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第二章 新たなる出会い

17 5階層ボス攻略

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5階層の肉は美味しい。
俺たちだけでは消費できないほど狩っているので、近隣にも配った。
何の肉とは聞かれなかったが、高田のじいさんだけ聞いてきたので、かえるねずみ(ダンジョンのだけど)だと答えた。
幼いころ食べたことがあるといい、懐かしいと言っていた。
評判は良い。ますます、皆元気だ。
あれほど、食べているのに太らないし、引き締まったというか理想的な体型になった。やっぱり、魔物ダンジョン肉だ。
年寄りたちの健康に関する愚痴もなくなった。ますます、若返っている気がする。
意外な副作用こうかだ。



米と大豆については、大きさが問題なので、みんなには見せていない。とりあえず保管している。
だが、米からは、酢・酒が作れる。
大豆は、味噌・醤油・豆腐・納豆いろいろな使い道があるので、年寄りに聞いて、ネットでも調べておくことにする。
ひとつひとつが大きいので大量に作れるだろう。楽しみだ。


小麦は小麦粉にしてしまえば使えると思い、目下研究中である。普通の農機だと規格外のため、乾燥機や脱穀機をなんとか、【スキル錬金】を使い作れないかと研究している。これには、手作業時代の道具が参考になる。
ただし、規格が大きいので、道具も大きくなってしまい、苦戦している。




あと、小麦と言えばビールだろう。本当なら大麦らしいが、ある意味大きい麦だ。
なんて冗談だが、ダンジョン品なので小麦でも、極上の味に違いない。
さっそく、【スキル錬金】で試した。5回失敗して、6回目にしてビールができた。
母さんに見つかった。なぜわかる?高性能食い物レーダー!


もちろん、ダイヤモンド製ビールジョッキを作り、氷魔法で冷やして飲んだ。


なに、この喉ごし。またもや、とまらない。
母さんが、ケラケラ笑い出した。酔っぱらったな。
あっこら、つまみを探して目を離した隙に、食いしん坊レオが、俺のジョッキからビールを飲んでいた。
飲み干した。
親父のような仕草をしたが、ほっぺがほんのり色づき可愛い。


「の、飲んで大丈夫なのか?」


『うーん、にがいけど、冷たくて美味しいよ。でも、母さんと飲んだ、ワインの方が好きだな。』


こら、酔っ払い!!!





はっ、を感じる。
ライヤが、ドアのところから、[家政婦は見た]状態でこちらをみていた。





四人で、仲良く飲んだ。
俺は、ある程度飲んだら、寝落ちしたので、あとのことはしらない。
次の日の朝、起きたら居間がもの凄い状況だったとしか言えない。






牛にビール(酵母)を餌にしている牧場があるときいたので、うちの牛にもビールのままあげてみた。
最初は1頭だけに与えたが、そいつが唐突に『モー』と一ひと鳴きすると、ざわざわしていた牛舎が静まり返った。
そして、他の牛たちが一斉に『モーモー』騒ぎ出した。
うるせー。
以前にこんなしたことあるな。





はっ、を感じる。
やつが、[家政婦は見た]状態でこちらを見ていた。





牛と鶏にビールを飲ませた。大丈夫か、神崎牧場の牛鶏やつらは。







5階層も二人の活躍?(蛙と『ねずもぐ』だけは狩る)で、探索は進む。
俺は社長(母さん)命令で小麦とってこい、ビール作れといわれているが、ワイン作りで手がいっぱいなので、断り続けている。
ビールで大騒ぎして、5日後、とうとう5階層ボス部屋にたどり着いた。
あいかわらず、金属扉だけある。見えない柱で支えられているのかな?
ダンジョン、謎の構造をしている。
4階層の扉はやたら大きかった。
だが、5階層のボス部屋扉は5mくらいか。
さて、どんなボスが出てくるやら。


「ボス部屋だ。行くぞ。」


『『はーい』』




俺たちは、ボス部屋へと、足を踏み入れた。
部屋は草原の広いスペースになっている。
おお、イナゴの大群が突撃してきた。
防衛魔法で俺たちには指一本触れられない。
ライヤが炎でイナゴを焼き払う。
レオが風魔法でイナゴを吹き飛ばす。
!!




イナゴがいなくなると、次は蛾?の大群が攻撃してきた。
『芋虫蚕』の成虫だろう。羽から鱗粉みたいなものを撒いている。
もちろん防衛魔法で守られているので影響はない。レオが風魔法で吹き飛ばし、ライヤが炎で焼き払う。
あいかわらず、




今度は蜘蛛の大群が出てきた。蜘蛛は口から糸を吐き、俺たちをからめ取っていく。
防衛魔法で囲われているのでやはり影響はないが、蜘蛛の無数の糸はその数で俺たちの視界が塞がられるほど吐き出された。
うっとうしいと思っていたら、レオとライヤ二人がかりで、火炎放射器のごとく口から炎を噴出し始めた。
ゴジ○の映画で炎をまき散らしているシーンに似ている。
まさに、薙ぎ払っている状態だ。蜘蛛たちもあえなく全滅している。
ほんと、





