5 / 12
3
しおりを挟む
すっかり聞き飽きた、凡庸でつまらない長々とした校長の自慢話と、隣やら後ろから聞こえる野次を聞き流しながら、私はこの世界に来た最初の時を思い返した。
◇
気が付いたら、私は真っ白な空間にポツンと立っていた。
そして、目の前には、ザ・仙人といった風貌の男が立っていた。のちに、この男は自身のことを神様だと名乗った。本当のことは、どうだか分からない。
その空間に来る、その前に何をしていたか、今はもう思い出せない。
会社に行く日の朝だったかもしれないし、仕事帰りだったかもしれない。休日で、ダラダラとしていたときだったかもしれない。
とにかく気が付いたら、白い空間に立ち、あの男の前にいた。
「え?どちらさまですか」
「神様じゃ」
「はぁ…では、ここは天国でしょうか」
「違う」
「?じゃあどこですか」
「神域じゃ」
「はぁ……???」
私は、欲しい答えとは違うものを出されて困惑した。
「どうしてここに私がいるのか聞いてもいいですか」
「おめでとうございます。あなたは数いる中の女性から見事選ばれました」
「え?なにコピペ?」
「おぬしに儂が作った乙女ゲームをやってもらおうと思っての」
「お、乙女ゲーム?」
「最近、天界で流行ってるんじゃ」
「乙女ゲームが?」
「そうじゃ。それで、儂も作って、おぬしにやってもらおうと思う」
「乙女ゲームを?まぁ、よくわかりませんが私でよければ」
「それで狙うは、逆ハーレムエンドじゃ」
「逆ハーレムエンド?」
「そうじゃ」
なにが、そうじゃ、だ。
勝手に人をこんなわけわからんところに呼んでおいて。
「で?なに?逆ハーレムエンド?ラノベで、いっぱい読んだことあるけど。え?みんなから好かれろってこと?誰に?」
「これから行ってもらう世界の住人にじゃ!」
そして、流れるOP……オープニング!?
なんだこれ…頭の中に直接流れ込んでくる…。
乙女ゲームのオープニングか?これ…。
聞いたことのない主題歌…知らない男性キャラクターがいっぱい出てくる…。
だれ…or誰…って感じ。
知らない…。全員知らない…。
「誰?」
「儂が作った乙女ゲームじゃ」
「え?神様が作ったの?」
「そうじゃ」
えへん、と胸を張って答えられても…。
神様が作った乙女ゲームにこれから行かされるの?まじで?
「最近、流行りの小説だと、みんな主人公が知ってる、もしくは、好きなゲームに行かされるじゃないですか。あれじゃダメなんですか?」
「コンプラ的にまずいじゃろ」
「神様なのに、コンプラ気にするんだ…」
そんな無理やりな理由と、わけわからん理由で、私は神様が作った乙女ゲームの主人公として転生し、逆ハーレムエンドを目指すことになったのだ。
今でも意味が分からない。
主人公は、私じゃなくても絶対いいのに、むしろ適役が絶対にいるはずなのに、なぜかあの爺さんは、私を帰すことはなかった。
◇
気が付いたら、私は真っ白な空間にポツンと立っていた。
そして、目の前には、ザ・仙人といった風貌の男が立っていた。のちに、この男は自身のことを神様だと名乗った。本当のことは、どうだか分からない。
その空間に来る、その前に何をしていたか、今はもう思い出せない。
会社に行く日の朝だったかもしれないし、仕事帰りだったかもしれない。休日で、ダラダラとしていたときだったかもしれない。
とにかく気が付いたら、白い空間に立ち、あの男の前にいた。
「え?どちらさまですか」
「神様じゃ」
「はぁ…では、ここは天国でしょうか」
「違う」
「?じゃあどこですか」
「神域じゃ」
「はぁ……???」
私は、欲しい答えとは違うものを出されて困惑した。
「どうしてここに私がいるのか聞いてもいいですか」
「おめでとうございます。あなたは数いる中の女性から見事選ばれました」
「え?なにコピペ?」
「おぬしに儂が作った乙女ゲームをやってもらおうと思っての」
「お、乙女ゲーム?」
「最近、天界で流行ってるんじゃ」
「乙女ゲームが?」
「そうじゃ。それで、儂も作って、おぬしにやってもらおうと思う」
「乙女ゲームを?まぁ、よくわかりませんが私でよければ」
「それで狙うは、逆ハーレムエンドじゃ」
「逆ハーレムエンド?」
「そうじゃ」
なにが、そうじゃ、だ。
勝手に人をこんなわけわからんところに呼んでおいて。
「で?なに?逆ハーレムエンド?ラノベで、いっぱい読んだことあるけど。え?みんなから好かれろってこと?誰に?」
「これから行ってもらう世界の住人にじゃ!」
そして、流れるOP……オープニング!?
なんだこれ…頭の中に直接流れ込んでくる…。
乙女ゲームのオープニングか?これ…。
聞いたことのない主題歌…知らない男性キャラクターがいっぱい出てくる…。
だれ…or誰…って感じ。
知らない…。全員知らない…。
「誰?」
「儂が作った乙女ゲームじゃ」
「え?神様が作ったの?」
「そうじゃ」
えへん、と胸を張って答えられても…。
神様が作った乙女ゲームにこれから行かされるの?まじで?
「最近、流行りの小説だと、みんな主人公が知ってる、もしくは、好きなゲームに行かされるじゃないですか。あれじゃダメなんですか?」
「コンプラ的にまずいじゃろ」
「神様なのに、コンプラ気にするんだ…」
そんな無理やりな理由と、わけわからん理由で、私は神様が作った乙女ゲームの主人公として転生し、逆ハーレムエンドを目指すことになったのだ。
今でも意味が分からない。
主人公は、私じゃなくても絶対いいのに、むしろ適役が絶対にいるはずなのに、なぜかあの爺さんは、私を帰すことはなかった。
104
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
目が覚めたら男女比がおかしくなっていた
いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。
一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!?
「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」
#####
r15は保険です。
2024年12月12日
私生活に余裕が出たため、投稿再開します。
それにあたって一部を再編集します。
設定や話の流れに変更はありません。
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢ですが最強ですよ??
鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。
で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw
ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。
だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw
主人公最強系の話です。
苦手な方はバックで!
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる