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「聖女様……もしかして力が使えないんじゃないの?」
ボソリと誰かがいった。
その言葉はまるで波のように人々に広がって行った。
「聖女じゃないの?」
「見せかけ?」
「こんなに豪華なパレードをしたのに?」
「また王族は俺たちに嘘をついたのか?」
「不敬だぞ!お前ら」
慌てる王様は、滑稽だ。
先ほどまでの余裕はどこにいったのやら。
「なら、俺たちに聖女様の力を見せてみろよ。……見せられないんだろ!?その女は偽物だ!」
「違う!偽物なんかではない!」
「なら、見せてみろよ!」
「畑は不作なんです。今日は聖女様にお願いしに来たのに、偽物なの!?これからどうしろって言うの」
「結界だってもう持たないって聞いた!魔物が襲って来たら、西の国みたいに全滅するぞ!どうするんだ!」
「「「王様!どうするんだ!!!」」」
観衆の声に王様はタジタジである。
騎士もどうすべきか分からないらしく、立っている。
これ以上は暴徒になりそうな勢いで、少し怖い。さっきまでのお祭りモードとは打って変わって、皆が殺気だっている。
聖女は希望だと言っていたが、本当なのだろう。それがもしかしたら嘘だったかもしれないということで、こんなにも荒れている。
「……そうだ!その女だっ!!!」
ウロウロと目が泳いでいた王様の目が、私を見て大きく広がった。天啓を得たり!って顔をしている。嫌な予感しかしない。
「おい!逃げるぞ」
エドが私の腕を引く。
「その女が本物の聖女だ!誰か捕まえろ!」
「何を言ってるんだ」
「聖女が平民にいるっていうのか?」
「どの女だ?」
「すまないが、そこを通してくれ」
騎士団長と呼ばれた男がこちらに近づいてくる。
「ほら、面倒ごとはごめんだ。行くぞ!」
「う、うん」
街の人たちは、すっかりパニックになっている。
「話をごまかすな!」
「パレードは、聖女お披露目じゃないのか!その女は誰だ!?新しい愛人か?」
「良い加減にしろっ!親子揃って色狂いがっ!」
怒りが頂点に立ってしまったらしい。
車をよじ登ろうとしている人もいる。
抗議をするために、人々はどんどん前に歩いていく。それを落ち着かせようとしている騎士もいるが、逆効果のようだ。
騎士たちは、民衆を抑えるのにやっとで、私を捕まえる余裕はなさそうだ。
エドに連れられて、私達はパレードのある大通りから抜け出し、路地裏まで逃げていく。
「すごいね。あれだけ王様に暴言吐いて捕まえられないかな」
「もう限界なんだろ。みんな。ようやく聖女が現れたっていうのに、これじゃあな。確かにパレードは中止になりそうだな」
ボソリと誰かがいった。
その言葉はまるで波のように人々に広がって行った。
「聖女じゃないの?」
「見せかけ?」
「こんなに豪華なパレードをしたのに?」
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「不敬だぞ!お前ら」
慌てる王様は、滑稽だ。
先ほどまでの余裕はどこにいったのやら。
「なら、俺たちに聖女様の力を見せてみろよ。……見せられないんだろ!?その女は偽物だ!」
「違う!偽物なんかではない!」
「なら、見せてみろよ!」
「畑は不作なんです。今日は聖女様にお願いしに来たのに、偽物なの!?これからどうしろって言うの」
「結界だってもう持たないって聞いた!魔物が襲って来たら、西の国みたいに全滅するぞ!どうするんだ!」
「「「王様!どうするんだ!!!」」」
観衆の声に王様はタジタジである。
騎士もどうすべきか分からないらしく、立っている。
これ以上は暴徒になりそうな勢いで、少し怖い。さっきまでのお祭りモードとは打って変わって、皆が殺気だっている。
聖女は希望だと言っていたが、本当なのだろう。それがもしかしたら嘘だったかもしれないということで、こんなにも荒れている。
「……そうだ!その女だっ!!!」
ウロウロと目が泳いでいた王様の目が、私を見て大きく広がった。天啓を得たり!って顔をしている。嫌な予感しかしない。
「おい!逃げるぞ」
エドが私の腕を引く。
「その女が本物の聖女だ!誰か捕まえろ!」
「何を言ってるんだ」
「聖女が平民にいるっていうのか?」
「どの女だ?」
「すまないが、そこを通してくれ」
騎士団長と呼ばれた男がこちらに近づいてくる。
「ほら、面倒ごとはごめんだ。行くぞ!」
「う、うん」
街の人たちは、すっかりパニックになっている。
「話をごまかすな!」
「パレードは、聖女お披露目じゃないのか!その女は誰だ!?新しい愛人か?」
「良い加減にしろっ!親子揃って色狂いがっ!」
怒りが頂点に立ってしまったらしい。
車をよじ登ろうとしている人もいる。
抗議をするために、人々はどんどん前に歩いていく。それを落ち着かせようとしている騎士もいるが、逆効果のようだ。
騎士たちは、民衆を抑えるのにやっとで、私を捕まえる余裕はなさそうだ。
エドに連れられて、私達はパレードのある大通りから抜け出し、路地裏まで逃げていく。
「すごいね。あれだけ王様に暴言吐いて捕まえられないかな」
「もう限界なんだろ。みんな。ようやく聖女が現れたっていうのに、これじゃあな。確かにパレードは中止になりそうだな」
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