次は、蛙だ。
あれ、レオさん、ライヤさん、お口からよだれが出てますよ。
ご飯食べたばかりでしょう。



蛙は長い舌を伸ばし、俺たちを縛り上げていく。もちろん防衛魔法でって、あれ、俺だけ防衛魔法使ってんの。
なぜ、ふたりとも縛られている!
おっと、あっさりと爪で切断しているが、なぜ、一匹ずつ爪攻撃なの。
炎魔法で焼き払わないの。






ああ、にくね。にくがほしいのね。
俺も一匹ずつナイフを使い参戦した。これには、時間がかかった。





蛙の次に出てきた、『ねずもぐ』も同じように一匹ずつ倒していったので、戦闘終了するまで時間がかかった。



大量の蛙と『ねずもぐ』を収納した。ふたりの食欲は凄まじいから、あっても問題ないだろう。
生でも食べられるらしいが、やはり調理したほうが美味しいそうだ。
あれから、焼く・煮る・揚げるの料理が気に入り、我が家の食卓は肉料理ばかりだ。
ふたりの成長が早い。





さて、いよいよボス登場か、と思っていたら、なんだ、あれ、雪だるま?いや、米だるまか?
2m位の大きさの米が塊まってできている、だるま状の魔物が30体襲ってきた。
今までのパターンでは巨大なボスが現れていたのに、ボスじゃないのか。
米だるまは、米粒を発射して爆発する攻撃をしてくる。
もちろん防衛魔法で守られているので、俺たちには傷一つつかない。


今度は、小麦だるまが30体出てきた。小麦が塊まってできた、やはりだるまだ。
ライヤが米だるまに一撃攻撃する。米だるまはあっけなく崩れていく。地面に米が散らばる。
レオも小麦だるまに一撃を与え、小麦もバラバラに崩れ去った。
あれ、ドロップしないな。ふたりは次々と倒していき、米と小麦が散らばる。


すると、米が集まり始め、また、だるまを形成した。なんだ、この魔物は。


【鑑定】
スターライスの眷属。



スターライス?って魔物か。



【索敵】
対象: スターライス
45° 1Km 擬態中




いた、立体スクリーンに赤い点灯表示がでた。擬態中?1Km先には何も見えない。
もしかして、小麦だるまも眷属なのか。


【鑑定】
スターウィートの眷属


【索敵】
対象:スターウィート
60° 1.4Km 擬態中



立体スクリーンに赤い点灯表示がでた。また、擬態中?1.4Km先には何もいなかった。





「ライヤ右側前方1kmに、
レオ左前方1.4Km、草に擬態している米と小麦がいる。焼き払え。」



俺の声をきいて、ふたりは駆け出して行った。そして、炎魔法を使う。
すると、なにもなかった草しか生えていなかった場所が歪み、稲穂と小麦の群生が現れた。
群れごと草に擬態していた。稲穂と小麦が炎につつまれた。



焼野原の後に、残っていた魔物がいた。
そこには、高さ5m、見た目は普通の稲穂だが、金色に輝いていた。まさしく黄金色だ。
同じく、5m位の大きさの小麦もいた。やはり黄金色をして輝いている。
こいつらが、5階層ボスだったのか。ボスがふたりだったとは、今までになかったパターンだな。



リオとライヤは、あっという間に、ふたつのボスに攻撃を仕掛ける。
バリアみたいなものを張り攻撃を防いだ。爪攻撃をするが、バリアで防がれる。
炎と雷魔法もバリアで防いでいる。たいした防御力だ。


あれ、稲穂と小麦は一回も攻撃してこない。バリアで防御し引きこもっている。
俺はナイフを構え、突進し黄金稲穂ボスを一刀両断する。
さすがに、バリアでは防ぎきれず、光の粒子となり消えていく。
続けざまに黄金小麦ボスに突進し一刀両断する。黄金小麦ボスも光の粒子となり消えていく。
よかった、5階層魔物は中央に魔核があるので、予想通り見事破壊できたようだ。



それぞれスクロールを1つずつドロップした。あれ、一枚足りない。
魔法陣も出ないな。





すると、レオが何もいない場所に向かって、炎を吹いた。
火がつくと景色が歪み、そこには大豆畑があらわれ、燃え広がっていった。
やはり、黄金の大豆ボスがバリアに守られて立っていた。
俺は一気に跳躍し、黄金大豆ボスを一刀両断する。
光の粒子になり消えた後には、スクロールがドロップした。魔法陣も現れた。




黄金大豆ボスは隠れていた。
気づいたレオのお手柄だ。
たぶん、わざと眷属を出さず、俺たちをやり過ごそうとしたのだ。
全く油断も隙もない。





はっ、を感じる。
ユグドラシル・ツリー、世界樹の木が、[家政婦は見た]状態でみていた。








「なんで、ここにいるんだ、世界樹。」


世界樹の木は、枝をくねくねさせている。
わからん。すると


『4階のボスがいなくなったから、復活するまでこの5階層に隠れてたって言ってるよ。』


ライヤが理解したらしく、通訳してくれた。俺は呆れた目を向けた。


「5階のボスもいなくなったけど、6階に行くのか?」


また、枝をくねくねさせている。


『もちろん。だけど下に行くほどボスが強くて怖いから、倒さないでほしいなって言ってるよ。』





「知るか!!」





こうして、5階層ボス攻略は終わった。








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