
貴様はその礎となるがいい」
と、エルギフォス。
魔王コロネと同じ声・同じ口調で言うせいでものすごい違和感がある。
「へぇ。こっちの時代のエルギフォスはどうするんだよ。
神々の封印がとけたら二人とも消滅だろ?」
「貴様にいちいち説明してやる義理もあるまい?
時間稼ぎはそこまでにしてもらおうじゃないか。
……クリファの敵(カタキ)とらせてもらうぞ」
言う、エルギフォスの瞳は――憎しみに満ち溢れていた。
△▲△
カキンッ!!
私のカマと魔王のカマがぶつかり合って火花をちらした。
私とエルギフォスの戦いは――そこそこ拮抗していた。
未来コロネに魔力を周囲に展開し相手の動きを読むやり方を教わっていなかったら、エルギフォスに手も足もでなかっただろう。
エルギフォスはそれくらい強い。
そして隙がまったくない。
ただ、幾分コロネ魔王の方が戦いにくかった感じもある。
鎌の形状かえてこないし。
時折、対セファロウス戦の流れ弾が飛んでくるがそれを避けつつ、私と魔王はカマで戦っていたのだ。
「――たかが、人間風情がなかなかやる」
「そのセリフって壮大な負けフラグなんだが」
「はんっ!そちらの世界のくだらぬ漫画などの約束事など知るものか!!」
私の言葉に鼻で笑うと魔王が鎌を振り上げた。
私は瞬間移動でそれをかわす。
――うん。漫画を知っているとなると魔王コロネ時代の記憶もこいつは受け継いでいるらしい。
こちらの手の内は大体知っていると思ったほうがいいだろう。
それに戦いにおいてはこいつは強い。
この戦い私でも勝てるか勝てないかは五分五分だ。
決して気は抜けない相手なのだ。
けれど、勝たなければいけない。
脳裏に、今にも消えそうなほど存在が薄れたコロネの姿が蘇る。
エルギフォスを倒さなければ――コロネも、私も他の皆も存在自体がなかったことになってしまうのだ。
負けられない。絶対に。
私はそのまま鎌で魔王に切りかかるのだった。
ここは帝都より西に位置する、死の丘と呼ばれる、かつて神々の争いの場となったと言われるゲントナの丘。
どこまで続くかわからない地面の割れ目から、ズゴゴゴゴと物凄い音をたて、大地が震えていた。
地下より蠢くその邪悪な気配が、いま地上に姿を表そうとしている。
そう、私はこの感覚を知っていた。
魔獣セファロウスの復活。いく度となくゲーム中のレイド戦で経験したセファロスの復活シーンだ。
私たちはいま、ゲントナの丘にいた。
テオドールが白銀騎士段を率いて、いままさに魔獣と対峙しようとしている。
対魔獣のために集められた白銀騎士団の人数は50。
この日のために訓練された精鋭達を前にテオドールが旗をかかげた。
「さぁ、大神の力を受け継ぐ騎士達よ!
ついに神託に告げられし魔獣の復活の時がきた。
剣をとれ、杖を掲げよ!
地上に住まう全ての生けとし生けるものの命運は我らに託された!
神より告げられし戦いに我らはうち勝とうではないか!」
白銀騎士達より少し上の崖の上にたったテオドールが宣言し
「見せてみよ誇り高き騎士達よ。神々にその忠誠を!」
「見せてみよ勇敢なる勇者達よ。神々にその勇猛さを!」
キラキラと光を纏わせて、いつもよりも2.5倍増しにイケメンのアルファーと、やはりどうやったかは知らないがいつもより光り輝く毛並みのミカエルがテオドールに続く。
そして――コロネが呪文を唱え、聖杯が光輝きながらコロネの頭上に浮かび上がった。
それに合わせるかのように、魔獣の足がズドンと地面から這い上がる。
そう魔獣セファロウスが復活したのだ。
その禍々しいカエルのような風貌の魔獣が。物凄い魔素を放ちながら。
こうして、私達の戦いは始まった。
人類の存亡をかけた戦いが。
△▲△
「アルファー意外とノリノリだったじゃないか」
私の横で空飛ぶアルファーに声をかければ
「茶かさないでください。死ぬほど恥ずかしかったのですから!?」
と、顔を真っ赤にしてアルファーが抗議する。
先程の口上を述べていた時の天使としての威厳はまったくない。
うんうん。アルファーはちょっとお馬鹿な子くらいな方が可愛いと思うの。さっきのアルファーはイケメンすぎた。
そんなことを考えつつ私とアルファーは復活した魔獣に向かって飛んでいた。
エルギフォスもどこかで復活を果たしているはずなのだ、白銀騎士団たちより先に見つけてエルギフォスを引き離さないと、彼らに被害がでてしまう。
「お主ら無駄口を叩いてる暇はないぞ!来るっ!!」
隣を飛んでいたミカエルが吠えれば、
カッ!!
