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本編
花姫様を丸めこむ。
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「す、すごいのじゃ、司……っ、夜まで保ったぞ……!?」
昨日の衝撃よりも、キスをしないで一日平気だったという興奮のほうが勝ったらしい花姫様は、お祭りがつつがなく終わってから、僕に息せききって語りだした。
「ふふ、僕の読みどおりだね♪」
正確に言うと、どのくらいの期間、花姫様の『空腹』を凌げるかは全くわかっていなかったけれど。わざと自信たっぷりに言っておいた。
「僕はね、ここ何年も『検証』してたんだ」
「『検証』?」
「そー。くちびるに僕の唾液を多めに湿らせてキスしたときと、普通の状態。月の巡りとか、そういうのも全部加味してみたけど、やっぱりたくさん湿らせたほうが、花姫様はより元気になるなーって」
「……は?」
少し停止したあと、花姫様はぼふっと耳まで赤く染まる。
「な、ななな、なに勝手にそんな……っ!? 唾で元気になったとかっ」
ぴゃんぴゃん喚く花姫様を抱きしめたい衝動に駆られながら、僕は真剣な表情で続ける。
「これ、真面目な話ね。花姫様って、『ニンゲンの活力』を皮膚の接触から得るでしょ?」
「う、まあ……」
「『接触』ごときで得られる『活力』。それならきっと、より濃厚な『活力』が含まれてる可能性が高い僕の体液を、直接流しこめば――?」
「! 一度で多量の『活力』が摂られる!? すごい司、探偵みたいなのじゃ~!」
ぱあっと僕の『推理』に目を輝かせる花姫様。
「で。僕からの提案なんだけど。これからの食事は『ディープキス』でどうかな?」
にこり、と悪びれもせずに微笑む僕。
「ぅ、え?!」
「だって花姫様、すごく調子よさそうだよ?」
「や、でも、あんなこと……」
ごにょごにょ、と口ごもる花姫様の腕をぐいっと掴み、くちびるを奪う。
不意打ちだったので、今回も簡単に口内へ舌を滑りこませることができた。
僕のほうが理性を失わないよう気をつけながら、しばらくの間、優しく彼女を貪る。
口をぬるりと離すと、呼吸を整えるのもそこそこに、花姫様に考える隙を与えないよう畳みかけた。
「はぁっ……、ねぇ花姫様。一日一度、コレをするだけ。すごく『楽』だし『お得』だよね?」
「は、ん、ぅ、……?」
全身を火照らせ、目をとろんとさせる花姫様がかわいすぎて一瞬、僕は気が狂れてしまうかと思うくらいときめいたけれど。
なんとかこらえて、彼女がだいすきな『お得』を持ちだす。上目遣いに彼女を見つめて、もう一押し。
「それとも花姫様は、僕と一日一回だけのキスじゃ物足りないかな?」
「やっ、ぃ、や、それは……何回ものほうが申しわけ、ない、が……」
ああ、もう。『想い』がなかったらどう考えても、『ディープキス』のほうが『申しわけない』でしょうに。
僕は貴女をとっても愛しているから、問題なんてないけれどね。
むしろ、『申しわけない』ことを強請っているのは――。
そこまで考えて、僕は結論を放棄した。
混乱しすぎてよくわからなくなっているらしい花姫様に、ぞくぞくしながら、ぺろり、と自分のくちびるを舐める。
「じゃあ、決定。とびきりのをいっぱい食べてね、花姫様♡」
花姫様はキャパシティオーバーを起こしたのか、しばらく真っ赤なまま、僕の腕の中でくったりしていた。
昨日の衝撃よりも、キスをしないで一日平気だったという興奮のほうが勝ったらしい花姫様は、お祭りがつつがなく終わってから、僕に息せききって語りだした。
「ふふ、僕の読みどおりだね♪」
正確に言うと、どのくらいの期間、花姫様の『空腹』を凌げるかは全くわかっていなかったけれど。わざと自信たっぷりに言っておいた。
「僕はね、ここ何年も『検証』してたんだ」
「『検証』?」
「そー。くちびるに僕の唾液を多めに湿らせてキスしたときと、普通の状態。月の巡りとか、そういうのも全部加味してみたけど、やっぱりたくさん湿らせたほうが、花姫様はより元気になるなーって」
「……は?」
少し停止したあと、花姫様はぼふっと耳まで赤く染まる。
「な、ななな、なに勝手にそんな……っ!? 唾で元気になったとかっ」
ぴゃんぴゃん喚く花姫様を抱きしめたい衝動に駆られながら、僕は真剣な表情で続ける。
「これ、真面目な話ね。花姫様って、『ニンゲンの活力』を皮膚の接触から得るでしょ?」
「う、まあ……」
「『接触』ごときで得られる『活力』。それならきっと、より濃厚な『活力』が含まれてる可能性が高い僕の体液を、直接流しこめば――?」
「! 一度で多量の『活力』が摂られる!? すごい司、探偵みたいなのじゃ~!」
ぱあっと僕の『推理』に目を輝かせる花姫様。
「で。僕からの提案なんだけど。これからの食事は『ディープキス』でどうかな?」
にこり、と悪びれもせずに微笑む僕。
「ぅ、え?!」
「だって花姫様、すごく調子よさそうだよ?」
「や、でも、あんなこと……」
ごにょごにょ、と口ごもる花姫様の腕をぐいっと掴み、くちびるを奪う。
不意打ちだったので、今回も簡単に口内へ舌を滑りこませることができた。
僕のほうが理性を失わないよう気をつけながら、しばらくの間、優しく彼女を貪る。
口をぬるりと離すと、呼吸を整えるのもそこそこに、花姫様に考える隙を与えないよう畳みかけた。
「はぁっ……、ねぇ花姫様。一日一度、コレをするだけ。すごく『楽』だし『お得』だよね?」
「は、ん、ぅ、……?」
全身を火照らせ、目をとろんとさせる花姫様がかわいすぎて一瞬、僕は気が狂れてしまうかと思うくらいときめいたけれど。
なんとかこらえて、彼女がだいすきな『お得』を持ちだす。上目遣いに彼女を見つめて、もう一押し。
「それとも花姫様は、僕と一日一回だけのキスじゃ物足りないかな?」
「やっ、ぃ、や、それは……何回ものほうが申しわけ、ない、が……」
ああ、もう。『想い』がなかったらどう考えても、『ディープキス』のほうが『申しわけない』でしょうに。
僕は貴女をとっても愛しているから、問題なんてないけれどね。
むしろ、『申しわけない』ことを強請っているのは――。
そこまで考えて、僕は結論を放棄した。
混乱しすぎてよくわからなくなっているらしい花姫様に、ぞくぞくしながら、ぺろり、と自分のくちびるを舐める。
「じゃあ、決定。とびきりのをいっぱい食べてね、花姫様♡」
花姫様はキャパシティオーバーを起こしたのか、しばらく真っ赤なまま、僕の腕の中でくったりしていた。
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