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44話 エルフの道
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「乗り心地は悪くないか?」
次の日。ルヴァイス様の馬に一緒に乗って、宮殿の裏にある竜の森を散歩していたら手綱を引いてるルヴァイス様が聞いてくれた。
一緒にテオさんや他にも護衛の人も馬にのって並走しているんだ。
「あー」
私が大丈夫だよってうんうん頷くと、私の肩にのったキュイも「キュイー」って答えた。
そうするとルヴァイス様は「それはよかった」と微笑んでくれる。
今日はルヴァイス様の信頼している人たちだけ連れて森の中にきたんだ。
私に見せたいものがあるんだって。
「ソフィア。これから行く場所は王家の血筋のみ入るのが許された場所だ」
『私も入っていいの?』
「ソフィアは……おそらく我々より入る権利があるだろう」
そう言って笑ってくれる。
今日はルヴァイス様が竜王国にあるエルフのゆかりの地に連れてってくれるんだって。
とても貴重な場所だから、王家の血筋しか入れない場所らしいの。
森のかなり奥まできて、しばらくしたらふわっと空気がかわった。
よくわからないけれど、そう表現するしかない。
なんだか包み込むような温かさを感じて、私があたりを見回す。
とっても幻想的な光がふわふわ浮いている木々の生い茂る場所。
まるでここだけ曇りになってしまったかのように全体的に薄暗く木々が空を覆っていて、その中を不思議な光がぷかぷか浮いているの。
『ここは?』
「天に続く道と呼ばれる場所だ。
遥か大古の昔、古代の子と呼ばれるエルフ達が、世界を滅ぼそうとする魔王を倒すために天上に向かった場所だとされている」
そう言ってルヴァイス様の指さした方向にはきれいで大きい白い大理石で作られたアーチのようなものがあった。
「エルフ達はここから天上に向かったらしい」
『なんでレイゼルさんは天上に行かずに地上に残ったの?』
「理由はわからぬが、おそらくソフィアの父は地上に残ったエルフの一人で、地上を見捨て天上に向かう途中で何かあり、仲間のエルフとはぐれ記憶をなくしてさまよっていたのだと推測している。」
そう言ってルヴァイス様が馬からおろしてくれて、アーチの前まで連れていってくれる。
確かにルヴァイス様の言う通り、アーチの中にある草が何かに踏まれて丸い足跡がついていた。でも土のへこみ具合とかみるととてもじゃないけれど人間やエルフの足型じゃない。
「この足型はドーデムという騎乗型モンスターの足跡だ。我が国も騎乗用として飼育敷いてる。問題はアーチの中はモンスターですら入れないにもかかわらず、足型があることだ」
『もしかして……レイゼルさん?』
「おそらく。この足型は20日まえの視察時にはなかった。
ソフィアの父が騎乗したままこのアーチに入ったと考えれば説明がつく。
アーチの中の足型だけ残っているのは中が特殊な力で守られているが故、風雨にさらされることがなかったがためだろう。
もしかしたら記憶を取り戻して、ソフィアが私に虐待されていると聞いてエルフの国に助けを求めにいった可能性もある」
『そんな虐待なんてされていないよ!?』
「竜神官達の流した噂を真に受けたのかもしれぬ。
エルフは理知的な種族だ、真偽を確かめることなくいきなり殺しにくることはないだろう。
それは心配しなくていい。
それよりも、ソフィアの父が生きているかもしれないという事実が大事だ」
そう言ってルヴァイス様が頭をなでてくれる。
『そうだね!ありがとう!ルヴァイス様』
私が紙に書くとルヴァイス様が微笑んでくれた。
嬉しい、もしかしてこの痕跡がレイゼルさんのものなら、いつか会いに来てくれるかな?
「それにしても、やはりこのアーチの中はソフィア様なら入れるのでしょうか?」
私とルヴァイス様の後ろに控えていたテオさんの言葉に私たちは振り返った。
確かにレイゼルさんの血を引いているから入れるのかな?
