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「滅んで当然?」
「そうです。今まで、頑張ってこられた聖女様を追い出し、新たな聖女様を迎え入れたのは、第5聖女様にとっては屈辱的だったのではないですか?」
「んー」

もらえるものは、もらっていたし、まぁ慣れた人に囲まれていたから、あの時はそうでもなかったが、この帝国に来てからずいぶんと私は甘やかされるということが、どういったことなのかを知った。
その上で、あの国での私の対応を考えてみると、確かに思うところはある。
が、なにも滅んでしまえ!と憎しみを覚えているかと言われれば、そうでもない。
王子は、馬鹿だし、無能だし、わけわかんない法律を作っては、国の財政を傾ける…って、結構詰んでるな。
両親の親族も、何かとあれば、金、金、金よこせ!と迫ってくるし…あれ、別にあんな国守らなくてもいいんじゃね?って気がしてくる。

「どうです。聖女様。あんな国、きっぱり忘れていいじゃありませんか」
「でも、あそこ立地が悪いのよねぇ」
「立地ですか」

あそこは、昔、古い神様がいた場所だ。
つまり、霊脈が通っていて、今でいうパワースポットのような場所である。
だから、私が結界を張り、瘴気を払っていても魔物が、やってくるのは、力がある場所に集まる習性のせいだ。
あそこが、崩れれば、めんどくさいダンジョンが出来ることだろう。
討伐隊を作るよりも先に、あの場所を何とかしたほうが、早い。
人の命も救われるし。

「とにかく一応、あそこは、私の故郷なの。確かに田舎で辺鄙な場所にあるけど、ダンジョンになって、故郷がなくなってしまうのは、さすがに悲しいわ。お願い。大臣。私、あの国を救いたいの。だから、外出届受理して」
「い、いけませんっ!聖女様、自ら、あの地に赴くなど…どんなことをされるか分かったものじゃありませんぞ」
「でも、ほかの国から応援ってこないんでしょ?」
「…あの国は、なんであそこまで嫌われているのですか。近くの国すら、助けに行かないなど、前代未聞ですぞ」
「え、隣国もダメだったの?」
「断られたらしいのです。なんでも、聖女と引き換えにすれば、よいと」
「いや、交換条件出しとる場合かっ!助けてあげようって言ってるのに、なんで素直に助けられようとしてないの」
「こちらが聞きたいくらいですな。まぁ、あんな面倒な国など、放っておけばよろしいじゃありませんか。ダンジョンが出来てもしかたありますまい」
「……王子は、なんて?」
「絶対、あんなところに聖女を派遣するのは嫌だと。もう二度とあの国の土地を踏ませるなと言っております」
「まいったな…」
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