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70話 魔獣
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「ルヴァイス様!!瘴気計の数値があり得ない速度であがってます!!」
ジャイルが慌ててルヴァイス達のほうにかけより、宮廷魔術師もルヴァイスに結界をはりはじめた。
ずががががとものすごい音をたてて神殿とその周辺の大地が揺れ始める。
「なっ!? これはどいうことだ、大司教!!」
ルヴァイスが叫べば、大司教も首を横にふる。
なぜこうなったのか大司教自身もわかっていないのだ。
「今すぐ広場にいるものたちを避難させろっ!!!!」
ルヴァイスが叫んだその瞬間。
神殿を破壊してそれは現れた。
巨大な黒い狼型の獣。
「……魔獣……」
会場にいた誰かが声をあげた。
そう神殿を壊して現れたのは全身を瘴気でまとった獣。
狼型の魔獣。
「な、魔獣!?
なぜ魔獣が!??」
「大司教様!!あれは聖獣クロム!!」
「まさか聖獣が魔獣化したというのか!?」
「あんたらまさか聖杯で聖獣から聖気をすいとってたのか!?」
ジャイルが叫んだ。そう考えれば、今までの謎がすべて納得できるのだ。
なぜ最近竜神官達が【聖気】を撒くことができなかったのか。
それは聖獣の【聖気】が少なくなり、国に撒くほど聖獣から奪い取ることができなくなったから。
なぜ最近【瘴気】が神殿周りに多くなったのか。
それは聖獣が【聖気】を奪われ、魔獣化しはじめ【瘴気】を放つようになったから。
そして最悪な事に聖杯がデイジアのセスナの炎の呪いを聖杯を通じて浄化したせいで、その呪いが聖獣に吸収され魔獣化してしまった。
「なるほど瘴気の発生源はこれか……ぐっ!?」
魔獣の姿を確認するとルヴァイスが膝をついた。
「ルヴァイス様!!」
「あーー!」
ソフィアも慌ててルヴァイスから降りてルヴァイスを支えた。
「私はいい!早く国民を避難させろ!! まだ神殿のほどこした束縛の結界がきいている!!」
駆け寄ろうとする騎士たちを遮ってルヴァイスが叫ぶ。
ルヴァイスの叫び通り、神殿を突き破りはしたが、まだ神殿の束縛の魔法が聞いているのか、魔獣は「うううう」とうめきを挙げているだけで、動く様子はない。
広場にいたものたちは我先にと逃げ出し、竜神官達は結界の力を強めるためか魔法を唱え始めている。
デイジアはあわあわと腰をぬかしてその場にへたり込み、大司教も慌てて結界の力を強めろと指示を飛ばしていた。
竜神官達も必死に動きを止めようとしていることから、今回のことは彼らの意図したことではないらしい。
「ジャイル!ソフィアを頼む、私はあれを退治する!」
そういって、ルヴァイスが剣を抜く。
けれど魔獣からあふれ出る瘴気を吸い込んでしまっているせいか、すでにソフィアでなくても、ルヴァイスは黒い靄に囲まれているのが見えるほど瘴気に覆われていて戦える状態でないのは誰が見ても明らかだった。
「ルヴァイス様!!」
「あー!!」
「今すぐ飛竜に乗りラディスを王都に呼び戻せ!! その間の時間は私が稼ぐっ!!」
そう言って心の中でルヴァイスが舌打ちした。
ルヴァイスやルヴァイスの父が魔獣を倒せたのは竜の血族だけがつかえる聖剣の技があるからだ。
ルヴァイスの従兄たちは口先ばかりで実践経験がない。
辺境を守り常に前線で戦っていた弟のラディスでなければ魔獣を倒すのは無理だろう。
「ルヴァイス様っ!?? エリクサーをっ!!」
テオが慌てて懐からエリクサーを取り出してルヴァイスに飲ませようとしたその時。
「見ていろ!!ルヴァイス!!この魔獣を倒して、俺が竜王国の王になる!」
と、剣をもって走り出したのはルヴァイスの従弟ガリアスだった。
ジャイルが慌ててルヴァイス達のほうにかけより、宮廷魔術師もルヴァイスに結界をはりはじめた。
ずががががとものすごい音をたてて神殿とその周辺の大地が揺れ始める。
「なっ!? これはどいうことだ、大司教!!」
ルヴァイスが叫べば、大司教も首を横にふる。
なぜこうなったのか大司教自身もわかっていないのだ。
「今すぐ広場にいるものたちを避難させろっ!!!!」
ルヴァイスが叫んだその瞬間。
神殿を破壊してそれは現れた。
巨大な黒い狼型の獣。
「……魔獣……」
会場にいた誰かが声をあげた。
そう神殿を壊して現れたのは全身を瘴気でまとった獣。
狼型の魔獣。
「な、魔獣!?
