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第一章 始まり
5 スライムボス登場
しおりを挟むダンジョンを発見して3週間たった。
毎日、探索したのでかなりの数のアイテムがたまった。
スライム水は鶏や牛、畑にも撒まいている。
あと、俺と母さんも飲んでいる。
大量にあるスライム水を、家畜たちにあげているのを見ていた母さんが、飲料水や料理に勝手に使っていた。
それを知らず俺は飲んで食べていた。
俺を実験台にして、元気なので大丈夫と判断し、母さんも飲み始めた。
俺は買ってきたミネラルウォーターだと思っていた。
おかしいとは思っていたさ。北海道の水はおいしいのでわざわざお金と手間を使ってまで買わない。
家で買ったミネラルウォーターなど見たことがなかったからだ。
けれど、飲めば普通の水道水との違いがはっきりとわかる。
だからミネラルウォーターなのだと勘違いしていたが、スライム水だったとは・・・
飲んでみてわかったことだが確かにスライム水は、今まで飲んだことのない極上ミネラルウォーターだった。
健康と肌の調子が良い。
今では家中で使うようになった。
家畜たちの飲みっぷりはあいかわらずだか、畑の作物も育ちが良い。
そのかわり雑草もよく育つので草刈りが面倒になった。
飲んでみると鶏らのがっつきぶりがよくわかる。
料理に使うと旨さと甘さが増し、母さんの料理の腕を上げた。
母さん、誉めると喜んでいたが、実はスライム水のおかげだ。
ダンジョンでいくらでも手に入るので、率先して使うようになった。
もちろん、灯油や軽油・ガソリンも便利だ。こちらもいくつあっても問題ない。
農機具や車や寒くなれば暖房用にとスライム水より使いみちがある。
水色スライムより出現数が少ないのが欠点だか、見つけると真っ先に倒すようにしている。
燃料代の節約になるので俺の小遣いをあげてくれと母さんと交渉中だ。
オイルマネーならぬオレノマネー(俺の金)。
戦いに関してだが、探索始めたころは2匹同時の攻撃によけることができず、さほど強いダメージはないがそれでも手や足が痣だらけになった。
1匹なら簡単に倒せるが、2匹同時攻撃されるとよけるのが難しく、なるべく複数戦闘は避けていたが、ダンジョンは奥に行くほどスライムが複数匹いる時が多く、効率が悪い。
だが探索1週間したくらいの頃、試しに2匹を相手してみた。
同時攻撃に、1匹はキックで弾き飛ばしたあと、別の1匹をナイフで一撃で倒し、すぐさまけり飛ばしたスライムが壁に激突し弱っていたところを倒した。
問題なく倒せた。間違いなく俺の身体能力は上がっている。
あれほど同時攻撃に苦戦していたのに遅く感じるのだ。
どうやら、今までかなりのスライムを倒してきたおかげで、俺の攻撃力と反射速度・防衛力があがっているようだ。
まさにダンジョン攻略のセオリー通りだ。
ときおり鳴る、謎のブザー音も関係しているのか、わからないが。
とにかく、複数のスライムが倒せるのは効率が良く、ダンジョン探索もはかどる。
そこで2匹の次はしばらくしてから3匹と徐々に倒していく数を慎重に増やしていった。
おかげて、今では20匹くらいのスライムが群れていても倒せるようになった。
しかしスライム、いっぱいいるな。
俺の攻撃力と身体能力もアップしているが、武器として使っているナイフや鉈の切れ味も増していることに気がついた。一応毎日手入れはしていたが、刃こぼれがなく研とがなくても問題なく使える。
そして、驚きはリュックだった。
結構な数のスライムを倒すようになったので、アイテムもかなりの量になる。
最初は、リュックがいっぱいになるとダンジョン内を引き返し、アイテムを出入口のリヤカーにおろし再度探索に戻るということを何回か繰り返していたが、リュックにしまえるアイテムの量があきらかに増えていて、往復する回数が減っているのに気が付いた。
後日、同じ大きさのリュックに同じアイテムの量を入れてみたら、入りきらなかった。
つまり見た目より多くものを入れられるようになっている、ファンタジー小説によくでてくるマジックバッグ化していたのだ。
そこで、今では少し邪魔だが二つのリュックを背負っている。
マジックバッグ便利だ。
ちなみに、身体向上のおかげで、ドロップアイテムがかなりの量になるが重さは気にならない。
とにかく、半日しか活動していないが100匹くらいの数のスライムを倒し、ドロップアイテムを手に入れるようになっていた。
気づくとダンジョンをほぼ掌握したのではないだろうか。迷わずに進むことができる。
そして、探索は目の前の大きな金属製の取っ手のない扉のある場所を残すだけとなった。
今までダンジョン内で扉なんて見たことがない。なんとなくだが、ボス部屋のような気がする。
取っ手がないので開け方がわからない。扉の前でうろうろしていたが、とりあえず押してみようと思い、金属製の扉に触れたら、勝手に扉が開いていった。
なんてことだ、自動ドアではないか。
部屋に入ると中は真っ暗だったが、壁の松明らしきものが次々と灯って明るくなってきた。
大広間みたく広い空間だった。
さすがダンジョン。構造があいかわらず謎だ。
すると、うようよと、スライムたちが50匹くらいかたまっているのがみえた。