私がうーんってしていると、一緒にいたキュイがキュイーって私の肩を引っ張って入ろうっていうの。
『入って大丈夫?』
って紙に書くと、キュイが「キュイ!」って私の肩に乗る。
「ソフィア。キュイは導き手と呼ばれる予知能力をもつ聖獣だ。
キュイが大丈夫というのならば大丈夫だろう」
そういうので私はちょこっとだけアーチの中に手を伸ばしてみた。
ぱあぁぁぁぁってアーチが光りだして。
足を踏み入れるとキュイと一緒にアーチの中にはいれた。
「あー!」
入れたってルヴァイス様たちに言うと、ルヴァイス様たちが口をパクパクしている。
……もしかして、声は遮断されてるのかな?すぐ近くなのに全然声が聞こえない。
どうしようか迷っていると、キュイが私のことを引っ張るの。
キュイに引っ張られて中を見るととってもきれいな花がいっぱい咲いていた。
外から見たときは普通の森だったのに、アーチの中は一面見たこともないきれいなピンクのバラに似た花がどこまでも終わりが見えないほどずっと咲いていて、花畑の中央には天にむかって大きくて広い白い階段がずーっと続いていた。
見上げても、終わりが見えないほどの長い長い階段。
もしかしてここを歩いていけば天上に行けてレイゼルさんに会えるのかな?
―― 苦しい ――
声が聞こえた。
凄い苦しそうな男の人の声。
地から響くすべてを憎悪するかのような低くうごめいた声。
―― 許さぬ 竜人も人間も すべて すべて滅ぼしてくれる ――
まるで憎悪が全身を包みこむような感覚に私は怖くなって、すぐにアーチから出てアーチの外にいるルヴァイス様に飛びついた。
「あー!!」
「どうしたソフィア!?」
抱き着いたらルヴァイス様がそのまま抱きしめてくれた。
アーチをでると声はまったく聞こえなくなった。
『声が聞こえたの。 苦しいって』
「苦しい?」
『許さぬ 竜人も人間も すべて すべて滅ぼしてくれる って』
「それはエルフが言ったでしょうか!?」
テオさんが顔を真っ青にしていうけれど、わからない。
私は首を横に振る。
『でも地面の下から聞こえてきた気がする』
「地面の下?」
そう言ってルヴァイス様たちも視線を下に向けた。
「エルフの結界内故、ソフィアの中のエルフの力が増し、いつもは感じられないなにかを感じたのかもしれない」
ルヴァイス様が私を抱きかかえて
「その件について調べるのは私の仕事だ。ソフィア今日はもう戻ろう」
そう言ってくれて、私は頷いた。でも肩にいるキュイはなにかすごく怖い顔をしている。
キュイにも聞こえたのかな?
キュイ?
って心の中で名前を読んだら、キュイが「キュイー」って私のほっぺをなめてくれた。
次の日。ルヴァイス様の馬に一緒に乗って、宮殿の裏にある竜の森を散歩していたら手綱を引いてるルヴァイス様が聞いてくれた。
一緒にテオさんや他にも護衛の人も馬にのって並走しているんだ。
「あー」
私が大丈夫だよってうんうん頷くと、私の肩にのったキュイも「キュイー」って答えた。
そうするとルヴァイス様は「それはよかった」と微笑んでくれる。
今日はルヴァイス様の信頼している人たちだけ連れて森の中にきたんだ。
私に見せたいものがあるんだって。
「ソフィア。これから行く場所は王家の血筋のみ入るのが許された場所だ」
『私も入っていいの?』
「ソフィアは……おそらく我々より入る権利があるだろう」
そう言って笑ってくれる。
今日はルヴァイス様が竜王国にあるエルフのゆかりの地に連れてってくれるんだって。
とても貴重な場所だから、王家の血筋しか入れない場所らしいの。
森のかなり奥まできて、しばらくしたらふわっと空気がかわった。
よくわからないけれど、そう表現するしかない。
なんだか包み込むような温かさを感じて、私があたりを見回す。
とっても幻想的な光がふわふわ浮いている木々の生い茂る場所。
まるでここだけ曇りになってしまったかのように全体的に薄暗く木々が空を覆っていて、その中を不思議な光がぷかぷか浮いているの。
『ここは?』
「天に続く道と呼ばれる場所だ。
遥か大古の昔、古代の子と呼ばれるエルフ達が、世界を滅ぼそうとする魔王を倒すために天上に向かった場所だとされている」
そう言ってルヴァイス様の指さした方向にはきれいで大きい白い大理石で作られたアーチのようなものがあった。
「エルフ達はここから天上に向かったらしい」
『なんでレイゼルさんは天上に行かずに地上に残ったの?』
「理由はわからぬが、おそらくソフィアの父は地上に残ったエルフの一人で、地上を見捨て天上に向かう途中で何かあり、仲間のエルフとはぐれ記憶をなくしてさまよっていたのだと推測している。」