なぜ魔獣が!??」
「大司教様!!あれは聖獣クロム!!」
「まさか聖獣が魔獣化したというのか!?」
「あんたらまさか聖杯で聖獣から聖気をすいとってたのか!?」
ジャイルが叫んだ。そう考えれば、今までの謎がすべて納得できるのだ。
なぜ最近竜神官達が【聖気】を撒くことができなかったのか。
それは聖獣の【聖気】が少なくなり、国に撒くほど聖獣から奪い取ることができなくなったから。
なぜ最近【瘴気】が神殿周りに多くなったのか。
それは聖獣が【聖気】を奪われ、魔獣化しはじめ【瘴気】を放つようになったから。
そして最悪な事に聖杯がデイジアのセスナの炎の呪いを聖杯を通じて浄化したせいで、その呪いが聖獣に吸収され魔獣化してしまった。
「なるほど瘴気の発生源はこれか……ぐっ!?」
魔獣の姿を確認するとルヴァイスが膝をついた。
「ルヴァイス様!!」
「あーー!」
ソフィアも慌ててルヴァイスから降りてルヴァイスを支えた。
「私はいい!早く国民を避難させろ!! まだ神殿のほどこした束縛の結界がきいている!!」
駆け寄ろうとする騎士たちを遮ってルヴァイスが叫ぶ。
ルヴァイスの叫び通り、神殿を突き破りはしたが、まだ神殿の束縛の魔法が聞いているのか、魔獣は「うううう」とうめきを挙げているだけで、動く様子はない。
広場にいたものたちは我先にと逃げ出し、竜神官達は結界の力を強めるためか魔法を唱え始めている。
デイジアはあわあわと腰をぬかしてその場にへたり込み、大司教も慌てて結界の力を強めろと指示を飛ばしていた。
竜神官達も必死に動きを止めようとしていることから、今回のことは彼らの意図したことではないらしい。
「ジャイル!ソフィアを頼む、私はあれを退治する!」
そういって、ルヴァイスが剣を抜く。
けれど魔獣からあふれ出る瘴気を吸い込んでしまっているせいか、すでにソフィアでなくても、ルヴァイスは黒い靄に囲まれているのが見えるほど瘴気に覆われていて戦える状態でないのは誰が見ても明らかだった。
「ルヴァイス様!!」
「あー!!」
「今すぐ飛竜に乗りラディスを王都に呼び戻せ!! その間の時間は私が稼ぐっ!!」
そう言って心の中でルヴァイスが舌打ちした。
ルヴァイスやルヴァイスの父が魔獣を倒せたのは竜の血族だけがつかえる聖剣の技があるからだ。
ルヴァイスの従兄たちは口先ばかりで実践経験がない。
辺境を守り常に前線で戦っていた弟のラディスでなければ魔獣を倒すのは無理だろう。
「ルヴァイス様っ!?? エリクサーをっ!!」
テオが慌てて懐からエリクサーを取り出してルヴァイスに飲ませようとしたその時。
「見ていろ!!ルヴァイス!!この魔獣を倒して、俺が竜王国の王になる!」
と、剣をもって走り出したのはルヴァイスの従弟ガリアスだった。
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