恋の続きは未定。

海津渚

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・小畑つむぎ
 高崎くんの手作り弁当はすごくおいしかった。うれしいけれど、あの日から彼の様子が少しおかしい…。元気が足りない気がする。その理由を朝、知ってしまった…。

「…なあ小畑。安藤ってさ、煌成のことが好きなん?」
 窓の外を見ながら独り言のように彼は呟いた。
 その言い回しだけで悟った。きっと彼は杏華のことが好きなんだ…。
「どうして?」
 わざとらしく聞くと、
「いや、なんでもないんだ。」
 彼の焼けた顔が少し紅色に染まる。確実な証拠。そっか……。杏華かわいいもんね、優しいし…。突然のことに心が追いつかなかった。苦しかった。誰か知らない人ならまだしも、私の友達、しかも杏華だなんて。
「そういえばまだ数学の課題手に付けてなかったわー。やってきた?…小畑、おーい。」
 話す気になれず、私は黙った。
 
 放課後。
「今日部活ある?」
 いつもみたいに彼に話しかけない自分を心配に思ったのか、彼は私の顔を覗き込んで聞いた。
 私は首を横に振る。
「じゃあスイーツ食べに行こ!」
 スイーツ…?
「駅近くにおいしそうな店ができたって聞いたんよねー。興味あるねんけど男1人で入るの気まずくって…行かへん?」
 断ろうとしたが、ちょうどおなかがグルル…と鳴った。
「……行く。」
「よしゃ!」

 彼と並んで学校の坂を下る。背が高いし、ガタイいいな…。私よりも20センチ以上高い彼。周りからどんな風に見られているだろう。この時間だけ彼女目線で過ごしてもだめだろうか。
 スイーツ店に着き、私はストロベリーシュークリームを、高崎くんは特大チョコシュークリーム、はちみつパンケーキ2つ、それにチーズサンドを頼んだ。
「すごい食べるねー」
「まあな。これぐらい食べないと後で腹減るんだよなー」
「私そんなに食べられないよー」
 くすくす笑うと、彼は爽やかに笑った。
「やっぱり小畑は笑ってる方が似合う。」
 またそんなこと言って…。
「うまぁ~おいし~」
 頬を膨らませながら食べて、いつもきりっとした眉毛が少しへの字になっていて、見ていて幸せだった。
 彼のはちみつパンケーキはふわふわトロトロでおいしそうだった。
「一口食べるか?」
 ずっと見ていたのを察されたのか、彼は一口サイズにパンケーキを切り、私の口へ持ってきた。
 ぱくっ
 口に入れた瞬間の香り、はちみつの広がり、絶品だった。と同時によくカップルがする「あーん」をしてしまったのだと気づき赤面する。
 彼はがははと笑う。

 もう、彼が杏華のこと好きだろうとやっぱり好きだよ!
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