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番外編

甘い罠 中編

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 怒れる魔術師の影響で、店内にバチッと火花が走ったが、肩を震わせるリカルドがトントンと指でテーブルを叩くとそれらは瞬時に消えた。
 火花が消えても、火元の怒りは収まることを知らない。

「二回も、二回もバカ女って言われましたのよ、二回も! 心配して体を張って助けようとしたけなげな妻にかける言葉が、こともあろうにバカ女!! わかってはいましたけれど、もうほんっとうに最低ですわあの男!!! ええ確かにわたくしはバカでしょうとも、今ならわかりますわあのときの正解が、わたくしはあの男を苦しみから解放するのではなく、不遜な諸悪の根源を切り落としてやればよかったのだとね!!!!」
「……でも確かにさ、フェリータの対応は宮廷付きのやることじゃないよね」

 こみあげてくる笑いをやり過ごした友人の言葉に、フェリータは勢いそのままに噛みついた。

「リカルドまでそんなことを! じゃあお聞きしますけど、あなたならどうなさったのかしら!?」
「逆に聞くけど、僕がその場でロレンツィオに同じ対応したと思う?」

 フェリータは反射で口を開いたが、言葉を声に出す前に首を傾げて視線を泳がせ、やがて不可解そうに眉をひそめると、その件についてそれ以上深く考えるのをやめにした。

「……それより、薬入りボンボンのことですわ。なんとそれを売っていたお店、バディーノ家と繫がりのあるところでしたのよ。おぞましい、わたくしそのうち本当にあいつらに殺されてしまいますわ」
「でもバディーノ侯爵やレオナルドが絡んでるとは限らないよ。送り主はわからないんでしょ? バディーノ家とペルラ家の確執なんて知ってる人は知ってるんだから、わざと侯爵家に疑いが向くよう小細工したのかもしれない」

 リカルドに諭されると、フェリータは口をとがらせて手元のカフェモカに目を落とした。
 運河沿いのお気に入りのカフェは、冬はテラスが閉鎖されている。その間は店内の二階の、さらに他の客席からは一段上がった特別席が、二人の指定場所だ。

「でも、わたくしの目を欺く魔術薬なんて、そうそう作れるものじゃありませんわ。宮廷付きか、その道に詳しかったチェステ家か。少なくとも、上級魔術師以上よ。……レオナルド・バディーノも上級魔術師ですわ」
「孫の顔がはやく見たい伯爵かもね。……解術薬、すぐできた?」

 睨まれたリカルドが、涼しい顔で話題を変える。
 
「もちろん。わたくしに、できないわけがありません」
「内々で片付いて良かったね」
「でも、たくさんあったチョコレートのうち、媚薬入りだったのはそのひと粒だけ」

 フェリータは吐き捨てるように言って、カップを口元で傾けた。

「……ま、量産できないからでしょうけど。上級ごときに、宮廷付きに効くほどの薬入りチョコは二つも三つも作れるはずありませんわ」
「またレオナルドって決めつけて。証拠もないのに」

 苦笑して、リカルドは琥珀色の酒が揺れるグラスを煽った。ロレンツィオとは対照的に、彼は酒に強い。
 飲む前と寸分変わらない顔色で、美しい青年は喉を焼く味を悠々と堪能してから口を開く。

「でも、残念だったね。食べたかったんでしょ、その店のお菓子」

 言われて、フェリータはどきりとした。
 チョコレートは、容器にあったぶんすべてを調べるはめになった。おかげで、フェリータはひと粒も食べられなかった。 
 ――せっかく、あのお店のお菓子を食べる機会だったのに。

 フェリータは、言い当てられた無念をごまかすように、扇を口元で広げてみせた。

「別に。あの手のお菓子は飽きるほど食べてますもの、今さらそんな」
「あの店が開店したとき、気にしてたよね。オーナーパティシエがバディーノ家の元専属だったって聞いて、買うのを躊躇してた」
「そうでしたかしら? リカルドったら、そんな些事までよく覚えてますこと」

 自身の食い意地の話を必死に流そうとするフェリータの耳に、忍び笑いが聞こえてきた。

「覚えてるよ。君の言ったことは、ぜんぶ」

 フェリータは目を丸くした。微笑を浮かべるリカルドは、店の端に視線を送った。
 その合図を受けた店員が素早く寄ってくる。手には、両手で持つのに苦ではない程度の大きさの、赤い布で包み、濃い青のリボンを花のように結ってあしらった箱。

「……リカルド、これ」
「注文しようとして、びっくりしちゃった。僕ですら予約しないと買わせてもらえないなんて」

 リカルドの言葉を聞きながら、フェリータの目は、テーブルの上に置かれた箱にくぎづけとなった。
 甘いもの好きは、父譲りだ。父はことあるごとに菓子を摘まんでいる。師である父がそうするから、フェリータもそうするようになった。

 例の店について興味のないふりをしながらも、父との会話でそれとなく話題に出したこともある。すると父は『しょせん侯爵家の使用人の作ったものだな。わしが口にするほどの味ではなかったわい』と、しれっと自分だけ訪問先で食べたことを明かしたので、フェリータは内心気落ちしたのだ。これでは父の食い意地に便乗することもできそうにない、と。

「気に食わない家の、元シェフが作ったお菓子でも」

 あんな家と関わる店の菓子なんて、自分の食べるものじゃない。膨れる興味にそう言い聞かせてやり過ごした。
 でも、そんな強がりも、父より長く一緒に過ごした彼には、バレバレだったらしい。
 