そう言ってルヴァイス様が馬からおろしてくれて、アーチの前まで連れていってくれる。
確かにルヴァイス様の言う通り、アーチの中にある草が何かに踏まれて丸い足跡がついていた。でも土のへこみ具合とかみるととてもじゃないけれど人間やエルフの足型じゃない。
「この足型はドーデムという騎乗型モンスターの足跡だ。我が国も騎乗用として飼育敷いてる。問題はアーチの中はモンスターですら入れないにもかかわらず、足型があることだ」
『もしかして……レイゼルさん?』
「おそらく。この足型は20日まえの視察時にはなかった。
ソフィアの父が騎乗したままこのアーチに入ったと考えれば説明がつく。
アーチの中の足型だけ残っているのは中が特殊な力で守られているが故、風雨にさらされることがなかったがためだろう。
もしかしたら記憶を取り戻して、ソフィアが私に虐待されていると聞いてエルフの国に助けを求めにいった可能性もある」
『そんな虐待なんてされていないよ!?』
「竜神官達の流した噂を真に受けたのかもしれぬ。
エルフは理知的な種族だ、真偽を確かめることなくいきなり殺しにくることはないだろう。
それは心配しなくていい。
それよりも、ソフィアの父が生きているかもしれないという事実が大事だ」
そう言ってルヴァイス様が頭をなでてくれる。
『そうだね!ありがとう!ルヴァイス様』
私が紙に書くとルヴァイス様が微笑んでくれた。
嬉しい、もしかしてこの痕跡がレイゼルさんのものなら、いつか会いに来てくれるかな?
「それにしても、やはりこのアーチの中はソフィア様なら入れるのでしょうか?」
私とルヴァイス様の後ろに控えていたテオさんの言葉に私たちは振り返った。
確かにレイゼルさんの血を引いているから入れるのかな?
私がうーんってしていると、一緒にいたキュイがキュイーって私の肩を引っ張って入ろうっていうの。
『入って大丈夫?』
って紙に書くと、キュイが「キュイ!」って私の肩に乗る。
「ソフィア。キュイは導き手と呼ばれる予知能力をもつ聖獣だ。
キュイが大丈夫というのならば大丈夫だろう」
そういうので私はちょこっとだけアーチの中に手を伸ばしてみた。
ぱあぁぁぁぁってアーチが光りだして。
足を踏み入れるとキュイと一緒にアーチの中にはいれた。
「あー!」
入れたってルヴァイス様たちに言うと、ルヴァイス様たちが口をパクパクしている。
……もしかして、声は遮断されてるのかな?すぐ近くなのに全然声が聞こえない。
どうしようか迷っていると、キュイが私のことを引っ張るの。
キュイに引っ張られて中を見るととってもきれいな花がいっぱい咲いていた。
外から見たときは普通の森だったのに、アーチの中は一面見たこともないきれいなピンクのバラに似た花がどこまでも終わりが見えないほどずっと咲いていて、花畑の中央には天にむかって大きくて広い白い階段がずーっと続いていた。
見上げても、終わりが見えないほどの長い長い階段。
もしかしてここを歩いていけば天上に行けてレイゼルさんに会えるのかな?
―― 苦しい ――
声が聞こえた。
凄い苦しそうな男の人の声。
地から響くすべてを憎悪するかのような低くうごめいた声。
―― 許さぬ 竜人も人間も すべて すべて滅ぼしてくれる ――
まるで憎悪が全身を包みこむような感覚に私は怖くなって、すぐにアーチから出てアーチの外にいるルヴァイス様に飛びついた。
「あー!!」
「どうしたソフィア!?」
抱き着いたらルヴァイス様がそのまま抱きしめてくれた。
アーチをでると声はまったく聞こえなくなった。
『声が聞こえたの。 苦しいって』
「苦しい?」
『許さぬ 竜人も人間も すべて すべて滅ぼしてくれる って』
「それはエルフが言ったでしょうか!?」
テオさんが顔を真っ青にしていうけれど、わからない。
私は首を横に振る。
『でも地面の下から聞こえてきた気がする』
「地面の下?」
そう言ってルヴァイス様たちも視線を下に向けた。
「エルフの結界内故、ソフィアの中のエルフの力が増し、いつもは感じられないなにかを感じたのかもしれない」
ルヴァイス様が私を抱きかかえて
「その件について調べるのは私の仕事だ。ソフィア今日はもう戻ろう」
そう言ってくれて、私は頷いた。でも肩にいるキュイはなにかすごく怖い顔をしている。
キュイにも聞こえたのかな?
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って心の中で名前を読んだら、キュイが「キュイー」って私のほっぺをなめてくれた。
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