俺は、両手に武器を持ち慎重に進んでいく。手前にいる数匹のスライムが気づき、俺に向かって攻撃してきた。
それが合図となりスライムが一斉に俺に向かってきて、乱戦のはじまりだった。
スライムたちは数が多いのが災いして、一斉に向かってきたのでスライム同士でぶつかりはじき飛んでいる。
俺は近づくスライムだけを一撃で倒していった。
そのうち、スライムもまばらに攻撃してくるようになった。
あとは、ひたすらスライムを倒していった。
5回ほどまともにスライムアタックを体に受けたが、身体能力向上のおかげでさほど大きなダメージは受けていない。だが、服は破れ擦り傷もできた。とにかく数が多い。ひたすら倒していく。
俺のまわりにはドロップアイテムが散らばっていた。
やっと5匹残すところになった。
おっと、危ない。酸攻撃が飛んできた。水色スライムが一匹溶けた。
奥からでかスライムが20匹くらいでてきた。
20匹が一斉に酸を吹きかけてくるのでかなりの量になる。酸攻撃はなかなか厄介だな。
俺は逃げながら左手の鉈を盾に持ちかえる。
でかスライムの弱点は大きさゆえに方向転換が遅いことだ。俺はでかスライムの後ろに回り込み、違うでかスライムを盾かわりにして隠れながら、でかスライムを倒していった。
ちびスライムは何回か蹴飛ばしたり踏みつけたり、酸攻撃の巻き添えで溶けていたりしていつの間にかいなくなっていた。
何時間戦っていただろう、やっとでかスライムも倒せた。
俺の息はあがり、服とプロテクターはボロボロ、体のあちらこちらには傷や血がでている。
盾も、もうボロボロ状態で役に立たないので放り投げていた。
まわりにはドロップアイテムが散乱している。
だがこの後、もっと力をつけてから挑めばよかったと心底後悔した。
大物の敵がまだいたのだ。まさに、ボス登場だった。
また、松明が一本ずつ灯っていく。さらに奥行きが広い構造になっていた。
そしてラスボスらしきものが奥にいた。3メートルくらいの巨大スライムだ。
頭に手のひらサイズの王冠がのっている。目や口など顔があればぶさ可愛いかわいいスライムの王様といったところか。
巨体の中には、黒い大きめの核が3つすごい速さで移動している。
キングスライムが突然回転し始め、渦の中から酸と触手みたいなものが俺めがけて飛び出してきた。
キングスライムは回転で核への攻撃をふせぎ、なおかつ敵には酸と触手で攻撃をくりだす、まさに強敵ラスボスだ。
どうやって倒せばいいのかわからない。
そのうえ、俺はボロボロで満身創痍状態だ。
俺は転がるようにしてなんとかよけ続けるしかなかった。その時、足元にでかスライムのドロップアイテムの謎の瓶が転がっていた。
やけくそだった。俺は謎の瓶アイテムを飲み干した。液体に臭いはないが味はかなり苦かった。
すると、体から淡い光がでた。
傷口から流れる血がとまり傷口がふさがった。
俺は転がりながら近くにあった瓶を飲み干す。
また淡い光に包まれ、今度は傷口がみるみる薄くなり消えた。
立ち上がり、3本目の瓶を探す、瓶とすぐそばに薄ピンク色の袋がある。
拾い上げ、素早く瓶を飲み干した。淡い光がおさまると俺の体から痛みと傷が消え、かなり体力が回復してきたので動けるようになった。
やはり、瓶は「回復薬」と呼ばれるものらしい。
キングスライムの回転しながらの酸攻撃や触手攻撃をなんとかかわし、俺は色袋をいくつか拾いあげながら逃げ回った。
すると回転と攻撃がとまった。でかスライムのように一定の時間しか攻撃できないようだ。
すかさず、拾った色袋を投げつけ、そして壁にあった松明も放り投げた。
色袋は発火性の液体だ。
するとキングスライムがいきおいよく燃え始めた。
また回転し始めたが酸攻撃と触手攻撃はしてこない。どうやら回転して火を消そうとしているようだ。
回転しているので火の粉が飛び散ってきた。
やばい作戦が裏目に出たか。
とにかく避けまくった。
すると、キングスライムは回転をとめて苦しみだした。
燃え続け、へんな唸り声もあげている。そしてやや小さくなっているように思う。
やはり、でかスライム同様、酸攻撃をするとしぼんでいくようだ。
俺は、火の粉をよけながらなんとか色袋を拾っては投げつけた。盛大に燃え続けるキングスライム。
部屋の中の温度が異常にあがっていた。
30分かそれとも何時間も戦っているのか、夢中で戦闘していたので時間の感覚が無くなってきていた。
気づくとあたりはところどころ引火し焦げた臭いも充満している。
そして、キングスライムが頭から燃えカスのように煙を出しながら真っ黒になっていた。
まずい、核も黒いから位置がわからなくなると思っていたら、なんと巨大なキングスライムの体のなかで3つ核らしきものが光っている。
しかも動きが鈍い。
しめた、俺は熱さも気にせず、とにかく光を目印に攻撃した。
キングスライムも弱っていたのか、3つの核を破壊することができた。
巨大なスライムの体から大量の光の粒子が俺に降りかかってきた。
なんとか倒すことができた俺は、遠くで謎のブザー音が鳴るのを聞きながらそのまま気を失った。
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