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3章 魔獣と神々

27. 魔王城

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「お気を付けて」

 転移の魔方陣でリュートに北方のマゼウス大陸地区に転移させてもらって、都市の入口で見送られた。
 すでにエルフの住人は避難しているらしく、都市はガランとし、人は誰もいない。

「ああ、リュート、後の事はたのんだぞ」

 と、リュートとクランベールの顔を交互に視る。

「はい。任せてください」

「猫殿どうかご武運を!!」

 と、リュートとクランベール。
 
「二人が帰ったら転移の魔法陣は閉じておいてくれていい。
 どうせリュートがいなきゃ使えないし。
 私たちはリリに乗って帰るから」

 私の言葉にリュートが頷く。

 まぁ、この世界に来た時はまさか魔王とまで闘う羽目になるとか夢にも思っていなかったけれど。
 話が壮大になりすぎてる気がしなくもない。

 私たちは私が持っていたコートを着込み、魔王の城がある山へと向かう。
 この世界雨も降らなきゃ、雪もないのだが、この魔王城のある山だけは雪が降るらしい。
 リリとコロネが初雪ですと、少し浮かれているくらい珍しいものらしいのだ。
 まぁ、きっとゲーム上の演出のためなのだろう。

 sionのもっていた設定集によれば魔王城のレベルは1200~1300。
 恐らくゲームでは神々と会ってから魔王と闘う設定のレベル設定なのだろう。
 この大陸、かつて異界の神々が居ついた場所らしく、異界の神々の大神マゼウスから名付けられた場所らしい。
 ゲームでは神々と異界の神々の激しい戦いの決戦の場所になったと記されていたが……。
 私はででんっと立ち塞がる禍々しい山を見つめた。
 この山の頂上に魔王城があるはずだ。

 気を引き締めていかないといけない。

 そして思う。



 この山登るのめんどくせぇ……と。


 ▲△▲

「ネコー!!まっしろまっしろ!!」

 竜姿で私たちを背中にのせつつ、リリちゃんがはしゃいだ声をだす。

「これが雪ですか。現物は初めて見ます」

 と、コロネ。
 結局私たちはファルティナにバリアを張ってもらいつつ、リリちゃんで一飛びで城に向かった。
 いや、だってほらめんどくさいし。
 吹雪で視界が真っ白でふさがれてるから瞬間移動も無理なんだよね。ここ。
 なのでりりちゃんの出番なのである。
 ファルティナのバリアが優秀で全然寒くないし風もこない。
 リリちゃんは雪景色に純粋にはしゃいでいた。

「ねーねー。ネコ。魔王倒したら雪だるまつくっていい?」

 と、リリちゃん。

「魔王を倒しにいくのに余裕だな。リリは」

 そう、これから魔王を倒しに行くというのに緊張感のかけらもない。
 私が言えば、リリちゃんはにっこり微笑んで。

「ネコ慌てない。だから平気!きっと倒せる!」

 などどと、可愛い事を言ってくれる。

「リリはちょっと私の事を過大評価しすぎじゃないか」

「だってネコのカン信じてって言った!そしたら本当にネコ無事で戻ってきた!
 だからリリ信じる!」

 と、リリ。

 ああ、そういえばコロネが精神世界に連れ込まれた時そんな事を言った気もする。
 今思えば恥ずかしいセリフだがリリは律儀に覚えていてくれたらしい。

「そうですね。きっと何とかなりますよ」

 と、コロネも緊張を解くためか、らしくない無責任な事を言う。
 守護天使達もそれにつられたのか、少し表情を緩めた。

 うん。まぁ変に気負った所でどうにもならないしな。
 私たちにはこれくらいが丁度いいのかもしれない。

 ▲△▲

『じゃあ、みんな作戦はわかってるな』

 魔王城のすぐそばでリリに乗ったまま皆の顔を見渡す。
 パーティーメンバーは以下8人

 1.猫まっしぐら レベル1304
 2.アルファー  レベル1304
 3.レイスリーネ レベル1304
 4.ファルティナ レベル1304
 5.ザンダグロム レベル1304
 6.リリ     レベル1207
 7.コロネ    レベル1204
 8.sion     レベル 567

 の8人である。

『本当に大丈夫ですかね』

 sionがガクブルしながらいえば

『コロネとリリとファルティナが全力で守ってくれるはず。
 危ないと感じたらすぐ硬質化してくれ』

 私のセリフにsionがこれでもかってくらい頭を縦にふる。

『んじゃ、いっちょみんな作戦通りで』

 いかにも魔王の城ですとででんと建つ城を前に私は構えた。
 ゲームだったらもちろん玄関から入らねばならいないが、ここは半分リアルである。
 もちろん玄関から入るなどと礼儀正しい事などするわけがない。

 魔王もそれを予期していたのか、飛行系のモンスターが私たちを見つけて飛んでくる。

『それじゃあ、魔王城最上階にしゅっぱーっつ!!!』

 飛んでくるモンスターを私とアルファーとザンダグロムとレイスリーネが一瞬で倒してしまうのだった。
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