眩しい光が私とアルファーに向かって放たれる。
セファロウスの吐息のブレスだ。
いきなり大技を放ってくるとはゲームの世界とリアルでは違うらしい。
ゲームだったらゲージを貯めなきゃだからいきなり大技はボスはしてこないのだけれど。
しかし避けるのは簡単だが、この攻撃を避ければ、テオドール達にも被害がでてしまう。
私は神力でそのまま大きな盾を作り出し、その攻撃受け止めた。ブレスは盾に弾かれて霧散していく。
「流石マスターだ。セファロスの攻撃すら簡単に弾いてしまうとはな」
ミカエルが言ったその時。
私はゾクリとした悪寒を感じてミカエルを突き飛ばした。
刹那。
ヒュンっ!!
光がミカエルの居た場所を通り過ぎる。
「――んな!?」
ミカエルがそちらを見やれば
「会いたかったぞ、猫まっしぐら」
魔王コロネとまったく同じ声の。見知らぬ男が魔王コロネと同じ鎧を着てぷかぷかと空中に立っていた。
――そう、こいつこそが魔族達の真の王。神々すら凌駕する闇の存在。
「こっちはあまり会いたくはなかったけどな。エルギフォス」
私の言葉に――魔王エルギフォスは残忍な笑を浮かべるのだった。
△▲△
『ミカエル!アルファーは魔獣の方を頼む!』
私がパーティーチャットで指示すれば
『あれは強いぞ!?一人で大丈夫なのか!?』
と、ミカエル。うん。エルギフォスがミカエルが攻撃を察知できないほどの強さとは思わなかった。
――が、ミカエルとアルファーの強さは同じくらい。
二人とも攻撃が察知できないのならかえって邪魔になりかねない。
私も二人を守りながらエルギフォスと闘うのは無理だろう。
それだけエルギフォスは強い。
流石異界の神々とタイマンはって生き残っただけのことはある。
『大丈夫!二人とも魔獣を倒したらこっちのフォローにまわってくれ!
まずは死者がでないよう魔獣を倒すのが先だ!!』
言えば、すぐさまアルファーが行動に移る。
私の周りに盾のスキルを展開し、そのままミカエルを抱えて瞬間移動で姿を消した。
流石アルファーは戦闘に関しては、状況判断が早くて助かる。
エルギフォスの視界の中にいるのはやばいと判断したのだろう。
ミカエルとアルファーの姿が消え、私とエルギフォスが空中で対峙する。
そのはるか向こうではアルファーとミカエルが魔獣との戦闘を開始していた。
「人の身体で随分好き勝手をしてくれたようだが。
だがそれもここで終わる。
あのエルフを殺し歴史をかえ、肉体を取り戻してくれよう」
エルギフォスが半ば独り言のように、つぶやき拳を握り締めた。
「コロネを殺せば、歴史が変わり世界が消滅するだけだろう!?」
「そんな言い分が通用すると思っているのか?
私が、審判の御子を吸収すればいいだけの話だ。
そして――魔族が支配する世界へと作り替える。
貴様はその礎となるがいい」
と、エルギフォス。
魔王コロネと同じ声・同じ口調で言うせいでものすごい違和感がある。
「へぇ。こっちの時代のエルギフォスはどうするんだよ。
神々の封印がとけたら二人とも消滅だろ?」
「貴様にいちいち説明してやる義理もあるまい?
時間稼ぎはそこまでにしてもらおうじゃないか。
……クリファの敵(カタキ)とらせてもらうぞ」
言う、エルギフォスの瞳は――憎しみに満ち溢れていた。
△▲△
カキンッ!!
私のカマと魔王のカマがぶつかり合って火花をちらした。
私とエルギフォスの戦いは――そこそこ拮抗していた。
未来コロネに魔力を周囲に展開し相手の動きを読むやり方を教わっていなかったら、エルギフォスに手も足もでなかっただろう。
エルギフォスはそれくらい強い。
そして隙がまったくない。
ただ、幾分コロネ魔王の方が戦いにくかった感じもある。
鎌の形状かえてこないし。
時折、対セファロウス戦の流れ弾が飛んでくるがそれを避けつつ、私と魔王はカマで戦っていたのだ。
「――たかが、人間風情がなかなかやる」
「そのセリフって壮大な負けフラグなんだが」
「はんっ!そちらの世界のくだらぬ漫画などの約束事など知るものか!!」
私の言葉に鼻で笑うと魔王が鎌を振り上げた。
私は瞬間移動でそれをかわす。
――うん。漫画を知っているとなると魔王コロネ時代の記憶もこいつは受け継いでいるらしい。
こちらの手の内は大体知っていると思ったほうがいいだろう。
それに戦いにおいてはこいつは強い。
この戦い私でも勝てるか勝てないかは五分五分だ。
決して気は抜けない相手なのだ。
けれど、勝たなければいけない。
脳裏に、今にも消えそうなほど存在が薄れたコロネの姿が蘇る。
エルギフォスを倒さなければ――コロネも、私も他の皆も存在自体がなかったことになってしまうのだ。
負けられない。絶対に。
私はそのまま鎌で魔王に切りかかるのだった。
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