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そして、手紙騒動はおしまいに思われたある日、私はまたしてもあの見覚えのある白い手紙を目にすることになる。
「あ。さっきの教室にノートを忘れてきたみたい」
教科書と一緒に持ったつもりだったのだが、ノートだけを残してしまったらしい。
「あら。では、私ここで待ってますわね」
「うん。すぐとってくるから」
「あんまり慌てますと、転びますわよ」
リリーの言葉に手を振りながら、私は教室へと走る。
そして、もちろんノートは机に置いてあった。
手紙が中に挟み込まれた状態で。
「あれ」
差出人は書いていない。
あいからず、真っ白な封筒はシンプルだ。
封を開け、手紙を確認してみると「いつも見ている」と書かれてあった。
私は、思わず周囲を確かめる。
この教室のどこかに潜んでいるような気がしたからだ。
さっきの授業で一緒だったのだろうか。
ということは、同学年…。
もしかして、私のノートは忘れたのではなくて、抜かれたのだろうか。
この手紙を見せるために?
自分がそばにいることをアピールするために……?
「おい」
「ひっ」
声をかけられて、反射的に後ろを振り返る。
いつの間にいたのだろうか。
ルドルフが、仁王立ちしている。
ま、まさかルドルフがこの手紙を?
「な、なに…」
「どうした。こんな教室に一人で。いつもの友達と一緒じゃないのか」
近づいてくるルドルフを警戒して、近づいてくる分、距離をとった。
そんな私の行動が、不審に思えたらしい。
立ち止まり、それ以上、近づいてくることはなくなったので、私は少しだけほっとした。
「もうすぐ予鈴が鳴る。次の授業の教室まで、ここは少し遠い」
「そんなことあなたに関係ある?」
「…君と僕は同じ授業をとっているから。…関係ないわけでもない」
「……」
さっきの授業は、ルドルフとは違う授業だったから、彼がこのノートを抜くのは不可能だ。
ということは、ルドルフではない?
「どうしたんだ。いったい。まるで、野生の猫だ」
「手紙が」
「手紙?」
「この手紙が、最近私に届くの」
そう言って、ルドルフに手紙の件を話した。
「どうして、別の人間に相談しなかったんだ。これは、あきらかにストーカーだろう。先生に伝えたほうが…いや。どうせ取り合ってくれないか…」
「ストーカー?」
私にストーカー?
そんなことある?
「で、でも、私にストーカーだなんて…それにあまりことを大きくしたくないの」
「だが、君は現に怯えているじゃないか。この手紙を見て、怖くなったんだろう?」
「それは…そうだけど」
「手紙をプライベートな部屋に置いていくなんて気持ちが悪い。そのハウスキーパーは、なにをしていたんだ。もっとほかに情報はないのか」
「もうとっくに減給処分されて…」
「減給処分?なまぬるい。クビでいいじゃないか。僕が代わりに言ってくる」
「そ、そんなルドルフが、行くまでのことはないんじゃないの?」
「君が平民だからとなめられているんだ。僕や僕くらいの爵位をもつ家の子息であれば、こんなことが起きた時点で、首にされてもおかしくはない。責任を問われて、賠償金問題になるかもな」
「そんな大げさな」
「おおげなわけあるか。高い身分の人間におかしなものを送り付けてくる人間は、どこにでもいる」
「……」
「あ。さっきの教室にノートを忘れてきたみたい」
教科書と一緒に持ったつもりだったのだが、ノートだけを残してしまったらしい。
「あら。では、私ここで待ってますわね」
「うん。すぐとってくるから」
「あんまり慌てますと、転びますわよ」
リリーの言葉に手を振りながら、私は教室へと走る。
そして、もちろんノートは机に置いてあった。
手紙が中に挟み込まれた状態で。
「あれ」
差出人は書いていない。
あいからず、真っ白な封筒はシンプルだ。
封を開け、手紙を確認してみると「いつも見ている」と書かれてあった。
私は、思わず周囲を確かめる。
この教室のどこかに潜んでいるような気がしたからだ。
さっきの授業で一緒だったのだろうか。
ということは、同学年…。
もしかして、私のノートは忘れたのではなくて、抜かれたのだろうか。
この手紙を見せるために?
自分がそばにいることをアピールするために……?
「おい」
「ひっ」
声をかけられて、反射的に後ろを振り返る。
いつの間にいたのだろうか。
ルドルフが、仁王立ちしている。
ま、まさかルドルフがこの手紙を?
「な、なに…」
「どうした。こんな教室に一人で。いつもの友達と一緒じゃないのか」
近づいてくるルドルフを警戒して、近づいてくる分、距離をとった。
そんな私の行動が、不審に思えたらしい。
立ち止まり、それ以上、近づいてくることはなくなったので、私は少しだけほっとした。
「もうすぐ予鈴が鳴る。次の授業の教室まで、ここは少し遠い」
「そんなことあなたに関係ある?」
「…君と僕は同じ授業をとっているから。…関係ないわけでもない」
「……」
さっきの授業は、ルドルフとは違う授業だったから、彼がこのノートを抜くのは不可能だ。
ということは、ルドルフではない?
「どうしたんだ。いったい。まるで、野生の猫だ」
「手紙が」
「手紙?」
「この手紙が、最近私に届くの」
そう言って、ルドルフに手紙の件を話した。
「どうして、別の人間に相談しなかったんだ。これは、あきらかにストーカーだろう。先生に伝えたほうが…いや。どうせ取り合ってくれないか…」
「ストーカー?」
私にストーカー?
そんなことある?
「で、でも、私にストーカーだなんて…それにあまりことを大きくしたくないの」
「だが、君は現に怯えているじゃないか。この手紙を見て、怖くなったんだろう?」
「それは…そうだけど」
「手紙をプライベートな部屋に置いていくなんて気持ちが悪い。そのハウスキーパーは、なにをしていたんだ。もっとほかに情報はないのか」
「もうとっくに減給処分されて…」
「減給処分?なまぬるい。クビでいいじゃないか。僕が代わりに言ってくる」
「そ、そんなルドルフが、行くまでのことはないんじゃないの?」
「君が平民だからとなめられているんだ。僕や僕くらいの爵位をもつ家の子息であれば、こんなことが起きた時点で、首にされてもおかしくはない。責任を問われて、賠償金問題になるかもな」
「そんな大げさな」
「おおげなわけあるか。高い身分の人間におかしなものを送り付けてくる人間は、どこにでもいる」
「……」
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