ほのぼの園

美恋( みこ )

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1話     しいちゃん

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生まれて間もなく、私は家庭の事情により、施設ほのぼの園に預けられました。

なので、両親の名前も顔も知らないし、私に兄妹がいるのか、それさえもわかりません。

少し経つと、同じくらいの歳の子たちと一緒になり、遊んだり、食事をしたり、時にはオモチャの取り合いで喧嘩になったり、それなりにいろいろあったけれど、楽しく暮らしていました。

遊び疲れた後は、仲の良いお友達と身体を寄せ合って一緒の布団に寝たりして、とても楽しい毎日を過ごしていました。

「 もう、しいちゃんたら、また、あしのっけて、おもたいな 」

『  くぅ~くぅ~・・』

「 なんだ、じゅくすいしてるし・・まったく、しょうがないこ 」

しいちゃんはとてもねぞうが悪い、けれど、この可愛い寝顔を見てると癒されるのよね。

こんな感じで、平々凡々と毎日を過ごしていました。

ところがある日、しいちゃんが突然部屋からいなくなってしまったのです。

広場に来ても、しいちゃんの姿はどこにもなかった。
 
しいちゃん、どこへ行ってしまったの?

すると、シバっちが私にちかづいてきて、唇を舐めながら自慢そうに言いました。

「 しいだけどさぁ、このまえここにみにきていた、ひげのおじさんのところへいったみたいだぜ 」

「 ふ~ん・・もしかして、オシャレにきかざった、やさしそうなかんじのひと? 」

「 まるもしってたんだ…でもいいよなあ、しいは、やさしそうなひとのところにいけて、うらやましいよ 」

「 でも、あのおじさん、すごいけむりのにおいがしてたけど、あれってなぁに?」

「 ぼくもわからないよ、そういえば、とおくからでも、めっちゃにおってたな 」

「 しいちゃん、だいじょうぶかなぁ・しんぱい 」

いちばんの親友のしいちゃんがいなくなってしまったのです。

その夜、私はしいちゃんのことを考えていたら、さみしくて眠ることが出来ませんでした。

今頃、しいちゃん何してるのかなあ。
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