「親友からの贈り物なら、受け取れるでしょ?」





「というわけですわ!」
「どういうわけですか尻軽女め」

 日が傾き始めた頃、フェリータはウキウキと夫婦の寝室に菓子の箱を持ち込んだ。王妃の護衛の代休で家にいたロレンツィオに、自慢するために。
 相手は早めの湯浴みを終えたばかりのようで、くだけた部屋着姿で顔をしかめている。

「なぁに? まだわたくしとリカルドの仲を疑ってるの? 友達だって言ってますでしょ」
「そこじゃなくて」
「はっ間違えた、『親友』でしたわー!!」

 小さなテーブルを挟んで二つ置かれた肘掛け椅子の一つに座り、高級感の溢れる化粧箱に目を輝かせるフェリータは、夫の呆れ顔もどこ吹く風である。

「……バカだバカだとは思ってたけどここまでとは。ぺらぺら言うな、俺が一服盛られた話なんて」
「あらなぜ? 結局、効能は媚薬以上のものではなくて、大事にもならなかったのに」
「情報を悪用されると思わないのかよ」
「あなたは言わないほうがいいでしょうね。お友達が軒並み人でなしですから。わたくしは言います、リカルドに隠し事なんて無用ですもの」
「そうだな、俺の友達は俺を洗脳しないし家同士の暗黙の了解を一方的に破談にしないし、母親を呪わないし拉致監禁もしないし、それらのすべてを友情を試しただけだったなんてのたまったりしない。本当に、友達甲斐のないやつらだよ」
「あら気を落とさなくてよろしくてよ、あなたの女友達は四人ともみんな親切でしたもの」

 沈黙して寝台に伏したロレンツィオをふんと鼻で笑ってから、フェリータは化粧箱の蓋を開けた。中には様々な形のチョコレートや、艶のあるマカロンが整然と並んでいた。

「……今後のために言っておくけどな」
「うん?」

 浮上してきたらしい夫の呼びかけにも生返事で、フェリータは一通り見比べた後に、真ん中にある四角いチョコレートへ吸い寄せられるように手を伸ばす。
 アラザンで飾られた見た目を存分に堪能したあと、フェリータはそれを一口で食べた。中からとろりと溢れ出たガナッシュとともに、濃厚な酒の風味が口から鼻へと抜ける。
 至福の瞬間に、しばし陶然として。

「あんた、隙あらばチョコだのビスコッティだの食ってっけど程々にしろよ。その調子でどんどん太って、本当に父親みたいな樽型に……」

 ロレンツィオは言葉を切った。
 妻が、テーブルの上に荒々しく箱を置くと同時に、すっくと立ち上がったからだ。口を抑えて悄然としたその横顔に、ロレンツィオも表情を変えて立ち上がった。

「どうした」
「……てきて」
「なんだ、聞こえな」
「薬を持ってきてってば!!」

 口を抑えたまま叫んだフェリータは、目を丸くしたロレンツィオをぎっと睨み上げた。
 赤い目をうるませ、上気した頬で。
 手で隠された口からやや荒い息を漏らし、その肩を震わせながら。

 一見して、怒りに満ち溢れているようにも見えるが、いつもの彼女だったら怒声の後に止める間もなく連綿と続く罵詈雑言が、一向に出てこない。代わりに、きゅっと苦しげに眉が寄せられて、悔しそうな声が絞り出される。

「昨日の、解術薬よ、まだ残ってるでしょう!」
「……チョコレートにか」
「そうよ見ればわかるでしょ! なんて理解力が低っ、うぅ」
「ボンボンのと同じか」
「だからそう言ってるのこのノロマ! 動けっ、その手足は飾り!? ~~なんてこと、だれがこんなことを、くぅ、このわたくしを二度も欺くなんて、絶対に許さないんだからっ」
「……」
「ロレンツィオおまえっ、何をぼさっとしているの役立たずっ、ええいもういいわグィーどっ……」

 時折声を詰まらせながらも喚いていた女の腕が引かれる。浮遊感に見舞われた次の瞬間、火照り始めていた身体は慣れた寝台の上に転がされていた。今度はフェリータが目を丸くして固まる番だった。

「ちょっとどういうつもり!?」
「グィード、来なくていい」

 寝室の外に向かって声をかけながら、ロレンツィオが寝台に乗り上げてくる。仰向けで転がるフェリータを、長い脚でまたぐように。
 既視感。フェリータはこれを、ついこの間自分がやった。
 相手の意図は明白だった。

「ふふふふふざけないで!!」

 握りしめた小さな手で口を覆ったまま、フェリータは震える声で吠える。

「大バカめ、今どういう状況かわかってらっしゃらないようね!?」
「媚薬飲んだ妻と寝室に二人きりだと思ってたが、違うのか?」

 顔の横に大きな手が置かれれば、重みで寝具が沈み込む。何かを暗示するような、かすかな軋みを耳が拾う。
 
「わ……わかっているなら、薬を持ってらっしゃい!! いくらバカでも昨日のことくらい覚えてるでしょ!」
「そっちこそ思い出せよ。昨日の薬と同じなら、身体に害は残らないし移るようなものでもない。そこまで解析したのはあんたじゃないか」
「……じ、自分のときは解術薬を作らせたくせに」
「あんたこれから仕事あるのか?」

 黙った口を抑えたままのフェリータの手に、ロレンツィオのそれがかかる。

「……ば、バカ女って、二回も言ったくせに」

 避けられた手の代わりに、相手の吐息が唇にかかった。言葉の冷静さとは裏腹に、フェリータと同じくらいの熱をはらんだ吐息が。

「嫌とは言ってない」
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